YAMAHA AR250

抜群の加速感と安定した旋回性能。数々の革新的なコントロールシステムを搭載した1.9リッターの新型パワーユニットのニューモデルが登場!
text: Atsushi Nomura photo: Makoto Yamada
special thanks: YAMAHA MOTOR
https://www.yamaha-motor.co.jp
世界屈指のジェットボートメーカーである「YAMAHA(ヤマハ)」の2025年モデルが登場した。ジェットボートはYAMAHAでは「スポーツボート」というカテゴリーに該当し、スポーツボート5モデル中4モデルがジェット推進を搭載したラインナップとなっている。「275SD」、「255XD」、「AR250」、「AR195」の4艇で、「275SD」と「255XD」は1.8リッター250馬力エンジン2基、「AR195」は同エンジン1基、「AR250」のみ最新鋭の1.9リッター195馬力エンジン2基搭載となっている。今回はニューモデル「AR250」の試乗を浜名湖にて行った。

AR250は全長7.47m、全幅2.59m、完成質量1.82tonのハルに最新鋭の1.9リッタ-(1,898cc)High Output Engine(195馬力)を2基搭載している。このエンジンは、2025年のPWCのラインナップでも一部取り入れられたエンジンで、2008年から登場した従来の1.8リッターHigh Output Engineのリニューアルモデルだ。新設計の吸気系、シリンダーヘッド、マフラー、水冷システム等を採用。基本サイズはそのままにシリンダー径を直径86mmから88mmへと大型化、1.9リッターというジェット推進のパワーユニットとしては業界最大の排気量を実現している。ボアアップに伴い、強度もアップさせているが、サイズと重量は同レベルをキープしている。実際に走らせてみるとトルクフルで非常にクイックな反応で、スムーズでパワフルな加速感が非常に楽しい。

ハルカラーは渋めのミストグレー、コクピット内もハルに合わせたやや落ち着いたカラーリングとなっている。ジェットボートでは一般的なセンターウォークスルー&バウライダーのデッキレイアウトで、バウデッキはラウンドタイプのシート配置。中央にテーブルをセットでき、合わせてセンタークッションを配置すればフラットなシートアレンジも可能だ。


コクピット右舷側コンソールにドライバーズシートを配置。ヘルムステーションには、7インチマルチファンクションディスプレイ「CONNEXT」を搭載。エンジンの状態や走行情報などの表示の他、タッチパネルとジョイスティックによる操作で、スピードコントロールや、ライト、オーディオ、ブロアなども操作可能だ。オーディオシステムはBluetooth接続が可能で、スマートフォンなどを音源として使用できる。左舷側コンソールはポータブルマリントイレも設置可能な大型ドライストレージとなっている。艇体一体型のスイミングプラットフォームは水面に非常に近く、トーイングや水遊びの際のエントリーにとても便利だ。ウェイクタワーが標準装備なのも素晴らしい。

シートライアル当日はやや風のあるコンディション。ところにより風速5~6m/s以上の風が吹いていた。ヤマハマリーナ浜名湖の桟橋を離れてデッドスローで試乗水面へと向かう。従来のジェットボートは低速走行時のコントロールが難しかったが、近年のYAMAHAのジェットボートに採用されているジェットポンプノズルと連動する可動式キールが秀逸で、実にコントロールしやすい。特に、リバース時に水流の出口がV字型となり2方向へ均等に排出するリバースバケット&ノズルは、リバース時の舵効きを著しく向上させている。離着岸時には非常に有効で、アウトボードやスターンドライブなどと同じような感覚でコントロールできるように進化している。

また、デッドスローが必要なマリーナ内などで微妙なアクセル操作による速度調整を軽減し、安定した低速走行をサポートするノーウェイクモードも搭載。このモードでも保針性は優れており、ジェットボートの著しい進化を感じさせられる。もう一つ特筆したい機能がT.D.E.機構(スラスト・ディレクショナル・エンハンサー機構)だ。スロットルレバーをニュートラルポジションから少し前進方向へ倒すと、ジェットの推進力が下方に作用する機能で、安定した低速走行が行える。ノーウェイクモードとともに低速時のボートコントロールを容易にしてくれる。


試乗水面へ移動を終え、一気に加速させる。ゼロから最高回転までほとんどハンプもない状態で一気に加速できるのはジェットボートならでは。当日の実測によると、風速5~6m/sの追い風で時速84km/h(約45ノット)、向かい風で時速78km/h(約42ノット)だった。船底の中央からスターンまでキールを装備しているため、走行時の直進安定性は非常に高い。続けて高速スラロームを行うが、キールが高いグリップ力を見せ、安定したヒールで旋回する。従来のジェットボートのような“じゃじゃ馬”感は薄れており、とてもコントロールしやすく安心感のある走りで、ファミリーユーザーにもぴったりだ。かなりアグレッシブなマニューバも行ったが、まったくと言って良いほどスプレーは上がらず、しかもウインドシールドが良く効いており強風が身体に当たることも無かった。さらにAR250は、便利なクルーズアシスト機能も搭載している。長時間のクルージングなどの際に、スロットル調整をせずに一定の回転数での走行をサポートする機能だ。コントロールボタンによってエンジン回転数を微調整でき、トーイングの際にも使用できるだろう。

25フィートクラスのベーシックモデルであるAR250には、より上位のモデルに搭載されている「DriveX」などのコントロールシステム(ハンドル操作だけで横方向への移動、桟橋への押し付け、その場旋回などができるシステム)は導入されていない。しかしながら前述の可動式キール、リバースバケット&ノズル、ノーウェイクモード、T.D.E.機構などが実に秀逸であり、低速時のコントロールも非常に良好。AR250は、これらの秀逸な機構と新型エンジンとが融合し、とても完成度の高いモデルに仕上がっている。P.B.
YAMAHA AR250
全長 7.47m
全幅 2.59m
喫水 0.48m
重量 1.82ton
エンジン 2×YAMAHA 1.9L High Output Engine
最高出力 2×195HP
燃料タンク 284L
問い合わせ先 ヤマハ発動機
TEL: 0120-090-819
https://www.yamaha-motor.co.jp




