聖地巡礼 #04Albemarle Sportsfishing Boats(アルべマーレ・スポーツフィッシング・ボート)
「ボートはエキップメント」、キャビン床まで水で流せる徹底した実用主義シーワージネスとフィッシャビリティを追求する、プロダクション最強マシーン
text:YoshinariFuruya
photo:KaiYukawa, Albemarle
specialthanks:Albemarle Sportfishing Boats
https://www.albemarleboats.com
HAUNTSBOAT&SERVICE
http://www.haunts-bs.net
1970年代半ば、スポーツフィッシングを楽しむScottHarrellは、ハッテラス岬周辺の荒れる海の航行で、たびたびボートに不安を抱えていた。「メジャービルダーのスポーツフィッシングボートですら……」と彼は思った。1978年、信頼できる最高のスポーツフィッシングボートを建造するため、カスタムビルダーにも負けないシーワージネスを持つ24フィートのスポーツフィッシングボートを建造。それが「AlbemaleSportsfishingBoat」の始まりとなった。
アルベマーレが生まれたノースカロライナ。そこはスポーツフィッシングボートを語る上で必ず登場する、聖地として知られるエリア。世界的なビッグフィッシュのポイントがひしめく海域。だがそこには、幅100マイル、厚さは2,000m、流量は毎秒9,000万トン、速さ5ノットに及ぶ世界最大の海流、メキシコ湾流がぶつかる海の難所ハッテラス岬がある。当然、海域はメキシコ湾流がもたらす魚の宝庫。世界的なビッグフィッシュのゲレンデは、フィッシングの魅力と危険が背中合わせに共存し、スポーツフィッシャーを苦しめる。そこで求められてきたものはフィッシャビリティと、「必ず戻ってくる」というシーワージネス。アルベマーレもこの厳しい海に鍛えられ、育てられた。
アルベマーレのファクトリーはイーデントンの郊外、ハッテラス岬のあるアウターバンクスに守られた湾内にある。ここは、スポーツフィッシャーには良く知られたエリア。オレゴン・インレットから静穏なパムリコ湾に入り、すぐ北のアウターバンクス側には、スポーツフィッシングのチャーターボートが集まるオレゴンインレットフィッシングセンターがある。そこからおよそ5マイル北には、SpencerYachtsやBaylissBoatworks等カスタムボートビルダーが集まるスポーツフィッシャーの聖地ロアノーク島。そして、ロアノーク島の北部に広がる湾こそが、アルベマーレがビルダーの名にしたアルベマーレ湾。そのアルベマーレ湾に面した小さな港と隣接するファクトリーが「アルベマーレ・スポーツフィシング・ボート」の本拠地である。
陸からは決して便利な場所とは言えないが、海路では東海岸の要所として便利な場所。北はボストンから南はマイアミまで、大西洋岸に沿った内海で東海岸全域と繋がる海のメインストリート「インターコースタル・ウォーターウェイ(ICW)」の中間地点。そのロケーションもボートビルダーが集まる理由の一つだ。
荒れ狂う海で鍛え上げられたAlbemarle
ノースカロライナの速い流れ、シャロー、大西洋のうねり、チョッピーな波、荒れ狂う海。ボートの真価が問われる悪条件の数々が、一流のビルダーを育てる土壌。多くのチャーターボートとともに、多くのボートビルダーが集結するスポーツフィッシャーの聖地ノースカロライナ。それらビルダー達は、コストの合わない小型ボートから大型ボートへシフトし、いまや全米中の小型フィッシングボートはアウトボードのセンターコンソーラーに凌駕された。20フィート台や30フィート台、40フィート前半のエクスプレスやコンバーチブル、特にオフショアに強いインボードディーゼルはコストに合わず、大手ビルダーのラインナップから次々と消えていく。コンペティターと言われたビルダーも次々とクローズし、品質の高いエクスプレスだけが最後に残った。その数少ないビルダーの一つがアルベマーレなのだ。
ノースカロライナのオフショアスポーツフィッシャーと名乗るからには、プロダクションでありながら、アルベマーレに求められる
要求は高い。ハッテラス岬周辺のフィッシングポイントや、そのゲレンデに行くまでのインレットの流れや波は避けて通れない。60
フィートオーバーのスポーツフィッシャーにも、小型スポーツフィッシャーのアルベマーレにも、同じ波が容赦なく襲いかかる。
アルベマーレが掲げる理念は、「THEBESTWAYTOFISH,ANDBACK」。「必ず帰航できる」信頼性の高いボートを建造し続ける。それはノースカロライナのボートビルダーに課せられた絶対的な条件。それを実現するのが、アルベマーレ自慢のファクトリーだ。
ハルの積層はFRPのソリッド。丁寧なハンドレイアップで船体下部ほど積層を厚くし、低重心の理想のバランスを造る。ストリンガーには、一流カスタムビルダーも好んで使うマリングレードのモミ材を使う。コンポジットでは出せない、強度としなやかさ、そして軽さという、相反する要求を叶える天然ウッドを使い、プロダクションスポーツフィッシャー最強のハルを造る。
ハルデザインはカロライナ伝統のもの。バウ側のエントリーやボトムは深く鋭く、スターンまで続くディープV。大きなフレアはカロライナスタイル。チョッピーな波を切り、フレアが浮力を保ち、波を抑え込む。チャインは大きく張り出し、トローリングスピード時のスタビリティを生み、スプレーを叩き落とし、アフトデッキをドライに保つ。シーワージネスがアルベマーレの信条だ。
そして、最もアルベマーレらしい特徴をあげるとすれば、優れたフィッシャビリティである。ワイドなビームにより、クラスを超える広いデッキを持つ。小型のアルベマーレほど、その限られた空間全てをフィッシングのために有効に使うアイデアに溢れている。キャビンやヘルムステーションはコンパクトに、アフトデッキを広くとるレイアウト。フィッシングステーションにはタックルボックスをはじめ、ライブウェルやフリーザー、ウェットバーなど、フィッシングにとって重要な装備が備わる。290XF以上にはトランサムゲートも備わり、ビッグゲームにも対応する。大型スポーツフィッシャーと変わらない装備や広いアフトデッキなど、妥協しないフィッシャビリティがアルベマーレの証。
アルベマーレは、自らを戦闘艇だと心得ている。それが、カロライナの血統。「YACHTS」でも「BOATWORKS」でもない、「ALBEMARLESPORTSFISHINGBOATS」と名乗るプライドなのだ。P.B.
AlbemarleSportfishingBoats
140MidwayDrive,Edenton,NorthCarolina27932
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