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INVINCIBLE 40’ Catamaran

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無敵の名を冠したカタマラン・センターコンソール艇「INVINCIBLE」カタマランの常識を覆すマニューバビリティを誇る40フッター登場

text: Yoshinari Furuya 
photo: Makoto Yamada
special thanks: Invincible International Koji@invincibleinternational.com
Ocean’s Boat Sales https://oceans-bs.com
Bluetas Boat Service https://bluetas.jp

アメリカ合衆国フロリダ州マイアミ。世界有数のマリンカルチャーの中心地であり、熱帯の陽光とターコイズブルーの海が育むアメリカン・スポーツフィッシング文化の聖地ともいえる地に、ひときわ注目を集めるビルダーが存在する。その名は「INVINCIBLE BOATS(インビンシブル)」。ラグジュアリーかつタフネス、そして圧倒的なオフショア性能を兼ね備えた唯一無二の設計思想を持つセンターコンソールとして、北米を中心に爆発的な人気を誇っている。その姿は、一見すると武骨なデザイン。しかしディテールは、現代的なデザイン哲学と洗練されたクラフトマンシップが息づいている。

INVINCIBLE BOATSが設立されたのは2006年。創業者であるAlex Lipworthは、ひとりの熱狂的なフィッシャーマンだった。彼が感じていたのは、既存のビルダーが建造するセンターコンソーラーの中に、満足できるセンターコンソール艇がないこと。それは、オフショアでの釣行において、荒波を突き抜ける性能と、十分なデッキスペース、そして高度な艤装設計を兼ね備えたボートが見当たらなかったことだ。そこで彼は「自らの理想を実現するには、自分で造るしかない」と決意し、マイアミ郊外に小さな工房を立ち上げた。フィッシャーマンによる、フィッシャーマンのための、究極のオフショアボートを建造すること。それがモノハルで建造されたINVINCIBLE BOATSの始まりだ。

そして、INVINCIBLE BOATSが注目されたのは、後に革新的なカタマランを次々と投入したことだ。これらのカタマランをデザインするのが、世界最高峰のマルチハル・ネイバルアーキテクトMorrelli & Melvinだ。創設者はGino MorrelliとPeteMelvin。1992年にカリフォルニア州ニューポートビーチに設立。カリフォルニア出身のGino Morrelliは、幼少期からトリマランを自作。スピードと機能性を両立したハル設計において突出した手腕を持つ。そして、ミシシッピ州ジャクソン出身のPete Melvinは、ボストン大学で航空宇宙工学を学び、1988年ソウル五輪のトルネード級アメリカ代表というセーリングの実力者でもある。飛行機設計エンジニアを経た後、1994年以降、Morrelliと共同で船体設計を開始。目に見えない「水の流れ」や「波の挙動」を、精密かつ現実的に可視化・予測するCFD(Computational Fluid Dynamics/数値流体力学)を船体設計に導入。さらに、単純な定常流のCFDにとどまらず、非定常流(時間とともに変化する流れ)や多相流(空気と水の混合流)、VOF(Volume of Fluid)法と呼ばれる波面追跡アルゴリズムなど、最先端の手法を取り入れた自社ソフトを開発。その技術は、アメリカズ・カップ艇やオリンピック艇などレーサー艇をはじめ、500艇以上のトリマランやカタマランの量産艇の設計に生かされてきた。そして、2017年、フロリダの高性能ボートブランドINVINCIBLE BOATSと合流。INVINCIBLE BOATS初となるマルチハル艇を開発。ここで誕生したのが、革新的なhybrid,semi-asymmetrical,multihull designを採用したカタマラン・シリーズである。

一般的に、カタマランハルはモノハルと比べて揺れにくく、浮力に優れる反面、直進安定性に偏り、旋回時には外に傾き急激に減速する。また、高速で急旋回をすれば横Gがかかり投げ出されるような体感を感じるものだ。彼らは、カタマランが持つ直進安定性や低抵抗性能はそのまま、カタマラン特有の課題であった旋回性能に挑んだのだ。それは、左右非対称に成形されたハルの形状から旋回時には船体が内傾するという、モノハルのようなフィーリングを実現。この内傾するハルデザインは特許取得技術でもあり、業界に大きな衝撃を与えた。さらに、広大なボトムを持つ一体のフラットデッキがモノハルにないフィッシャビリティーを生み出す。

カタマランのメリットである燃費性能やローリングの少ないスタビリティはそのまま、従来のカタマランのウィークポイントであったマニューバビリティを飛躍的に向上。高性能なモノハルと遜色ない旋回性能を手に入れた。さらに、Morrelli&Melvinが設計したINVINCIBLE BOATSは、波高のある海況でも驚くほどスムーズな走行が特徴。これは、トンネル形状と高いチャインの組み合わせによる「アクアクッション効果」によるもの。トンネル構造に空気と水が適切に流れ込むことで、波の衝撃を“吸収”または“分散”し、滑らかで跳ねない走行感を生み出す効果を指す。波を叩くことなく柔らかく通過する、ソフトライドを実現した。そして、ハルの外側に設けられた高くて広いチャインは、波を斜めに逃がし、スプレーを落とし、デッキをドライで快適に保つ。フィッシングにも家族のクルージングにも理想的。それは、カタマラン・シリーズの33、36、38、40、そして46のすべてのモデルに息づいている。

