1. HOME
  2. BOAT&YACHT
  3. RIVA 48 Dolceriva
BOAT&YACHT

RIVA 48 Dolceriva

BOAT&YACHT

48フッターに表現されたマホガニーのデッキとホワイトレザーのソファ
RIVAラナバウトのトレンドを引き継ぎながら最新モードを纏わせるクラシックモダンのエッセンス
それはOfficina Italiana Designが描き出した、“クラシックへの回帰”という未来

text: Kenji Yamazaki 
photo: RIVA YACHT 
special thanks: RIVA YACHT https://www.riva-yacht.com/ja-jp/
Lyucompanyhttps://lyucompany.jp

「RIVA 48 Dolceriva(リーヴァ48ドルチェリーヴァ)」、そのたたずまいは「やはりRIVAはオープン」の神髄を見せつける。ロングノーズのバウデッキ、深く傾斜したフロントウィンドウと一体化し、ハルサイドに流れるサイドウィンドウ。そのまま流麗にスラントし収束するボートテール。シャープかつ瀟洒でエレガントなフォルムに思わず息をのむ。メタリックシルバーのハル、ハルサイドのハルウィンドウ(舷窓)を隠しながら刺激するブラックの面ラインの切込み、それらはアフトデッキに駆け上がるキャラクターラインを形成し、斬新とクラシックトレンドの融合を見せながら新たな美に昇華する。

喫水に引かれたRIVAブルーの一条のライン。これはクラシックRIVAの象徴、その復活を表す。バウには繊細極まりないマホガニーのウッドデッキが広がる。RIVAを象徴するフラッグポールとスポットライト、低く設えられた2本のウッドの巻かれたセーフティガードが工芸美を見せる。これはマホガニーの薄板12枚を張り合わせ仕上げのニス塗りは20回以上の職人芸が創り上げた逸品だ。多くのマエストロたちが177年の歴史を誇るイセオ湖畔サルニコのヒストリックRIVAヤードで技術の粋を見せる。そのバウデッキにはU字型のスモークドグラスが貼られている。下のメインルームへの採光のためだがそれもデザインの中にある。トランサムステップにサイドガード、そしてメインデッキ、バウデッキに至る極上のウッドワークが醸し出すRIVAワールド。ひと目にして「Dolceriva」の全てを認知する。

デザインはMauro MicheliとSergio Berettaが率いるOfficina Italiana Design。もう25年以上RIVAのデザインは彼らの作品となる。「Aquarama」に象徴されるRIVAラナバウトのトレンドを引き継ぎながら、最新モードを纏わせるクラシックモダンのエッセンスを見せる。

RIVAの現行オープンモデルは「88’Florida」、「76’Bahamas」、「56’Rivale」、「Dolceriva」、「Rivamare」、「AquarivaSuper」、「Iseo」の7艇種。ちなみにその他のモデルは、カテゴリー別に、プロジェクト「88’Folgore」、スーパーヨットディビジョン「50Metri」、スポーツフライ「66’Ribelle」、「76’Perseo」。フライブリッジは「90’Argo」、「100’Corsaro」、「110’Dolcevita」となる。

9月のプロバンスはまだまだ夏の趣を色濃く残している。カンヌ旧港のRIVAバースには午後4時なのに照り付ける太陽がそのフネを射さしている。リーガルシルバーのハルを海面に映し出し、白いソファと鏡面仕上げのマホガニーのウッドデッキを照らしている。

トランサムデッキはRivaleに類似するトランスフォーム作動でスイミングプラットフォームが現れ、ビーチクラブとなる。そのビーチクラブから乗り込んでみる。

中央はウッドフロアがメインデッキに広がりアフトの両舷には真白いサンベッドが敷かれ、その前方にはマホガニーのテーブルを中心に両舷に対面してソファが用意される。右舷前方にヘルムステーション、キャプテンシートは一人用。左舷には二人用のナビシート、眼前にカーボンのセーフティグリップがある。その舷側にキャビネットが用意され、キャプテンシートの背後にはウェットバーと冷蔵庫に製氷機がある。もちろんビミニトップは電動油圧式、ワンタッチでメインデッキのほとんどにサンシェードをもたらしてくれる。とはいえ、何よりもこのオープンデッキの、この解放感が素敵だ。フロントスクリーンから両サイドに流れ行くウィンドウに包まれる快感。

ヘルムステーションはシックな仕上がりを見せる。ステアリングホイールの本革の白いグリップ、濃紺の2段のコンソール、シルバーのパネルにはタッチスイッチ類が整然と並び、2基のVOLVOPENTAD13-1000-12.8L直6ツインターボZF-Vドライブのコントローラーとジョイスティックがステアリング右に用意される。IPSは採用されてはいない。あくまでもVドライブにこだわる姿勢が垣間見える。

