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BOAT&YACHT

SUNSEEKER 65 Sport Yacht

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2021年4月、「SUNSEEKER(サンシーカー)」は新たなステージへのメッセージを発信した。「Famous Five’ World Premiere」と銘打ち、5種類のニューモデルを同時発表。Predator 55 EVO、Manhattan 55、65 Sport Yacht、88 Yacht、90 Ocean。特にスポーツカーモードのアッパーヘルムを持つ「65 Sport Yacht」に関心は集まった。スーパースポーツカーに乗るようにボートに乗る。早く体験したいと願っていた。その日が遂にやってきた。

「Like a Sports Car」
現CEO、Andrea Frabetti発案によるスポーツカーライクなフライブリッジ “SkyHelm™”
オープンスーパースポーツカーのドライビング、007ジェームズ・ボンドの快感を味わうSport Yacht

梅雨晴れの三浦半島、緑が煌めいている。夏の光にあふれるシティマリーナヴェラシス。時折強い南西風が吹いてくる。給油バース脇のビジターバースにそれはいた。
 近年、国内での「SUNSEEKER(サンシーカー)」はフライブリッジ艇のManhattanシリーズが見受けられるがスポーツクーペフォルムのPredatorシリーズは見かけてはいない。そのPredatorの発展形、特別なフライブリッジを用意されたのがこの「65 Sport Yacht(65スポーツヨット)」。実艇のデビューは2021年1月のブートデュッセルドルフ。その魅力的なアッパーヘルムを体験してみたい。
 ポンツーンから見るシャープなフォルム、カッティングエッジなサイドフォルム、ハルサイドのダイアゴナルな舷窓ライン、フライブリッジは見えないがその先へ行こうとするSUNSEEKERの意気込みがオーラのように伝わってくる。まずはメインデッキから見てみよう。チークの張られたスイミングプラットフォームから。このプラットフォーム、もちろん水中への上下可動対応。アフトボンネットを開ければシートイガレージ、WILLIAMS 345とSEABOBを収納可能だ。オーバーヘッドシャワーも用意されビーチクラブとしても楽しめる。

 両舷の作りこまれたウッドステップからアフトデッキへ。ガレージの上部はサンベッドとベンチソファ&チークテーブルがある。右舷にはフライブリッジへのウッドラダー、その右にはドッキングステーションが用意される。嬉しい仕掛けがある、サロン入口左舷にはバーカウンターが。2脚のチェストもセットされる。サロンサイドとの間のウィンドウを電動で下げるとサロンのギャレーと一体化する。アフトデッキ上部は拡張する電動オーニングイーブスでサンシェイドを作ってくれる。

洗練されたキャビン空間

サロン内はフロントウィンドウを含め広々としたサイドウィンドウが採光豊かな明るさを演出している。サロンに入ると左手に最新トレンドのギャレーが用意される。シンク、IHヒーター、レンジ、食洗器、もちろんフル装備。ハイエンドライフの象徴の食器類もブランディング。英国製のSUNSEEKER、搭載されるのは銀のカトラリー、カップやソーサーはWEDGWOOD、グラスもWEDGWOODクリスタル、ROYAL DOULTONの選択もある。右舷サイドには冷蔵庫にワインキャビネットが用意される。
 サロン左舷にはL字ソファ、テーブルをはさんで右舷にベンチソファ、その前方はヘルムステーション。そこはまさにトレンドセッターとしてのモダンステーションが展開する。2脚のキャプテンシートの前、カーボンパネルのコンソールステージがある。マルチコネクティングパッド、エアコンのコントロールタッチパネル。6スポークの革巻きステアリングホイール、その内にはクルマのようなパドルリング。さらに視線の先に2個のベゼルを持つクラシカルなアナログ表示の円形メーター、正面は2面のGARMINの16インチMFDスクリーン。このヘルムには最新トレンドが見える。SUNSEEKER CM8デジタルボートマネジメントシステムが潜んでいる。ステアリング右上にはバウ&スターンスラスターレバー、ウィンドウサイドにはVOLVO PENTA IPS1350 -1,000hp×2基のコントローラー、GARMINのコントロールパネル、ジョイスティック。イージークルージングの未来がここにある。ヘルム上部にはサンルーフが広がる。

 ロアデッキにはステートルームが3か所。ミジップにフルビームのオーナーズステート。バウにVIPルーム、右舷に2ベッドのゲストルーム。それぞれにパウダールームが用意されているが、もう一か所メインデッキからコンパニオンウェイを降りたところにDay Headsと呼ぶ独立したトイレが用意される。

 オーナーズステート入口にスタディエリアがある。オンラインミーティングが当たり前の現代らしい。オーナーズステートはユーカリのブラウンの色調がエレガントな趣を作り上げている。クローゼット、採光豊かなシービューウィンドウ、アンビエントライトの柔らかさがフローティングヴィラのリュクスでモダンな設えを生み出している。VIPルームもゲストルームもリュクスな演出は同様だ。さあ、フライブリッジへ!

