MIZUNO MARINE 多彩な海の現場で輝くミズノマリンの取り組み

日本屈指の舶用エンジンのスペシャリストから、海の安全までもカバーする企業へ
text: Yoshinari Furuya
photo: Yoshinari Furuya
special thanks: MIZUNO MARINE Co.,Ltd.
https://www.mizuno-marine.co.jp
ミズノマリンの取り組み
日本のマリン業界において確固たる存在感を放つ企業がある。それが、舶用エンジンのスペシャリストとしてマリン業界では誰もが知る(株)ミズノマリンだ。1989年創業、1993年には、VOLVOPENTAとのサービス協力店契約を締結。以後、ISUZU、MAN、CUMMINS、CATERPILLAR、STEYR、BUKHなどマリンエンジンや、マリンギアのZF、ウォータージェットのALAMARIN-JETなど、世界的な一流メーカー製品を正規代理店として取り扱い、多数のライセンスを保有。販売から据付、アフターサービスまでをワンストップで担える体制を築いている。最新の診断機器と専用工具、豊富な純正パーツを常備し、艇種や用途を問わず迅速かつ的確に対応する姿勢は、オーナーや船舶事業者から厚い支持を集めている。

2000年代に入ると、ミズノマリンは活動領域を一気に拡大。2002年には東京にサービスセンターを設立し、2006年に救命艇・推進装置の検査へ業務を拡張、2010年には「ISO9001ClassNK」を取得。救命艇・救助艇の検査や修理、進水装置の定期点検といった国際基準SOLASに準拠する安全関連業務にも進出。官公庁艇から大型商船まで、確実な整備品質で船員と乗客の命を守る役割を担っている。そして2013年、東日本大震災の教訓を胸に、同社は津波救命艇シェルター「+CAL(タスカル)」を発表。その性能は、高波を受けても自動的に復元するセルフライディング構造や、完全不沈設計、衝突に強いFRPシェルなど国際規格に適合。防災分野で新たな信頼と評価を得ている。2023年に、1929年創業の奥村造船工業をグループ化。最大110ftの大型艇を上架できる設備と2000馬力のベンチテストを可能とする整備工場を整えた、姫路支店サービスセンターを開設。これにより、ヨットクラスや業務艇のエンジンオーバーホールから船底メンテナンスまで対応可能な体制を確立した。大阪本社と姫路支店、そして首都圏をカバーする東京支店という三拠点で迅速に対応し、全国レベルでのサービス網を実現している。また、同社の特徴として見逃せないのが「人を育てる」姿勢。VOLVO PENTAのエンジンを用いた実機分解・組立の整備講習会を自社で開催し、マリンエンジニアやオーナーに最新技術とノウハウを提供する。単なるサービス提供者にとどまらず、業界全体の技術力底上げにも寄与している。さらに、近年は従来のディーゼル整備に加え、水素燃料といった次世代動力にも対応する姿勢を鮮明にしている。脱炭素化の波が押し寄せる中、同社は環境性能と信頼性を両立させたソリューションの提案にも力を注いでいる。

ミズノマリンの存在は一般に広く知られているわけではない。だが、彼らが日々向き合うのは「海の現場」であり、「人命と安全」、そして「航海の信頼性」。その確かな技術と真摯な姿勢は、着実に日本のマリンシーンを支えている。大阪から世界の海へ。ミズノマリンの挑戦は、これからも続く。
海上の緊急対応に求められるのは、迅速性と確実性、そして何より信頼性である。その要件を高次元で満たすのが、オランダ発の多目的艇「WHALY BOAT(ウォーリー・ボート)」だ。艇体は100%HDPE(高密度ポリエチレン)製。いわば巨大な成形樹脂ブロックであり、溶接も継ぎ目も存在しない。その堅牢さはFRP艇やRIBを凌駕し、衝突や座礁にも強い。二重構造の中空ハルにより高い浮力と安定性を確保し、沈没リスクは極めて低い。さらに、バウから人を引き上げやすいオープン設計や、抜群の転覆耐性など、救助作業に特化した細部設計も見逃せない。また、HDPEの利点は構造強度だけにとどまらない。フジツボの付着が少なく、船底塗装も不要。紫外線や塩害にも強く、清掃・維持管理の手間は最小限に抑えられる。そして、素材そのものに着色されているため、傷に強く目立たず、年数を経ても色褪せない。仮に損傷しても、熱処理による簡易補修が可能で、過酷な現場でも即応力を発揮する。モデルは全長2.1~4.99mの7モデル。定員は2名~8名。最大80馬力の船外機に対応し、船体カラーは10色から選ぶことができる。WHALY 435Rや500Rは、水難救助・港湾警備・防災用途において実績を重ね、欧州では警察・消防艇としての採用例も多い。国内ではミズノマリンが輸入・販売を担い、防災艇「+CAL(タスカル)」と並ぶ「備えのプロ」として注目されている。シンプルな構造に宿る、信頼のための必然性。WHALY BOATは、見た目以上に本質を知る者たちの心を捉えるプロユースの一艇なのだ。