キャプテンシートに身をゆだねてみる。GARMINの16インチマルチモニター画面がメイン位置を占める。その上部に横一条のマホガニートリムが貼られ上質を醸し出している。更に12インチのGPSモニター画面がコンソール上部に据え付けられ、最新の情報管理システムGARMIN Empirbus Monitoring Systemが採用されているのに気づく。もちろん画面はタッチセンサーだ。ラップアラウンドしたフロントウィンドウ、スクリーンの先に水平線を映し出したい衝動に駆られるが、その前にロアデッキを探訪してみる。

コンパニオンウェイを5段降りると広々としたロアサロンに。マホガニーのウッドウォールと濃紺のウォールが絶妙のバランスでトーンコントロールされ、メイプルウッドの爽やかさが加味され、えも言われぬ艶やかさを秘めたRIVAのモダンインテリアに再現している。左舷にL字ソファとホワイトテーブル。右舷にはギャレーがシルバーの蓋の下に隠されている。シンクにポッド、電子レンジ、冷蔵庫にディッシュウォッシャー、カトラリーの棚、RIVAロゴ入りのキッチンセットの収納棚、ワインセラーも隠れ棲む。

ウォールには47インチのTVがセットされる。その前方には美しいパウダールームが用意されている。ロアデッキバウサイドにオーナーズキャビンがスライドドアで隔離される。マホガニーの艶やかなブラウン、濃紺のウォール、ウォークインクローゼット、キングサイズベッド、ナイトタイムの落ち着きを穏やかな光とともに約束してくれる。ロアデッキのすべてのエリアに両舷のハルウィンドウからの充分な採光が差し込んでいる。光を含め全てがRIVAStyleと彼らは言う。

出航してみよう。9月12日、16時30分。天候晴れ、気温25°C。南西風5m/s。ポート内は600rpm-6.7ノット-燃費11.0L/hでボートショー渋滞を抜け、速度10ノット制限エリアを1,000rpm-10.1ノット-54.0L/hでかわしていく。ざわざわと波を切る音だけがしている。見上げる空もフロントウィンドウ越しの地中海も透き通るブルーだ。よく見ると空はプロバンスの山々に近いところは白くかすみがかかり、見上げるにつれ青が増す。海水面はエメラルドグリーンと群青がゾーンを分けている。

スロットルを開けていく。波高1mおだやかな海水面。SEAKEEPERジャイロは作動している。1,250rpm-12.5ノット-94.0L/h。1,500rpm-17.8ノット-147L/h。スムーズな加速。バウアップ、オートトリムが働きプレーニングに入る。1,800rpm-25.3ノット-208L/h。実に自然な安定感を保ちながら走行している。オートトリムHumphreeTrimAutomaticCorrectionSystemに船体の安定制御を預けている。IPSでも採用しているこれ、マッチングが難しいといわれてきたが絶妙なコントロールを実現している。Ferretti Group Engineering Departmentの知能集団の技だろう。

2,000rpm-30.6ノット-261L/h。ターンを試みる。程よいヒールでイメージ通りのリニアな旋回を続けて行く。S字走行を試みる。左右の切り返しにも素直で安定した動きを見せ、バランスの良さを強く印象づけられた。ちなみにハルはワープドスプレイレールハル、トランサムデッドライズ15.9度だ。エンジン回転を細かく刻んでいく。2,200rpm-34.1ノット-350L/h。クルージング速度。2,300rpm-36.0ノット-353L/h。MAX2,400rpm-38.0ノット-380L/h。ハル#1のこのテスト艇には筆者とキャプテン+クルー、RIVA側開発者、プレスマネージャーにホットカスタマー3名の計8名乗船時のデータだ。

恋に落ちた、この「Dolceriva」に。いや恋に落ちた美形と二人でこのフネを浮かべて誰も知らない海に行こう。1週間分の食料を積もう。どのポートにもおいしいレストランはあるが、島まわりの入り江にアンカリングして二人だけで数日過ごそう。美味しいお酒を、白とロゼと赤。もちろんシャンパンも。気が向いたらまた走ろう。太陽がいっぱいのエンドレスサマーにお似合いのオープン艇、「RIVA 48 Dolceriva」もう誰にも文句は言わせない。P.B.

RIVA 48 Dorceriva
全長 14.92m
全幅 4.26m
喫水 1.48m
重量 21.4ton
エンジン 2× VOLVO PENTA D13 
最高出力 2× 1,000HP 
燃料タンク 1,800L 
清水タンク 310L
スピード Max 40kt
Cruise 35kt 
問い合わせ先 リュウカンパニー  
TEL: 0467-38-8612
http://lyucompany.jp