![](https://perfectboat.jp/wp-content/uploads/2024/12/OMIKRON-OT60-3.jpg)
OMIKURON OT60
スローヨットという概念、目的地を超える旅を重視する哲学を掲げる「OMIKRON」持続可能性と快適さへのコミットメント、すべての瞬間が海の美しさを味わう機会となる
![](https://perfectboat.jp/wp-content/uploads/2024/12/OMIKRON-OT60-2.jpg)
text: Atsushi Nomura
photo: OMIKRON YACHTS
古くから海運業の盛んなギリシャは大型船舶などの造船業の分野でも有名だ。ただしプレジャーユースの小型船舶となるとギリシャ国外での認知度はやや劣るだろうか。それでも老舗のボートビルダーは多数存在している。
1969年創業の「OLYMPICMarine」もそんなビルダーの一つであり、20世紀には2,000艇を超えるセールボートを建造してきた実績がある。近年、同社の造船施設は大幅に改装され、高品質のカスタムセールボートやスーパーヨットなどの建造やメンテナンスに従事してきた。そして2019年、持続可能性というシンプルなビジョンを掲げた新たなボートブランド「OMIKRONYACHTS(オミクロン)」が立ち上げられた。
![](https://perfectboat.jp/wp-content/uploads/2024/12/OMIKRON-OT60-18-1.jpg)
その最初の量産モデルとなるのが2023年6月に行われたヴェネツィアボートショーで発表された「OMIKRONOT60(オミクロンOT60)」だ。コンセプトは「セールのないセールボート」。すなわち、セールボートの静謐性と、パワーボートの利便性を兼ね備えた、エコクルーズのためのボートということ。いわゆるロングレンジクルーザーのカテゴリーに入るモデルである。OMIKRONYACHTSは持続可能性を掲げたブランドであり、OT60の場合、メーカー発表で12ノットで1,000マイルというかなりの航続距離と、1マイルあたり1.25Lという低燃費を実現している。12ノットというスピードは、艇体にぶつかる無駄な水流を最小限に抑制し、静かで穏やかなクルージングを実現してくれる最適な速度。まるでセールボートでのクルージングのような体験を約束してくれる。
![](https://perfectboat.jp/wp-content/uploads/2024/12/OMIKRON-OT60-19-1.jpg)
OT60は全長18.41m、全幅6.06m、重量20ton。真上から見ると涙滴型のモノハルに、ツインのYANMAR4LV(150馬力)を搭載し、スタンダードエンジンでのトップスピードは14ノット。オプションでツイン250馬力まで搭載可能だ。6mを超す全幅は60フィートクラスとしてはかなりワイドで、ヨーロッパのボートに多い切り立ったバウステムも特徴の一つ。デッキレイアウトはパイロットハウスを中央に配置したスタイル。最後尾のトランサムプラットフォームはビーチングエリアとして使用できる他、テンダーのインフレータブルボートも搭載可能だ。
デッキはフォアからアフトまで段差のないフルフラット。ブルワークトップまでの高さは低いが、デッキ全周がスタンションとライフラインで囲まれていて、このあたりもセールボートそのまま。アフトデッキには2つの大型テーブルとソファが並び、パイロットハウス後部のドアとウィンドウを全開すれば、サロンとシームレスな一体空間となる。パイロットハウスはほぼ360度をウィンドウに囲まれているため、サロンは明るく素晴らしい眺望を誇る。その右舷前部にヘルムステーション。サイドデッキの左舷後部にもアフトステーションが備わっている。
![](https://perfectboat.jp/wp-content/uploads/2024/12/OMIKRON-OT60-9.jpg)
![](https://perfectboat.jp/wp-content/uploads/2024/12/OMIKRON-OT60-10.jpg)
ロアデッキのレイアウトは3ステートルーム仕様と4ステートルーム仕様の2種類が用意されている。3ステートルームの場合、ダウンギャレーとダイネッティの他、3つのステートルームとフォアデッキからアクセス可能な独立したクルーキャビンを備える。前寄りのオーナー用ステートルームにはアイランドベッドの他、ウォークインクローゼットなどが備わる。ミジップにはツインベッド仕様のVIPステートルーム、ダブルベッド仕様のゲストステートルームがあり、クルーキャビンも含めてそれぞれに個室ヘッドが備わっている。4ステートルーム仕様の場合、VIPステートルームがオーナーズルームとなり、フォアのステートルームがカップル用のダブルベッドを備えた2つのステートルームに分割される。
![](https://perfectboat.jp/wp-content/uploads/2024/12/OMIKRON-OT60-13.jpg)
![](https://perfectboat.jp/wp-content/uploads/2024/12/OMIKRON-OT60-16.jpg)
エーゲ海を含む東地中海の多島海エリアをセールボートで巡る旅――こういった伝統的なセールボートスタイルのクルージングを、パワーボートの利便性を保ちながら実現したいとして生み出されたOMIKRONOT60。さながら日本であれば瀬戸内海の島々や沖縄の離島を巡るクルーズだろうか。何とも優雅で夢の拡がる遊び方だ。セールボートの良さとパワーボートの良さを併せ持ち、忙しい現代のエグゼクティブにも大いに魅力的なボートと言えるだろう。
昨年デビューしたばかりのOMIKRONOT60だが、2024年2月に発表された「2024EuropeanPowerboatAward」ではロングレンジ部門を受賞。初年度からヨーロッパで高い評価を受けた。さらに新たなモデルとして「OMIKRONOT80」もアナウンスされており、2025年にはデビューするそうだ。OMIKRONYACHTSは大型ロングレンジクルーザーのニューカマーとしてこれからも要注目のブランドである。P.B.
OMIKRON OT60
全長18.41 m
全幅6.06 m
喫水0.86 m
エンジン2×YANMAR 4LV
最高出力Standard:2×150HP Optional:2×250HP
燃料タンク1,200L
清水タンク600L
レンジ1,000nm @12kn
問い合わせ先 OMIKRON YACHTS https://omikronyachts.com
https://youtu.be/yAV8OYqX6YY?si=a9tlZTt20FI-0xzS
https://youtu.be/aR8xcp_NdUI?si=LBNZWX3bE3nJd5g-
![](https://perfectboat.jp/wp-content/uploads/2024/12/OMIKURON-OT60-1.jpg)
![](https://perfectboat.jp/wp-content/uploads/2024/12/OMIKURON-OT60-2.jpg)
![](https://perfectboat.jp/wp-content/uploads/2024/12/OMIKURON-OT60-3.jpg)