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BOAT&YACHT

TARGA 25.1

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フィンランド北西ボスニア海で鍛えられたシーワージネスに、無骨さが生み出すエレガンスTARGAの成功を象徴するレジェンダリーな第四世代のT25.1

text: Kenji Yamazaki 
photo: Makoto Yamada
special thanks: WINCKLER
https://yacht-w.com

北欧のワークボートスタイル、リバースウィンドウのパイロットハウスを持つそのフォルム。オフホワイトのハルカラー、サイドドア脇からアフトデッキをめぐるチークレールのブラウン、パイロットハウスのチークトリム、ブラックのハンドレール、パイロットハウスルーフサイドのダークブルー、ウォーターラインのバーミリオンとダークブルーのダブルライン。直線基調のフォルムにバランスの良いカラートリム。高速時のエアロダイナミクスには反するが飛沫や雨の水滴を離反させる逆傾斜リバースウィンドウ、作業性の良いウォークアラウンドとキャビン両サイドのスライドドア、セカンドヘルムのみのシンプルなフライブリッジ。どこか無骨にすら見えるそのたたずまいはまさに海のSUV、無骨さが生み出すエレガンス、コンパクトでありながら安定感に満ちた存在感を漂わせている。

オフショアモデルとして「Botnia Marin」のその後の成功を象徴することになるレジェンダリーなT25のデビューは1979年。このモデルは第四世代のT25.1となる。

チークパネルの張られたトランサムステップ、左舷サイドにはスイミングラダーが折りたたまれる。センターは上部に開閉し、真下のドライブの点検も容易だ。トランサムステップの周囲にはブラックのバンパーが張り込められ、同様にガンネル全周をぐるりとブラックのラバーバンパーが取り囲む。バウにはY字のバンパーがステムをガードする。

中央のトランサムゲートからアフトコクピットへ。パルピットのチークがいい趣を漂わす。両サイドコーナーにチークの張られたベンチロッカー、パイロットハウス後端両サイドに折り畳み式チークシートが用意される。広いフロア下にはスターンドライブのユニットVOLVO PENTA D4-300/DPI×1が収まっている。

特徴的なセミフライブリッジの試みがこのT25.1の初代に始まる。パイロットハウス後端部に張り付くようにセットされたセカンドヘルムステーション、実に合理的なセッティングが施されている。2段のウッドパネルの張られたステップで左右2脚のヘルムシートに。右舷のキャプテンシート、ステアリングホイールの右にVOLVO PENTA D4のコントローラー、エンジン回転計、チルトアングル計、ラダーアングル計、前後スラスタースティックなどが並ぶ。レーダーアーチやグラブレールすべてにブラックパウダーコートが施されている。

サイドウォークでバウへ。U字ベンチの座面はオールチークが施され、それぞれの下はストレージ。パイロットハウス前部にバウデッキからのアクセスとなるトイレコンパートメントが設置されている。電動トイレにシンク、シャワー、ライトが潜んでいる。

サイドスライドドアからキャビンに入る。両舷に用意されるサイドスライドドア、利便性抜群、これは素晴らしい。キャビン内は落ち着きのあるウッディな趣に包まれる。フィンランドの木工技術が作り上げる重厚で上品なインテリアの落ち着き。ルーフ、ヘッドアップパネル、サイドウォールにチークが奢られている。

右舷サイドに実に巧みにレイアウトされたヘルムが展開する。ステアリングホイールの周りはタッチスイッチ類、コンソール右手にはVOLVO PENTA D4-300/DPIのコントローラー、左にはバウ/スターンのスラスタースティック、トリムタブ、各種スイッチ。前方にGARMINの12インチマルチディスプレイがセットされる。頭上のオーバーヘッドにアナログメーターが整然と並ぶ。エンジン回転計、油圧、冷却、燃料、チルト、燃料、バッテリー、ラダーアングル。ルーフトップのサーチライトの手動ハンドル。左舷サイドにはサービスバッテリー計、清水計などがセットされる。フロントのリバースウィンドウには遮光のロールフィルムが内側に。メインヘルムではサングラス不要。

