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BOAT&YACHT

BLUEGAME BGM75

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ビーム/レングスレシオ=0.35、既存のカタマランより細身のマルチハル「BGM」-40%パワーのサステナブルな低燃費と、ルーミーな室内。LucaSantellaの新たな挑戦

text: Kenji Yamazaki 
photo: BLUEGAME
special thanks: SANLORENZO JAPAN 
https://www.sanlorenzo.co.jp

SANLORENZOのアメーリア造船所は、次世代を見通した新たなセグメントのマルチハル艇を建造する興奮に沸いていた。低燃費、サステナビリティ、ニューエイジラグジュアリー。既成概念を超えるブレイカーでもある。コンセプトは「BLUEGAME(ブルーゲーム)」の創設者LucaSantella、ナーバルアーキテクトはアメリカズカップ艇の設計やセーリングヨット、スーパーヨットデザイナーとして著名なPhilippeBriand。エクステリアデザインはSANLORENZOSXシリーズなど革新的デザインを生み出すBernardoZuccon。インテリアはコンテンポラリーデザインの巨匠PieroLissoniが担当。前衛的なチャレンジにふさわしい才能が結集して生み出された「BLUEGAMEBGM75(ブルーゲームBGM75)」、そのキャッチフレーズは“AWinnerisadreamerwhonevergivesup.”勝者とは決して諦めない夢想家だ、NelsonMandela。未来が見える。

設計の課題はプラントパワーの高効率化、最適な駆動系、低燃費、サステナビリティ。モノハルかマルチハルか、実験艇で実証実験が行われた。カタマランとモノハルの長所を引き出す最良のデータを、2021年夏の海上試験のマルチハルの実験艇で引き出した。ワイド化によるロールの減少、またモノハル艇と彼らのツインハル艇との比較では22ノット走行時にモノハルでは1,000hp必要だが、到達したツインハルでは600hpで事足りる事実を導き出した。

一般的なカタマランの長さと幅の比は、ビーム/レングスレシオ=0.50。最適値として見出したBGM75の全長22.70m、ビーム8.15mのツインハルは、ビーム/レングスレシオ=0.35。通常のカタマランでは全長と幅は約100:50、モノハル艇では100:25、実験艇のツインハルは100:35。カタマランで起きやすいコークスクリューモーションが減少する効果的な設計を完成させた。ツインハルがもたらす高効率化で40%少ないパワーでの駆動が実現している。

全長22.70m、全幅8.15m。大胆なスペース活用も導き出されフルビームの広々としたオーナーズキャビンが確保できた。更に同容積のカタマランではスーパーヨットのバースに置くしかないが、カタマランより狭いビームのBGM75ツインハルは通常の27m級バースで事足りる利点は大きい。「二つの船体が一つになった」と彼らは言う。ハルやスーパーストラクチャーにはカーボンを採用、ファニチャーを含む非構造物には軽量素材が採用され、船体の軽量化が図られ燃費効率を向上させている。グリーンメッセージとしてはデッキハウスに設置できる56枚のソーラーパネルは5kwのグリーンエネルギーを生成する。

BLUEGAME創業者LucaSantellaはイタリアのナショナルセーリングチームの名スキッパーでありレジェンド。1999年、BLUEGAMEシップヤードを設立。大きな転機は、SANLORENZOYACHTSとのリレーションの開始だ。SANLORENZOでLucaは、2017年デビューのSX88、さらに翌年デビューしたダウンサイズSX76の、刺激的で知的、エレガンスを秘めたニュースタイリングコンセプトを担当。彼の生み出したこれまでにないユニークで美しいスタイリング、新たなヒーローの登場に世界が魅了された。

翌年、2018年にはBLUEGAMEはSANLORENZOYACHTSとグループ化を果たす。BG42、BG54、BG74、BGX63、BGX73、と発展していくレンジにマルチハルのBGM75が新たに加わった。LucaSantellaの生み出したSANLORENZOSXシリーズと、このBLUEGAMEのシリーズは、マキシヨットとビッグテンダー&SUVとカテゴリーこそ異なるが、既成概念を打ち破るフォルムの提案として共通のインパクトをマリタイムシーンに提示したのは間違いない。

〈AMERICANMAGIC〉と銘打たれた全長10mのツインハル艇が悠然と展示されている。BGH-HSV(HydrogenSupportVessel)、水素燃料のフォイルボートだ。第37回America’sCupのチェイスボートとして、BGMプロジェクトの中でBLUEGAMEが建造した。トップスピードは50ノットに達し、その時のレンジ180マイルが約束されている。浮遊するBLUEGAMEのイノベーションは近い将来、BGF45として市場に投入される。更にHydrogenチームは、VOLVOPENTAと協業で水素燃料電池との組み合わせのPilotIPShybridpropulsionsystemを開発中。2025年にはBGM65HH(水素hybrid)モデルがデビューするという。その〈AMERICANMAGIC〉の先に、BGM75が舫われている。さあ、乗船してみよう。

スーパーヨット級のワイドなビーム、更に両サイドが展開するからチーク張りのアフトデッキのビーチクラブの広さは驚くほどだ。中央にはシートイやバイシクルが置かれるテンダーガレージがある。右舷サイドからメインデッキへ緩やかなラダーで上ると、サンタンベッドの開放感あふれるオープンラウンジが展開する。チークのルーフにチークのフロア、キャビンのコーナーはどこも曲面構成され柔らかな趣が漂っている。右舷サイドにフライブリッジへの緩やかなラダーがある。

