1. HOME
  2. BOAT&YACHT
  3. SIALIA 57 Deep SILENCE
BOAT&YACHT

SIALIA 57 Deep SILENCE

BOAT&YACHT

0→20ノット7秒、トップスピード25ノット+、航続距離229マイルの57フッターEVBEVも、水素レンジエクステンダーも選択可能な、ポーランド発のグリーンラグジュアリー

text: Kenji Yamazaki
photo: SIALIA YACHTS

「純粋な静寂の中で水面を滑空するエミッションフリーの電動ヨッティングは、美しい自然を感じる素晴らしい体験になることでしょう」キャッチフレーズに心がのめりこんでいく。目の前にそのウィークエンダーボートがいる。さわやかなブルーのハルがナチュラルなメッセージを伝えている。

スイミングプラットフォームから直立ステムのバウに向けて伸びあがり流れていくシアーライン。ブルーハルに開けられた中空のブルワークウィンドウ、ブラックアウトされたハルサイドの異形ひし形ウィンドウ。フロントスクリーンにつながるサイドウィンドウ。スポーティーなオープンフォルムにホワイトのルーフが覆いかぶさるように組み上げられている。ルーフの60%は開閉可能なキャンバストップ、採光は意のまま。

スイミングプラットフォームから2段上がった淡いチークの張り込められたメインデッキは、ウォークアラウンドでバウのラウンジデッキに至る。アフトコクピットには広々としたサンベッドが置かれ、前方にはコの字シートが用意され、左舷にはバーカウンターのあるオープンギャレーのウェットバーユニットがウェルカムモードになっている。右舷にはロングチェア、その前はヘルムステーション。左舷にはコの字ソファがセットされ、充実したエンターテインメントゾーンとなる。

ヘルムステーションの構成は、コンソール正面に2面の21インチディスプレイ、もちろんタッチセンサー。左ディスプレイにはEVバッテリー状況、パワープラントモーターモニター、ドライブ状況表示モニターが位置する。右ディスプレイは通常のGPSプロッタ。眼前にステアリングホイール、その右手に2軸のモーターコントローラー、ジョイスティック、バウスラスターが整然と並んでいる。ステアリングスポークには音響、ワイパー、トリム等のスイッチがある。ヘルムシートは二人掛けのタンデムシート。インスツルメントパネルの表示を見なければ、このボートがEV艇であることの認識は持てない。静かにジャズの流れるモダンで美しいウィークエンダーボートなのだから。

ロアデッキへはヘルム中央からコンパニオンウェイを5段降りる。チークフロアの淡いブラウンに薄い青の混ざったオフホワイトのウォール、明るい北欧の面持ちあふれたモダンリビングが広がる。右舷にL字ソファ、左舷にギャレーが潜むロアサロン、バウにはダブルベッドのVバースが現れる。ミジップにはアイランドタイプのベッド、クローゼット、パウダールームのオーナーズステートが用意される。刺激的な色や造形物のない心地よさが支配する空間が演出され、広がりを見せている。

「SIALIA YACHTS(シアリア)」は、電動カスタムヨットビルダーとして2017年に創立された。二人の天才的頭脳の持ち主、ともにワルシャワ工科大学出身のStanislav SzadkowskiとTomasz Gackoskiの出会いからこのプロジェクトは始まった。彼らはマリンEVプラントの先駆者AMPROSのファウンダー&CEOであり、自分たちの夢を実現するためのブランドとして新たにSIALIA YACHTSを興した。

このプロトタイプというべき「SIALIA 57 Deep Silence」のデビューは2022年。発表されたスペックは全長17.6m、全幅4.8m、ドラフト1m。EVパワー2×AMPROS 400kW、バッテリー254kWh。ACチャージ22kW、DC急速150kW。マテリアル、カーボンファイバー。トップスピード25ノット、クルージング16ノット。航続距離229nm@16ノット。エンジニアリングはTG Yachts、エクステリアデザインはDenis Popov Design Studio、ナーバルアーキテクトは名門VripackYachtDesign。16ノットで最適なクルージングを可能としたカーボンハルデザイン、現在最も先端的でハイパフォーマンスなチームと注目を浴びている。EVシステム&ドライブトレイン&制御ソフトウェアはもちろんAMPROSシステム。