開放感抜群のフライブリッジ

その名も “SkyHelm™(スカイヘルム)”、エアクラフトスタイルいやスポーツカーを思わせるスポーツブリッジはまるでスーパースポーツカーのコクピットだ。カーボンプレートのセンターコンソールを挟んで左右にBESENZONI製バケットスポーツシート、左舷にスクリーン下バルクヘッドからステアリングポッドがステアリングホイールとともに突き出している。バケットシートに座る。両足をフットプレートに置く。通常ならABCペダルがある位置、ステアリングを握る。スーパースポーツカーのドライビングポジションだ。

 ポッド右にバウスラスタースイッチ、左にジョイスティック。右手は自然にセンターコンソールのスロットルにいく。センターコンソールのシフトレバー位置にVOLVO PENTA IPS1350 – 1,000hp ×2基のコントローラー、その手前にGARMINのマルチディスプレイのコントローラー、BMW iDriveスタイルのコントローラーによって制御されている。コマンドコントロールの円形のダイヤル、スマートフォンの充電パッド、センターにはタッチセンサー&コマンド対応のGARMIN16インチMFDスクリーン – GPSマルチディスプレイが位置する。

その上部左右にベゼル付きの2つの円形計器がセットされる。クラシックカーの円形メーターをモダンにオマージュ。アナログ表示で速度、回転計、ラダーアングルなどがセンターのコマンドコントローラーで管理され表示される。まるでオープンスーパースポーツカーのドライビングシートにいるようでわくわく感がたまらない。フライブリッジの前方はこのSkyHelmシート2脚のみ、後部にテーブルとL字ソファがあるのみ。その背後にブラックアウトされたレーダータワーが立つ。
 エクステリア、インテリアともにインハウスデザイン。アンチローリングジャイロはSEAKEEPER 16を搭載している。スポーツカーライクなこの65 Sport Yacht、アストンマーティンならずとも007、ジェームズ・ボンド気分になれる。SUNSEEKERは映画007によく登場する。『ダイ・アナザー・デイ』Superhawk 48、『カジノ・ロワイヤル』Predator 108などなど。

 ここでSUNSEEKERの成り立ちをおさらい。英国南西部ドーセット州Poolプールにその拠点を置くSUNSEEKERは1969年、VOLVO PENTA代理店のプールパワーボート社に始まる。ファウンダーRobert Braithwaite(1943~2019)はボート設計に少数の顧客のオーダーメイドを受け入れ、斬新なボートの建造に乗り出した。当時、英国にはプレジャーボートを建造をするメーカーはなく、1971年Sovereign 17が誕生し、即Sovereign 20がデビュー、1972年サウザンプトンボートショーに展示。F1ドライバーHenry Taylorのオーダーはフルワイドのサンベッドだった。
 オーダーメイドに応えながらRobertの弟Johnが製品開発ディレクターとして参加し、Sport 23、Daycab 23を生み出す。2019年に退職するまでその職を務めた。さらにマーケットを地中海に求め、パートナーとしてナーバルアーキテクトDon Sheadと提携。Offshore 28のデビュー。1980年代はPortofino 31、Tomahawk 37が登場。1985年にSUNSEEKER Internationalの誕生となる。
 1990年代はRenegade 60が登場、ツインジェットのハイパフォーマンスボートのベンチマークとなった。2000年ミレニアムには105 Yachtsの進水で2つの国際スーパーヨット賞を受賞。さらに37M Yachtsが続き、2015年には100隻目のスーパーヨットの納入と進化は果てない。2010年にSUNSEEKERは創立50周年を迎え、Predator 130がショーボートデザイン賞最優秀賞受賞。2018年、グローバルパートナーシップを拡大。モナコGPでアストンマーチン、レッドブルレーシングF1チームのサポーターに。ワールドカップではFIFA公式パートナーシップを締結。2020年、ロールスロイスとMTUとフレーム契約。
 Andrea Frabettiは2019年1月にチーフテクニカルオフィサーとして招かれ、その半年後にCEOとなる。彼の30年に渡るナーバルアーキテクトおよびマリンエンジニアとしての経験とスキルとイノベーションへの情熱が生かされ、2019年から2021年の間にレンジは倍になり、アグレッシブな変化が実現されている。ジェノバ大学でナーバルアーキテクトとマリンエンジニアリングを学び、ボローニャ大学で経営管理を学んでいる。FERRETTIグループではチーフテクニカルオフィサーとして活躍をしていた。スポーツカーやバイクへの洞察も深い人物である。
 先日この65 Sport Yachtの “SkyHelm” は誰のデザイン?と尋ねたら速攻「Me」と返ってきた。ミッレミリアにエントリーするほどスポーツカー好きの彼らしい。