ポンツーンに係留されたINVINCIBLE 40 Catamaranにトランサムから近づく。40フッターとは思えないワイドなビーム。トランサムには、純白の本体に300の文字が表記されたYAMAHAの船外機4基。そのモンスターボートが、ついに日本上陸。新世代の到来だ。

780mm幅のワイドなサイドゲートから乗船する。3連×2列のパイロットシートの後方には、3,400mm×1,700mmに及ぶワイドなアフトデッキ。3連シートの後部には、4つのカップホルダーと3本分のロッドホルダーが装備されたコンソール。上部を後方に開くと、タックルやフィッシングギアが入れられるストレージ。開いたハッチは、ベイトのセットやルアーセットのための作業台。中段には、タックルボックスやフィッシングギアを入れるドロワー。コンソールの左右にもタックルボックスが備わる。下部には、2段階にスライドするクーラーボックス。クッション付きのクーラーボックスは、後方を向いた座席としても使うことができる。そして、トランサムボードには、クリアのハッチで中がよく見える大型のライブウェル。ブルワーク最高部付近はデッキから670mmの釣りやすい高さ。全周にパッドが装着され、スタンディングスタイルで安全にビッグゲームに挑戦できる考えられたデザインだ。

ワイドなサイドデッキ。サイドデッキの下には大型のストレージ。センターコンソールのスターボードサイドには、合計8本のロッドホルダーと2つのカップホルダー。ポートサイドには、ヘッドルームの扉と2つのカップホルダー、3本のロッドホルダーが並ぶ。ロッドホルダーは、ブルワークなども併せて計32に及び、さらに、ハードトップ最後部には、11本分のロケットランチャーが備わる。

センターコクピットの前方、フォアデッキ中央には1,780mmの座面があるアームレスト付きのシェーズロング。座面のクッション部分は開くことができ、その下には、フィッシュボックスが備わる。

フォアデッキの前方、ブルワーク上部は、カタマランとわかる前後1,500mm、最大幅2,900mmに及ぶ広大なワーキングデッキ。インナータイプのアンカーシステムにより、突起物のないデッキ。オプションのSeaDekを敷き詰め、キャスティング用のレールを特注すれば、カタマランのメリットを活かしたキャスティングデッキが完成する。

センターコクピットには、3連のパイロットシート。中央がヘルムシート。大型のセンターコンソールにはGARMINの24インチモニターを2台設置。ハンドルやスロットル、一直線に並ぶスイッチ類以外に、エンジンモニター、バウスラスター、トリムタブ、オーディオなどのコントロールユニットが、美しく配置されている。そして、センターコンソールを含む各所にJLAUDIOのスピーカーが散りばめられている。その数32個。装備品、サイズ、数、全てがマッスルでゴージャスなのだ。

2本レバーを操作し、4基のエンジンを操る。シフトレバーを倒し加速する。2,000rpmで10.8kt、3,000rpmで19.0kt、4,000rpmで35.5kt。クルージングスピードは4,500rpm前後。この段階で40ktを軽く越え、5,000rpmでは、44.5ktに到達。トップスピードは、5,500rpmで51.6ktを記録。これは、搭載されている標準のトータル1,200馬力モデルでの実走記録。ちなみに、450×4基掛け、合計1,800馬力のオプションも用意されている。そして、ボート本来のパフォーマンスを確認するためZIPWAKEをオフにし40ktで旋回に入る。大きな弧を描く高速ターンは、適度にリーンインしてスムーズ。さらに目一杯ハンドルを切り、急旋回を試す。大きく内傾し、適度にスターンを流しながら、切り角に合わせて小さな弧を描く。アンダーステアな感覚もオーバーステアな感覚もなく、水をつかみ狙い通りにターンの出口に向かう、もちろん、急にグリップしたり、傾きが戻されたり、急減速する挙動もない。安定感の高いモノハルを操船しているような感覚。カタマランであることを忘れてしまう。

INVINCIBLE 40’Catamaranは、取り回しの良いサイズに、高いフィッシャビリティがキャラクター。センターコンソール艇でありながら、カタマラン構造を活かした圧倒的な静止安定性とデッキスペースの広さは、モノハルのフィッシングボートと別次元のもの。さらに、クアッドエンジンによるスピード、機動力あるマニューバビリティ、燃料消費を抑える高効率なボトムデザイン。いずれも、アメリカズ・カップ艇で磨き上げられた精緻なロジックに裏打ちされたもの。しかし、近年、増加しているカタマランモデルの多くは直線安定性を重視した従来型のハルが主流。旋回時の挙動や波当たりの硬さが課題とされていた。Morrelli & Melvinは、その難題に向き合いイノベーションを起こしたのだ。

「速くて安定するだけでは足りない。乗っていて気持ちのいいボートが、これからは選ばれる」そう語るのは、GinoMorrelli。そこには、30年にわたりマルチハルを極めてきたデザイナーの情熱が詰まっているのだ。P.B.

INVINCIBLE 40’ Catamaran
全長 12.2m
全幅 3.7m
喫水 0.95m
重量 9.752ton
燃料容量 3,637L
エンジン 4×Yamaha F300
最大出力 4×300HP
問い合わせ Invincible International
E-mail Koji@invincibleinternational.com