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BOAT&YACHT

SUNSEEKER 65 SpoRt Yacht

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カーライクなフライブリッジSkyHelmがもたらす走りの喜び「65SportYacht」でしか味わえない、唯一かつ極上のクルージング体験がいま始まる

text:Atsushi Nomura
photo:Makoto Yamada
special thanks:UNIMAT PRECIOUS
https://www.unimat-marine.com

イギリスの名門ボートビルダー「SUNSEEKER(サンシーカー)」は、イングランド南西部ドーセット州プールに本拠地を置く。前身となるPOOLPOWERBOATはRobertBraithwaiteの手によって1969年に創業。その後、SUNSEEKERとしてプレジャーボート建造に従事する。パワーボート、パフォーマンスボートなどの分野では特に有名で、さまざまなスポーツボートを建造してきた歴史を持つ。

現在、日本ではフライブリッジタイプのManhattan(マンハッタン)シリーズがおなじみだが、SUNSEEKERと言えば現在もラインナップに残るスポーツクーペのPredato(rプレデター)シリーズが代表的なモデルとされる。

そんなSUNSEEKERが2021年春にデビューさせたニューモデルが「SUNSEEKER65SportYach(tサンシーカー65スポーツヨット)」だ。日本には2023年に1艇目が輸入され、今回紹介するのは国内2艇目となる65SportYachtである。このモデルはPredatorの発展型と言え、スポーツクーペにロープロファイルのフライブリッジを搭載したイメージだ。もともとSUNSEEKERは1980年代にHawkやTomaHawkといった象徴的なオープンスポーツボートを製造していた。その発展型として1990年代に半ばクローズドになったスポーツボートPredatorが登場。これが今回紹介するSportYachtシリーズの源流となる。2008年に発表されたPredator84にトップデッキを設けたことに始まり、その後のPredatorシリーズに小型のフライブリッジ要素が加わるようになる。Predatorシリーズの美しさを維持しながら、Manhattanシリーズなどのフライブリッジボートの要素も取り入れたハイブリッドなボートとしてSportYachtシリーズが登場した。かつては68フィートから130フィートのレンジにラインナップしていたが、現在のSportYachtシリーズには、65SportYachtの他に、55SportYachtと、75SportYachtがラインナップされている。

65SportYachtは全長20.50m、全幅5.10m、喫水1.6m、排水量37.81tonのハルに1,000馬力のVOLVOPENTAIPS1350を2基搭載。ジャイロスタビライザーはSEAKEEPER18を搭載している。パフォーマンスは35ノットオーバー、燃料容量は3,500リッター、10ノット航行では750マイルの航続距離を持っている。

まずはこのボートのコンセプトを最も体現しているフライブリッジから紹介していこう。ロープロファイルなフライブリッジが設けられた65SportYachtは「、SkyHelm(スカイヘルム)」と呼ばれるアッパーヘルムステーションが最大の特徴だ。アフトデッキ右舷側に設けられたアクセスステップを上ると、ハードトップのない広々したフライブリッジに至る。フライブリッジは、後方へ張り出しておりアフトデッキ全体の庇代わりにもなっている。後部、左舷側に広々したL字のベンチソファとテーブルが配置されている。

中央前部にコンソールと左右のシート。ここがSUNSEEKER65SportYacht最大の特徴と言えるSkyHelmと呼ばれる空間である。非常に低いポジションにある二つのバケットシートとセンターコンソールが特徴で、素晴らしい操作性を窺わせる。マルチファンクションディスプレイ、GARMINディスプレイ、VOLVOPENTAのメインエンジンコントロールの他、ワイヤレスおよび防水USB充電などが搭載されている。

二つのバケットシートは、左舷側がドライバーズシートで、右舷側がパッセジャーシート。脚を伸ばした状態で操船でき、シート自体は前後へアジャスト可能、背もたれの角度も可変だからヨーロッパ仕様と言っても日本人の体形にもぴったりと合わせられる。ここに座るとまるでスポーツカーやレーシングボートのコクピットにいるかのようだ。フライブリッジのブルワークトップは全体に低めだが、ドライバーズシートに座り込むとその低さが開放的で心地よい。

ヘルムステーションは正面にステアリングホイールとその左にVOLVOPENTAのジョイスティック。IPS搭載のためジョイスティックだけでコントロールも可能だ。コンソールにはメーター類とマルチファンクションディスプレイが並ぶ。ディスプレイはジョグダイヤルでコントロール可能。タコメーター、スピードメーター、フューエルメーターなど必要に応じて表示できる。ヘルムステーションの前にはやや低いウィンドシールドが設けられており、走行中はこれが素晴らしい働きをする。もちろん身体を起こすと風を感じるが、深く腰掛けた状態だとほとんど風を受けることはなく、クルージングしていても疲れにくい。また特筆すべき面白い機能は、ボタン一つでヘルムが起き上がる点だ。出入港時などにスタンディングポジションで操船できるようになっている。ジョイスティックでのコントロールと併せ離着岸時には非常に便利だ。さらに、サロン右舷にはロアヘルムステーション、アフトデッキ右舷後部にもサードステーションがあるため、左舷着岸時はフライブリッジ、右舷着岸時はサードステーション、悪天候時や冬場はロアステーションといった使い分けが可能だ。

サイドデッキから前方へ。広々したフォアデッキは中央に大型のサンパッドが置かれている。このサンパッドは背もたれにも可変、さらにシーティングエリアもあり、フォアデッキは最適な寛ぎの空間となっている。サイドデッキは十分な幅があって安全に移動が可能。両舷にサイドアクセスドアが装備されているため、船尾からのアクセスが困難な場合は、サイドデッキから乗降できる。

