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Super Air NAUTIQUE G23 PARAGON

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ファセットカットのような衝撃的なハルデザインに、ゴージャスを極めるインテリアNAUTIQUESurfSystemが完璧なビッグウェイブを作り出す、ウェイクスポーツボートの頂点

text: Yoshinari Furuya
photo: M’s PLANNING
special thanks: NAUTIQUE BOAT JAPAN https://nautique.co.jp
ROTARY PIER 88 https://www.rotary-pier88.com

「NAUTIQUEBOATS(ノーティック)」は、フロリダ州オーランドのCorrectCraft社が建造するウェイクスポーツボートのトップブランド。CorrectCraftは、1960年代に訪れた水上スキーブームからSkiNAUTIQUEとして、業界を牽引してきたスキーボートビルダーとして知られている。だが、その歴史は、スキーボートが生まれるずっと以前、今から100年ほど前まで遡る。

CorrectCraftの前身は、1925年にWalterC.Meloonによってフロリダ州で設立されたFloridaVarietyBoatCompany。初期の頃は、熟練した職人たちにより、パワーボートやレースボート、ヨットなど、さまざまな木造ボートを建造していた。その後、パワーボートに集中し、1930年にPineCastleBoatandConstructionCompanyへと社名を変更。大恐慌をも乗り越えて繁栄を続け、8年後の1938年、CorrectCraftに社名が変更された。

第二次世界大戦の終盤、CorrectCraftの建造技術はアメリカ政府の目にとまり、ストームボートと呼ばれる小型高速艇の建造を受注する。1942年、フロリダ州タイタスビルに専用工場を開設。連合軍のために依頼された400艇を、革新的な生産プロセスにより、わずか30日で建造。その困難なミッション遂行は、「AMiracleProduction(奇跡の生産)」と呼ばれた。これにより、アメリカ陸軍からも信頼される最高品質のメーカーとして確固たる地位を築く。

戦後アメリカ黄金期の1955年、ビジネスはWalterC.Mel息子のWalterO.Meloonに引き継がれ、1961年にはファイバーグラスを使用したSkiNAUTIQUEを市場に投入。ウォータースポーツボートに革新をもたらした。

NAUTIQUEBOATSを正規輸入するのは、「エルアイビーリゾート」。CorrectCraft社のグループに属するNAUTIQUEBOATS、CENTURIONBOATS、SUPREMEBOATSの3ブランドと、トーイングボートのエンジンメーカーPCMMarineEngineの輸入販売を行う信頼のディーラー。そのエルアイビーリゾートが運営する琵琶湖湖畔のマリーナリゾート「ロータリーピア88」を基地に、シートライアルを行った。

ロータリーピア88のポンツーンに係留された「SuperAirNAUTIQUEG23Paragon(スーパーエアノーティックG23パラゴン)」。ダイヤモンドなど宝石に使われるファセットカットのような多数の平らな面で構成されたハルデザイン。前から見るバウ部分のファセットカットとヘッドライトのデザインは衝撃的。G23Paragonの個性が光るデザインに目が奪われる。

最大660mm後方に伸びる、ラウンドしたスイミングプラットフォームから乗船する。素足に優しい感触のデッキパッドが全面に貼られていて気持ちが良い。NAUTIQUEでは、“Paragon”のサブネームは特別艤装の最上級モデルのこと。Paragonだけの独特なパターンデザインが立体的に施されたデッキは、アートフルなだけでなく、グリップも水切れも良く機能的。

迫力ある高めのトランサムに向かう。デッキパッドが敷かれたリアウォークスルーからコクピットにエントリー。ステップの左右には、後ろ向きに座ることができるトランサムシートがデザインされた人気のスタイル。トランサムシートのすぐ横の壁面には、オーディオのセレクトや音量をコントロールできるスイッチパネルが備わり、水に入る前のプレーヤーがお気に入りのプレイリストを選ぶことができる。

アフトデッキの左右はクッションに覆われたサンベッド。トランサムシートのバックレスト部にあるラッチを外し、サンパッドの最上部を上に持ち上げると、後方を向きワイドな背もたれに身を委ねられるゴージャスなコンバーチブル・トランサムシートが現れる。このコンバーチブルトランサムシートは、幅680mm、高さ860mm、フットレストまで含む座面の長さは1,060mmのワイドサイズ。リクライニングし、ヘッドレストを上下することもできる優雅なもの。アームレストのそれぞれ通路側には、フリップアップするトレイテーブルも広げることができ、ドリンクやフードを置いて日光浴を楽しむことができる。また、ボタンひとつでコンバーチブルトランサムシート部分が上に大きく開き、ボードをファイルフォルダーのように傷つけることなく収納することもできる。さらに、左右のサンベッド部分と、中央のウォークスルーデッキを含むアフトデッキ全体が電動で開閉。中央のエンジンルームと左右のストレージ全面をオープン。エンジンのメンテナンスがしやすく、出港前の積み込みも効率よく行うことができる。これらは、Paragonだけの特別な装備だ。

センターの座席は、前方に移動させれば、トーイングスポーツを楽しむための、後ろ向きに座ることができるリバーシブル・デュアルポジション・スターンシート。左右のベンチシートの一部は、背もたれに変わり、後ろ向きのシェーズロング。ポートサイド最前部の座席やトランサムシートを含めると、7人のパッセンジャーが後ろを向いて背もたれに体を預け座ることができる。

