LEXUSLY680
「LEXUS」の新たなフラッグシップ「LEXUSLY680」が受注を開始HORIZONとのパートナーシップにより、2026年春、まずは日本のマーケットへ登場する
text & photo: PerfectBOAT Magazine
special thanks: CREATION https://creation-marine.co.jp
HORIZON Grouphttps://www.horizonyacht.com
「LEXUS(レクサス)」の新たなフラッグシップモデルとなる「LEXUSLY680(レクサスLY680)」が、2024年3月上旬に台湾・高雄にて行われたHORIZONOpenHouseにて関係者のみに先行発表、3月21日に正式発表された。「LY680」は従来のLY650から全長を3フィート伸長、具体的にはフライブリッジとスイミングプラットフォームとを拡張した一部改良モデルとなる。2019年秋に発表されたLEXUSLY650は、コロナ禍の影響もあり北米での生産が2020年にはストップ。その後、生産再開には至らなかったが、水面下では新たなプロジェクトが進んでいた。今回、新たにLEXUSのパートナーとなったのは、台湾最大手ボートビルダーであり、ラグジュアリースーパーヨットでは世界屈指の存在である「HORIZONGroup(ホライズン)」である。
新たなLY680は、LY650からのフィードバックを受け、フライブリッジを1,400mm拡張、広々したラウンジソファやバーベキューグリルを設定できるようになった。スイミングプラットフォームも700mm拡張、さらにリフターのパワーを強化し、PWCやテンダーの搭載も可能となっている。さらにバウスラスターをオプションで追加、VOLVOPENTAの操船支援機構もオプション追加できるようになっている。エンジンバリエーションは従来同様、スタンダードがIPS1050(850馬力)×2基、オプションでIPS1350(1,000馬力)×2基を選択可能。またHORIZONで建造するにあたり、ハル、デッキ、スーパーストラクチャーのそれぞれのモールドも新たに作り直している。すでに3月21日から受注をスタートしており、1号艇は今秋から建造を開始、2025年秋に進水予定だ。1号艇はシェイクダウン用として徹底的に製品チェックを実施、マーケットへの本格投入は2号艇以降が進水する2026年春頃を予定している。
LY680のプロジェクト責任者、トヨタ自動車新事業推進部マリン事業室長の林豪氏に話を伺った。今回のHORIZONGroupとのパートナーシップについては、「過去3年間、国内外の名だたるボートビルダーと、LEXUSブランド、そしてラグジュアリーヨットの世界観など、さまざまなディスカッションをしてきました。その中で最も決め手となったのが、HORIZONの品質への考え方、建造への取り組み方です。TPS(トヨタ・プロダクション・システム)の考え方をより理解し、品質向上をお互いに徹底的にやっていけると確信したからです。HORIZONとはそういったフィロソフィを共有できる点が、パートナーとして選んだ最大の理由になります」と語る。具体的にHORIZONに期待する点として、FRPの品質、同じアジア人ならではの感覚、きめ細やかさ、細部にこだわった品質管理などを挙げ、特に彼らの責任感の強さはリスペクトしているという。
LY680の建造目標は年間2~6艇。フルオーダーが得意なHORIZONではあるが、LY680はあくまで量産を目標に、まずは基本パッケージを造り、ある程度はオプションパッケージを選択できるようにしていく方向だ。もちろんラグジュアリーヨットであるため、木材、壁材、カーペットなどは、LEXUSヨット販売店で選択できるように調整していく。またLY680は、当面は日本に限定して販売する。台湾ならではの距離感は特に日本の顧客にとってメリットが大きく、建造途中での工場見学なども北米のビルダーより遙かに実施しやすくなるからだ。ただしすでに海外からの問い合わせも多いため、速やかに世界へも展開していくという。HORIZONの販売サービスネットワークも活用し、互いに協力関係を構築していくそうだ。
HORIZON自体は従来からフルオーダーを得意とするビルダーである。HORIZONサイドとしてはTPSを通して、「量産」、「効率化」を学ぶというメリットもあるようだ。TPSは「自動車生産の効率化」と思われがちだが、本来は、ジャンルにとらわれず、ひとつひとつの無駄を明確化しながら作業の効率化を追求していく生産方式を指す。そのため、工期の長いボート建造では特に、高い効果を生み出すはずとされる。林氏曰く「正味の時間と呼びますが、本当に価値のある仕事をしている時間をいかに生み出すか?これを徹底していくのがTPSです」。工期の効率化、短縮が図られれば、全体的な生産量も増え、LEXUSにとってもHORIZONにとっても、互いに相乗効果が望めるわけだ。
最後に林氏に、LEXUSYachtの今後のビジョンを尋ねた。「LEXUSというブランドはまだまだ成長途中です。長い年月をかけて世界に通じるラグジュアリーライフスタイルブランドに育てていきたい。LEXUSYachtはそのための一環です。まずはLY680を育てていく中で、次なるモデルクラスを展開していきたいですね。必ず何らかの形で、LEXUSブランドに貢献できるものを造っていきたいと考えています」と語る。林氏は大学で造船工学と計算流体力学を学び、2000年の第30回アメリカズカップで「ニッポンチャレンジ」に関わった経歴を持つ。トヨタ自動車では車両のボデー設計を経て、2020年から念願だったマリン事業に関わるようになり、その最初の仕事が、このLY680となる。こよなく海を愛し、ボートを良く知る林氏が主導するLEXUSYachtのこれからに、大いに期待したい。P.B.
LEXUS LY680
全長20.66m
全幅5.76m
エンジン2 × VOLVO PENTA IPS1050 / IPS1350
燃料タンク4,012L
清水タンク852L
問い合わせ先 マリン営業所TEL0120-532-451
https://lexus.jp