アフトデッキは大型のC字ソファが左舷側全体を囲んでいる(CShapeSocialSeating仕様)。国内1号艇ではサロンとの境のカウンターに独立したハイスツールのカウンターチェアが二つ並んでいたが、今回の2号艇はソファ仕様となっている。もちろんサロン~アフトデッキにかけてはドアがフルオープンになるため、一体感ある広大なパーティスペースとして利用できる。アフトデッキの後部は大型のサンベッドとなっており、両舷の階段からスイミングプラットフォームへアクセス可能。昇降式プラットフォームはテンダーやPWCなどの揚降も容易に行える。サンベッドの真下はテンダーガレージ。IPSを採用した結果、ガレージ全体をフラットデッキにでき、より大きなスペースが確保された。約3.45メートルのテンダーをはじめ大型フェンダーなども多数収納できるようになっている。

エクステリアの各エリアには独立したFUSIONサウンドシステムもあり、非常に音響が良いのも特徴だ。走行中にSkyHelmで音楽を流してみたが、風の音に遮られず、まるでヘッドフォンをしているかのようにダイレクトに耳に音が入ってくるほどだった。またデッキ面は全体的にFLEXITEEKを採用している。

使いやすさを重視してデザインされたサロンは、後部左舷にアフトデッキへのサーブもしやすいギャレーを擁す。IHコンロやシンク、冷蔵庫、冷凍庫が整然と並び、サロンへのサーブに使いやすい独立したカウンターが中央に設けられている。ギャレーの向かいにはVitrifrigo製ワインセラーとソファが並ぶ。ソファの後ろにはTVが格納されている。左舷前部にはU字のソファとダイネッティテーブル、右舷にロアヘルムステーションが配置されている。

ヘルムステーションは、ステアリングホイールを中心にIPS用ジョイスティック、スラスター、エンジンのスタート/ストップボタンなどが適切に配置されている。ロアヘルムのドライバーズシートとパッセジャーシートは電動でアジャスト可能。2つの大型ディスプレイは、ナビゲーション、レーダー、エンジン、オーディオビジュアル、ボートシステムなどさまざまな情報を表示。タッチディスプレイまたはジョグホイールで制御できる。コンソールパネルには、アンカー、サンルーフ、ドロップウィンドウ、ホーンなどのスイッチが並ぶ。ボートの主要機能を制御するためのタッチディスプレイにはSUNSEEKERACM8システムが採用されている。

ヘルムステーションの左にロアデッキへ繋がるアクセスステップ。ロアデッキには3つのキャビンが設けられている。ステップを下りてすぐ左手に巨大な鏡があり、さらなる奥行き感を演出している。そのミラーの右脇、正面にVIPキャビン。V字のキャビン中央にアイランドベッドを配置。左舷側手前にはVIPキャビン用の独立したシャワールーム&ヘッドがある。

ロアデッキロビーの右舷側にはツインベッド仕様のミッドキャビンがあり、この部屋にも専用シャワールーム&ヘッドが備わる。右舷ミッドキャビンの真向かい、左舷側にはサロンからの使用を考慮した独立したデイヘッドが備わっている。

艇体のほぼ中央、サロンの真下にフルビームのマスターキャビンがある。その空間は優に70フィートクラスのステートルームに匹敵する広さだ。中央にキングサイズベッドを配置し、左舷側にはシェーズロングソファとバニティデスク。収納も多数あり、右舷側手前には独立した専用シャワールームとヘッドが配置されている。シンク類などはハプスブルク王家の援助を受けてきた陶磁器メーカーVilleroy&Boch。デスクや冷蔵庫なども備わり、オフィス的な使用も可能になっている。サロン、ギャレー、ヘルム、ロアデッキロビーのフローリングはWhiteGreyOak。サロンの他各キャビンの木部にはSilverOakを採用して統一感を演出している。

パワートレインは1,000馬力のVOLVOPENTAIPS1350を2基搭載。エンジンバリエーションで900馬力のIPS1200×2基もある。メーカー発表によるスピード性能は35ノットオーバー。今回のシートライアルは三浦半島西岸のリビエラ逗子マリーナから相模湾を経て浦賀にあるシティマリーナヴェラシスまでのルート。最高回転までは回さず、クルージングスピード25ノット程度から、ややスピードを上げて30ノット前後でシートライアルを行った。素晴らしい加速感と軽快な走行フィーリング。安定した走りはスピード感を感じさせず、メーターを見て意外なほどのスピードに驚かされるほど。東京湾に入ると向かい風も強く白波が立つコンディションだったが、ヘルムはドライな状態であった。

65SportYachtは軽量で剛性の高い構造とマテリアルを採用、さらには低騒音も実現している。フライブリッジで操船中、低速で走っているとほとんどエンジン音は聞こえない。また室内にいても同様で、非常に快適だ。クルージング、オンデッキパーティー、マリーナステイなど多彩なボーティングを楽しめるだろう。SUNSEEKER65SportYachtは、従来のボートでは味わえないような稀有な体験を実現してくれるはずだ。P.B.

SUNSEEKER 65 Sport Yacht
全長 20.50m
全幅 5.10m
喫水 1.6m
重量 37.81ton
エンジン 2×VOLVO PENTA IPS1350 
最高出力 2×1,000HP
燃料タンク 3,500L
清水タンク 800L 
問い合わせ先 ユニマットプレシャス
関東 TEL:046-841-2138
中部 TEL:0533-75-2780
関西 TEL:0798-31-5066 
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