トーイングタワーもスペシャル。Paragonに標準で装備されるのは、テレスコーピング・フライト・コントロールタワー。ビミニトップを水平に保ったまま、電動でタワーの高さを変えられる最新装備。最も高くした時のデッキからタワー下の高さは約2,240mm。タワーを最も低く下ろした時の高さは、約1,680mm。乗り降りが多い時には高くし、日差しや雨から少しでもコクピットを守りたいときや、低い橋の下をくぐるときには、タワーを下げて走ることができる。アメリカでは、橋のかかる水路や屋根付きのドックに入れる環境やトレーラーで牽引することも多いので、起倒式タワーは常識だが、ボタンひとつで伸縮するタワーはNAUTIQUEだけの機能的な装備だ。

テレスコーピングフライトコントロールタワーには、2つのサーフポケットを備えたタワーマウントビミニトップが装備されている。後部には収納ネットがあり、ロープやウォータースポーツアイテムを収納することができる。そして、中央には、後方をディスプレイに映し出すカメラ。水がかかることもなく、上下角度を変え安全確認をすることができる。

シートライアルは、5~7m/sの風が吹き、琵琶湖とはいえ50cm前後の波が立つラフなコンディションで行われた。まずはバラストを入れない状態での走行。ステアリングホイールを切り離岸する。1軸シャフトのスキーボートでは、コントロールし難い状況。だが、スターンスラスターのアシストで、ステアリングの操作通りにヘディングを変え、思い通りにボートをコントロールする。低速の前進でクイックに回頭することもできるし、真っ直ぐに後進し続けることもできる。

ローターリーピア88の桟橋を離れ、パワフルなトルクで加速する。パワーユニットは新型のPCMZZ8。630馬力のパワーを4ブレードプロペラに伝え、一気にプレーニングさせる。3,000回転で、16.9ノット、4,000回転で27.6ノット、クルージングスピードの4,500回転で30.2ノット。5,000回転で33.5ノット、トップスピードは、ラフな海面にもかかわらず5,600回転で36.3ノットを記録した。

水面より上はスクエアでワイドなバウも、水面に接する部分では、22.5度のエントリーアングルを持つ鋭いディープV。それに加え、今までのスキーボートにはない高目のフリーボード。スムーズに波を捌き、飛沫はミッドシップから立ち上がり、コクピットは常にドライ。高速で急旋回をしても、適度なバンクでターンに入り、パフォーマンスボートのように水をとらえ、適度なグリップで、思い通りのラインを描く。ウェイクサーフィンやウェイクボードのスピードやシチュエーションを想定し、急減速し旋回をしても、波を被ることもない。低速でも舵が効き、小周りもスムーズ。低速で波を受けてもノーズが沈み込むことなくコクピットに水が入ることもない。フラットな水面でしか走ることが想定されていない、過去のスキーボートとは全く異なるシーワージネス。進化したハルデザインが、快適性や安全性を高めている。

ウォーターバラストを入れてトーイングのテストをする。ステアリングホイールの正面奥にあるディスプレイには、スピードメーターや水温など必要な情報がモニタリングされ表示される。そして、ステアリングホイール右側のタッチ操作がしやすい位置にディスプレイが並ぶデュアル・リンク・パノレイ・ディスプレイ。Surf画面をタッチしてコントロールをする。バラストは、3,700ポンド、およそ1.7トン。5室に分かれているバラストタンクに高速ポンプで給水する。

トーイングスピードで走り、コントロールパネルを操作し、好みの波を作る。波の高さは、波のイラストが表示されたNSS(NAUTIQUESurfSystem)のコントロール画面にタッチするだけ。NSSプレートがボトムに飛び出し、抵抗を与える。反対サイドでは、NAUTIQUE独自のボトム形状が水を押さえ、泡のない綺麗な面が生み出される。最大の10から始めた場合、9・8……と下げるにつれNSSのプレートが船体より数ミリずつ横に飛び出し、5で最大になる。さらに4・3……と下げるとセンターフラップが下に下がり、ノーズが下がり、波の面が広くなる。また、レフトからライト、ライトからレフトの波の変更もタッチするだけ。2秒ほどで反対側に同じ波が生まれ、フロントからバックサイドの波に乗り換えることができる。いつまでも、どちらのサイドでも波を再現でき、乗り続けられるので、上級を目指すサーファーのトレーニングに最高のツールとなる。

実際に乗るとわかる、面の綺麗さ、広さ。そして、波からボードに受けるパワーは圧倒的。プロウェイクサーファーの佐々木麗美プロにセッティングをお願いしたが、11.8マイル(10.2ノット)のスピードで、ウェイブコントロールは10段階の2レベルで十分。ラフコンディションの中、次々とビッグエアーを決めていた。

Ski NAUTIQUEで水上スキーボートの頂点を極めたNAUTIQUEが、Air NAUTIQUEでウェイクボードを進化させ、Super Air NAUTIQUEでビッグエアーを極めた。そのSupe rAir NAUTIQUEが、ウェイクサーフィンボートでも頂点に立つ。さらにSuper Air NAUTIQUEの中でもG23Paragonは23フッターの頂点に君臨する。ライバルは、Super Air NAUTIQUE G25Paragonだけだ。P.B.

Super Air NAUTIQUE G23 Paragon
全長7.75m
全幅2.59m
喫水0.86m
重量3.51ton
エンジンPCM ZZ8S
最高出力630HP
燃料タンク248.2L
最大バラスト1,678kg
問い合わせ先ノーティックボート ジャパン  TEL: 077-579-5554
https://nautique.co.jp
https://youtu.be/3R-O8YV-K1A?si=92zATef-PNBV4GMd