デッキとの一体感に包まれるメインサロンは実にルーミー。ぐるりと囲むウィンドウからの採光、ラップアラウンドしリバースウィンドウを形作るフロントウィンドウとあでやかな趣を醸し出す。セットされる調度はPieroLissoniの作品。対面するソファとデザインテーブル、ベンチソファ、リゾートヴィラのリビングを想わせる。その前方にはロアデッキのVIPルーム2か所へのアクセス階段がある。中央右舷には楕円のキャビネットとラタンチェア、左舷前方には楕円形のダイニングテーブルとチェア&ソファがセットされる。右舷前方にはロアデッキのオーナーズキャビンとギャレーへのマホガニーのアクセス階段がある。ふとアートフルな印象、PieroLisson「iそこには予期せぬスペースが待っている」と。

サロンのウォールとフロアはぐるりとマホガニー、その前方中央にヘルムが用意される。正面にマルチディスプレイ2面とジョイスティック、前後スラスタースティックのシンプルな設定。ぽつんと置かれている。サロン前方左右にはサイドデッキへのパンタグラフドアがある。バウのオープンラウンジへのアクセスや離着岸作業の利便性に寄与する。過度な色彩や設えのない、心地よい空間演出がなされている。

ロアデッキはバウ側にフルビームのオーナーズキャビンが用意される。アイランドタイプのベッドにウォークインクローゼット、ツインシンクのゆったりとしたパウダールーム。ルーフエンドの緩やかなカーブは柔らかな包まれ感を醸し出している。VIPルームもその設えは同じようにエレガントでそつない。3ステート、4ステートの選択が可能。4ステート時のギャレーはメインサロン右舷に用意される。

フライブリッジのオープンデッキはまさにビーチサイドヴィラのテラスの趣。前方と後方の4本のカーボン製支柱がTトップのカーボンルーフを支え、チークフロアにチークの張られたルーフがリュクスな趣を演出している。チークルーフは新たなトレンドを表現している。

後部にはサンタン用のスクエアソファ、右舷寄りにはチークの半楕円のテーブルに8名のダイニングチェア、左舷には対面するリラクゼーションソファがある。前方の2本のTトップ支柱の間いっぱいに、チークトリムでカバーリングされたキャビネットが置かれている。シンク、ウェットバー、冷蔵庫etcが潜んでいる。その前方に3脚のシートに横一面のコンソールを持つヘルムステーションがある。ウッドグリップのステアリングホイールの前面にはGARMINの21インチディスプレイが3面並び、ウッド張りのコンソールデスクに前後スラスター、オートクルーズ、コンパス、エンジンコントローラー、ジョイスティック等が並ぶ。前方を見下ろすとバウのオープンラウンジが視界に入る。

default

9月13日、AM9時半、カンヌ沖。晴れ、気温25°C、南南西5m/s。心地よい風が吹いている。ウッドのステアリングに手を添えヘルムに立っている。600rpm-4.1ノット-燃費6.1L/h。1,000rpm-6.3ノット-14.0L/h。1,750rpm-9.9ノット-49.0L/h。フェアウェイライド、実に柔らかな乗り心地の連続の中にいる。エアダムスクリーンの効果は、ステアリングを預かるキャプテンへの風当たりを皆無にしてくれている。

テスト艇の搭載エンジンは2×VOLVOPENTAD8-IPS700(550hp)。今シーズン、スタンダードで用意されるのはD13-IPS1050(800hp)。更にD13-IPS1200(900hp)の選択肢もある。ハルはカーボンコンポジットをハルとストラクチャーなど随所に採用したhybrid素材の強靭なもの。DPSダイナミックポジショニングシステムや、ゼロスピード定点保持機能も持つ。同乗している10名は思い思いの場所で談笑している。

2,000rpm-11.5ノット-77.0L/h。2,300rpm-12.3ノット-109.0L/h。緩やかなピッチングがあるが全て心地よさの中。2,500rpm-13.5ノット-148L/h。ステアリングを切り込んでいく。そのままの姿勢で方位が変わり、まるで平面で平行移動するかのように回頭していく。2,670rpm-15.1ノット-177L/h。2,850rpm-15.8ノット-190.0L/h。3,000rpm-19.7ノット-248.0L/h。誰もが気づかないほど緩やかなピッチングの中でトップスピード20.2ノット-251.0L/h。ほぼテクニカルデータ通りのデータを確認。

誰もがゆったりとくつろげるクルージング速度でロングレンジを楽しむ。気の合った仲間たち、ゲスト、子供たち、それぞれがそれぞれの海時間をエンジョイする、当たり前のマリタイムを提供してくれる。このままカンヌ沖からジブラルタルを超え、パシフィックオーシャンを渡りカリブの海へ、妄想がわく。さあセールオン!P.B.

BLUEGAME BGM75
全長 22.70 m
全幅 8.15 m
喫水 1.30 m
重量 48 ton
エンジン 2× IPS VOLVO PENTA D13 1050 最高出力 2 × 800 HP

燃料タンク 6,000 L
清水タンク 1,800 L 問い合わせ先 サンロレンツォジャパンTEL: 045-752-9393
https://www.sanlorenzo.co.jp
https://youtu.be/xWTRQRuHOUA?feature=shared
https://www.instagram.com/sanlorenzojapan?igsh=MWJveHNzM2EwZGZrbg==