ヘルム左舷前方のテーブルトップを開けるとギャレーシンクが現れる。その下はギャレーストレージ。50Lの冷蔵庫も潜んでいる。キャプテンシート、左舷のナビシート、後部のベンチシートはアルカンターラ、カラーはグレー、ホワイトのパイピングのハイセンス。ここにも仕掛けが隠されている。センターにルーフまでポールが立っている。そのポールにチークテーブルが。テーブルを降ろし、ヘルムシートを回転させると対面5人のサロンが展開する。更に3人掛けシートの2人分のシートを左舷サイドに跳ね上げフロアハッチを開けるとロアフロアが現れる。2段降りることでロアデッキキャビンとなる。両舷にはベッドスペースが確保されている。後部ウォールにはチークパネルの大型ストレージと開閉可能な後部ウィンドウが展開する。理にかなった実利的なアイデア満載、海遊び満喫のための設えだ。エアコンは装備されないが北欧の厳寒期対応の強烈な燃焼式暖房機Eberspche(rエバスペシャー)は装備される。オーディオシステムは最新のFUSION、抜かりはない。

加えてフィッシャビリティに特化したTarfishシリーズ、コーストガードやポリス、タクシーボートやダイビングボートなどに向けたProfessionalシリーズが用意される。“The 4×4 of The sea”のキャッフレーズのTARGA、そのイメージはメルセデスGクラスを彷彿とさせる。

先ほどまでの晴天は雲行きが怪しくなっている。気温24°C、薄曇り、南西風7m/s~。波0.7m~1.0m。チョッピーな波が立ち始めている。FBでの操船。スロットルを入れていく。700rpm-4.6ノット-燃料消費1.9L/h、1,000rpm-5.9ノット-3.8L/h。確実なトルク感がある。1,500rpm-7.98ノット-13.0L/h、1,800rpm-9.41ノット-20.0L/h。2,000rpm-11.2ノット-25.0L/h、2,300rpm-16.1ノット-32.0L/h。ほとんどハンプを感じさせないままきれいなプレーニングに移り速度は上昇していく。

風が強くなったのか風波が重なり始める。うねりを伴う波、その中に突っ込んでみる。重量感のある波切とともにことが済む。このコンパクトなフネなのに。ターンを試みる。スターンドライブの軽快な特性を維持しながら安定した挙動を見せつける。ワンサイズ上のフネに乗っているような浮遊感に包まれる。ハルの強靭さ、全体のバランス、絶妙なものがある。コア材をサンドイッチにしたバキュームインフュージョンの工法、更にストリンガー構造にウレタンフォームを注入したハルは軽量高剛性を約束するだけでなく、防音性にも大きく寄与している。ディープVハルのスポーツ性が遺憾なく発揮される。静寂性、それは最高速を試すメインヘルムでの操船時にも感じることができた。フィンランド北西部ボスニア海で鍛えあげられたからこそのハイレベルなシーワージネスを身に着けたTARGA、真冬の激寒期の対候性、短い夏のエンターテインメント、日本の海の環境にリンクする。

2,500rpm-19.8ノット-34.0L/h、2,800rpm-25.0ノット-34.0L/h、3,000rpm-27.0ノット-42.0L/h、フルスロットル3,500rpm-34.7ノット-48.0L/h。平穏なアーキペラゴ多島海での楽しみ、そこを外れた荒れる海でのシーワージネス、マニューバへの信頼がこのTARGAスタイルを生み出した。

BotniaMarinのその後の成功を象徴することになるオフショアボートT25のデビューは1979年。このモデルは第四世代のT25.1。歴史の証人に出会った興奮に包まれていた。ボーティングライフをこのT25.1で始められたら幸いなことに違いない。P.B.

TARGA 25.1
全長 8.38m
全幅 2.88m
喫水 1.05m
重量 3.50ton
エンジン VOLVO PENTA D4-300 
最高出力 300HP 
燃料タンク 420L
清水タンク 60L 
問い合わせ先 ウインクレル  
TEL: 045-681-0104
https://yacht-w.com