SEA STORM(シーストーム)
優雅な曲線美や伝統的な木工技術が愛される世界にあって、「SEA STORM(シーストーム)」はその対極とも言える存在かもしれない。艶やかなゲルコートも、磨き上げられたチークもない。しかしそこに宿るのは、圧倒的な信頼性。徹底的に合理性を追求し、過酷な環境下で揺るがぬ信頼を発揮する絶対的な強さを持つ新世代の小型艇。それがSEA STORMである。強さの鍵を握るのは、HDPE素材と、ローテーショナルモールディング(回転成形)という建造手法。HDPEは耐衝撃性、耐UV性、耐腐食性に優れ、極めてタフでメンテナンスフリー。燃料や塩分、紫外線にも耐性を持つ。そして、ローテーショナルモールディングにより製造される艇体。それは、加熱された金型が水平・垂直の二軸でゆっくりと回転し、ポリエチレンが溶け、内壁に均一に張り付きながら中空構造の艇体を形成する製造方法。軽量でありながら継ぎ目のない頑丈なモノコックボディを生み出す。この信頼性の高い艇体は、業務艇や救難艇、あるいは遠隔地でのフィールドボートとして何よりの価値を持つ。

デザインを手がけるのは、パフォーマンス艇を多く手がけるノルウェーのMannerfelt Design。浅すぎず、深すぎず、波を切り、安定性を保つV型ハル。軽さと剛性のバランスがよく50~60馬力のエンジンで30ktに迫るスピードを出す。自己排水機構や滑りにくい床面、広いフリーボードなど、機能的で妥協のないデザイン。さらに、100%リサイクル可能なHDPEは、環境面でも注目されている。塗装を必要とせず、マリンペイントや洗剤による海洋汚染とも無縁。整備や維持にかかるコストも少なく、結果として、使い手にも海にも優しいという理想的なボートだ。ラインナップは12ft、14ft、17ftの3サイズ。いずれも広いデッキと機能的なレイアウトを備え、釣りやレジャー、レスキューなどマルチに対応する。国内では、2025年からミズノマリンが、本格展開を開始。コストパフォーマンスも高く、多くのユーザーにとって現実味のある選択肢となっている。SEASTORMは、永く使えるサステナブルな一艇として、ハードユースを前提に開発された最強のボートなのだ。
+CAL(タスカル)

かつて経験したことのない高潮や津波が現実のものとなる昨今、ボートの知見を活かして「命を守る」という新たな使命に挑む。それが、ミズノマリンが、開発・製造・販売を手がける津波救命シェルター「+CAL(タスカル)」だ。海上人命安全条約(SOLAS)に準拠した本格構造を採用し、極限環境においても乗員の生存を可能にする信頼のシェルターだ。ラインナップは家族向け4名モデルや8名モデル、大型施設向けの25名モデルまで展開。全モデルに共通するのは「不沈」「自立復元」「高衝撃吸収性」という三要素を兼ね備えるところ。耐衝撃性の高い外装とフェンダーで、漂流中の構造物や他船との衝突に対しても高い耐性を示す。さらに、転覆時には自ら起き上がるセルフライディング機構により、過酷な状況下でも命をつなぐ「最後の砦」となる。設置性にも優れている。小型モデルなら軽自動車1台分のスペースに収まり、屋上や既存避難タワーにも設置可能。シンプルな構造は、長期間の待機状態においても確実な起動性を保持し、防災意識が高まる公共施設や企業、個人宅にいたるまで導入が進んでいる。特筆すべきは、景観との調和を図る柔らかなフォルム。そのデザインは、従来の防災設備にありがちな、仰々しさはない。導入実績は全国に及んでおり、大学、医療機関、ガス会社、個人宅、美術館まで多岐にわたる。すでに各地の災害リスクを抱えるエリアで多数配備され、その信頼性は着実に評価を高めている。タスカルは、いま最も注目すべき「ライフセービングテクノロジー」なのだ。P.B.
■ミズノマリン
大阪府豊中市名神口 1 丁目 12-15
TEL: 06-6863-5233
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