興味津々のシートライアルを開始。儀式は簡単かつスマート。メインスイッチを入れ、充電ポストからコネクターを外し、専用ストレージに収納。ディスプレイはGPSプロッタとBANK1、BANK2、BANK3のすべてのバッテリー状況、クルージングモードを表示する。IDLE、DRIVE、ELECTRIC、HYBRIDの動作状況表示。パワーkWと電圧表示。すべてが無音のまま、ヘルムのディスプレイはアイドルを示している。

そのままコントローラーをワンクリック、ザザと水の音。プロペラが水中で水をかき駆動が伝わった証、クンと動き出す。LIMITEDP OWERモードで静かにポート内を抜け出す。5ノット12kW。NOMALモードで走行。穏やかなカンヌ沖。晴れ、気温25°C、波0.5m~1m、南西の風5m/s。波の音のみが聞こえている。10ノット93kW、スムーズな加速、ラストハンプを超える。15ノット300kW。左160kWシャフト回転数982rpm、右140kWシャフト回転数952rpm。18ノット743kW、24ノット734kW、25ノット734kW。左シャフト回転数1,404rpm、右シャフト回転数1,412rpm。ゆっくりと回頭を試みる。スムーズな動きの連続で自分のポジションを中心に回頭していく快感がある。23ノット724kW、左右シャフト回転数1,366rpm。大胆な試みをしてみる。

0→Max。コントローラーを一気にフルアップ。フラットなまま小気味よい加速が続く。10秒で23ノット、12秒で25.5ノットに。キャッチコピーには、20~25ノットまでわずか7秒。モーターパワー800kw。クルージング16ノット。バッテリーキャパシティ1MWh、とある。ほぼ間違いないと納得する。係留し使用していない時でも、世界のどこからでも制御監視できる管理システムBMSを採用、エネルギー使用量を最適化している。

バッテリー残量が40%を切ったあたりでレンジエクステンダーの内燃機エンジンが回り始めた。波音の陰にかすかにくぐもった音が潜んでいる。このSIALIA 57 Deep Silenceはレンジエクステンダー仕様だ。390kWディーゼル可変RPMレンジエクステンダー+燃料1,500L。航続距離は8ノットで571nm。16ノットで229nm。25ノットで24nm。日常のウィークエンドボーティングに支障はない。バイオディーゼル燃料可、さらにパラレルハイブリッドの水素レンジエクステンダーも選択可能だ。

「ノイズレベル0dB、SIALIAで体験する静寂と快適さにより、オーナーは完全に自然に浸ることができます。波の音だけを聞きながら目的地に向かいアンカリング。これまでにない静けさの中で目覚める、自然と溶け合う素敵な世界が待ち受けています」清廉な新たなマリンライフがみえてきた。

最初のワンオフモデルSIALIA 57 deep Silenceは、SIALIA 59シリーズとして発展しモデル展開を始めた。上位ラインはカーボンハル+ワイドビーチクラブの3艇種、59 Weekender、59 Runabout、59 Sport。普及ラインのアルミニウムハルは2艇種、59 Volantis Tender、59 Volantis Launch。ワイドビーチクラブモデルは拡張オープンサイドデッキにテンダーガレージと豪華。一方、エココンシャスでエレガントなヨッティングライフを象徴するアルミニウムハルモデル。それぞれの個性あふれたSIALIA 59シリーズの5艇種は、マリンライフのきらめきに満ちたメッセージをもたらした。P.B.

SIALIA 57
全長 17.6m 
全幅 4.8m 
喫水 1m 
重量 19ton 
モーター 2× AMPROS 400kW
バッテリー 254kWh
ジェネレーター 390kW diesel + Fuel 1,500L
トップスピード 25kt+ 
レンジ 229nm @16kt 
問い合わせ先 SIALIA YACHTS
http://www.sialia-yachts.com

最近の投稿