サイズを感じさせないスポーティさ

さあ、出航だ。晴れ、気温33℃、南南西の風10m/s、マリーナフラッグはイエローコンディション。全長20.5m、全幅5.1m、ドラフト1.6m、37.8トン。フューエル3,500L、清水800L。ジョイスティックでゆっくりと離岸する。
 デッドスロー600rpm-6.1ノット、沖には白波が見える。東京湾の南の端、深海の相模湾から水深35mの浅い海峡、本船の行きかう浦賀水道に出ていく。1,000rpm-9.0ノット-燃費43L/h-レンジ619NM。まるでピットレーンからコースインする感覚、荒れる海へ……。
 実に低いポジションでの操船。フロントエアスクリーンも視界の邪魔にならない低さ、両サイドのガードも極めて低い。ポジションは理想的なレーシングポジション、シートベルトが欲しいほどだ。スロットルをシングルモードにしスロットルを入れていく。フラップはオートモード、安定した姿勢のまま速度を上げる。VOLVO PENTA IPS1350 – 1,000hp ×2基。12.8L、6気筒、コモンレールディーゼルのパワーユニットはIPSドライブを介してトルクフルな加速を伝えてくる。南南西10m/s以上の強風、海象悪化の中白兎を突っ切れば時折スプレーが舞い上がるがフライブリッジに影響はない。このコンディションでのシートライアル、そうできることではない。
 1,200rpm-11.5ノット-72L/h。1,500rpm-14.0ノット-14.1L/h。1,800rpm-19.5ノット-200L/h。回頭を試みる。まるでスポーツカーの軽快なステアリング、しっかりと体はホールドされながらインサイドバンクを伴い自分の腰を中心に回頭が始まる。ステアリングを握る手、腰と背中のシートを介してフネ全体に自分の神経が伸びていく、暗黙知。このドライビングポジションが生むリニアな一体感、新たな感動だ。
 レジンインフュージョンGRPのディープVハル。実に軽快な運動性能を感じさせる。それにしても速度感覚がおかしくなるほどスピード感がない、気づくと想定より実速が速いのだ。クルージング2,000rpm-23.7ノット-246L/h-レンジ282NM。2,200rpm-29.3ノット-295L/h。2,310rpm-33.5ノット。
 荒れ模様の海象だが、MAXを試みる。トップスピード2,430rpm-34.7ノット!、376L/h-レンジ257NM。ちなみにECOロングレンジは800rpm-8.2ノット-24.0L/h-レンジ957NM。デッドスローならのんびり浦賀から沖縄へ、も可能の好燃費だ。
 フライブリッジのヘルムに座れば007ジェームズ・ボンドの気分、アストンマーチンに乗って……。さあ、出かけるか、波をかき分けセーリーング!P.B.

サロンは採光豊かなモダンリビングが設えられる。サロン後部にはトレンドとなったギャレーが用意される。

2脚のキャプテンシートの前、カーボンパネルのコンソールステージがある。マルチコネクティングパッド、エアコンのコントロールタッチパネル。6ポークの革巻きステアリングホイール、その内にはクルマのようなパドルリング、2個のベゼルを持つクラシカルなアナログ表示の円形メーター、正面は2面のGARMINの16インチMFDスクリーン。このヘルムには最新トレンドが見える。

海のスポーツカー、センターコンソールのシフトレバー位置にVOLVO PENTA IPS1350 – 1,000hp ×2基のコントローラー、その手前にGARMINのマルチディスプレイのコントローラー、コマンドコントロールの円形のダイヤル、センターにはタッチセンサー&コマンド対応のGARMIN16インチMFDスクリーンが位置する。その上部にベゼル付きの2つの円形計器がセットされる。

オーナーズステートはユーカリのブラウンの色調がエレガントな趣を作り上げている。クローゼット、採光豊かなシービューウィンドウ、アンビエントライトの柔らかさがフローティングヴィラのリュクスでモダンな設えを生み出している。VIPルームもゲストルームもリュクスな演出は同様だ。

バウにはエンターテインメントエリアが用意されている。アフトデッキはオープンゾーンとしてサンベッドやソファの設えでパーティー対応をしている。

スポーティドライビング、海の上のスポーツカーが現実に現れた。痛快、爽快、海のオープンエアドライビング始まる


SUNSEEKER 65 Sport Yacht
全長 20.50 m
全幅 5.10 m
喫水 1.6 m
重量 37.8 ton
エンジン 2× VOLVO PENTA IPS1350
最高出力 2× 1,000 HP
燃料タンク 3,500 L
清水タンク 800 L
問い合わせ先 ユニマットプレシャス
        関東 TEL: 046-841-2138