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BOAT&YACHT

VIKING 48 Convertible

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「VIKING 48C」は、「VIKING YACHTS(バイキング)」のOpen Bridgeと呼ばれるコンバーチブルシリーズ10モデル中2番目のサイズ。
それは、モデルチェンジを重ね建造され続けてきた人気のサイズでもある。日本の海にジャストサイズのVIKING 48C。
その造りや装備は、大型のVIKING YACHTSと変わらない。
48フィートの限られた全長にVIKING品質が妥協なく取り入れられ、傑作の呼び声が高い。

text: Yoshinari Furuya photo: Makoto Yamada
special thanks: QUAY SIDE   https://www.quayside.co.jp

ZFジョイスティックを装備、熟成を重ねた日本にジャストサイズの48フッター
VIKINGクオリティの新たなスタンダードモデルが、ゲームフィッシングをさらにリードする

 スポーツフィッシャーの雄「VIKING YACHTS(バイキング)」。最も人気の高い「C」と付けられたオープンブリッジのコンバーチブルシリーズには、44フィート~90フィートまで10モデルがラインナップされている。最小モデル「44C」の次のサイズとなる、「48C」のフルツナタワー最新モデルが、初上陸を果たした。

VIKING YACHTSは、スポーツフィッシャーの世界では、最もメジャーなビルダーの一つ。ビルフィッシュをしている人ならばVIKING YACHTSを知らない人はいないであろう。また、VIKINGがスポーツフィッシングボートのトップビルダーと言われる理由は明白だ。その答えは、圧倒的な建造数。1964年の設立から現在まで4,000隻以上を進水させてきた実績が証明している。
 スポーツフィッシャーの創世期から1世紀近い歴史の中、数多くのビルダーが登場してきた。だが、隆盛を極めたビルダーですら建造数は数百隻にとどまる。何より、伝統あるビルダーを含む多くのフィッシングボートビルダーは、時とともに衰退し消滅するか、他のビルダーやファンドの資本が入り、創業時のアイデンティティは失われてきた。また、創業者が伝統を守る人気のカスタムビルダーは、そもそもワンオフやセミカスタムの少量生産なので、ハルナンバーは100隻程度。多くのビルダーの中でも、オーナーが変わることなく、これほど多くのカスタマーを獲得してきたビルダーは、VIKINGの他に見当たらない。そして、VIKINGからVIKINGに乗り換えるカスタマーが多いことも注目すべきポイント。VIKING YACHTSのクオリティコントロールとアフターケアが信頼されてきた証だ。

信頼のバイキング

 本国アメリカでは、本社ファクトリー以外に、マイアミとニュージャージーにメンテナンスヤードを運営し、デリバリー時のフィッティングやリフィット、アフターメンテナンスを行っている。そのカスタマーに信頼されるVIKING YACHTSが選んだ日本のインポーターが、「キーサイド」。VIKING YACHTSのフィロソフィを受け継ぐキーサイドは、横浜ベイサイドマリーナから2マイルの横浜市磯子区に自社のメンテナンスヤードやクレーンを構え、本国アメリカと同じようにフィッティングやアフターケアを提供している。顧客満足度の高いサポート体制を整え、日本でもVIKING YACHTSブランドの価値を最大に高めている。

今回オーナーが新しいVIKING 48Cに求めたこだわりの一つは、BUCブルーと呼ばれるVIKING YACHTSを代表するハルカラー。このハルカラーと相性の良いチークに覆われたブルワークに足をかけ乗船する。アフトデッキ周りのブルワークを覆うのは、25mmの厚みがある無垢のチーク。乗り降りでは滑りにくく、タグ&リリースなどデッキワークでは、触れる手や体を優しく受け止め怪我を防ぐ。また、ルアーやティーザーを流す準備をする作業台としても滑らず使いやすい。トランサムボードの上部には、ベイトタンク。強制循環のライブベイト用タンクはおよそ600mmの深さがありクラス最大の容量。2分割のハッチを開けると、カッティングボードが現れ、ライブベイトを素早く処理し、セットできる。左右のブルワークには2本ずつ、計4本分のロッドホルダー。さらに、すぐ前方には左右それぞれに3本、計6本分のロッドホルダーも備わり、短時間でファイトの体制に入ることができる。

約11.5㎡のコクピットには、バトルシップとして必要な機能が装備されている。中央にはRelease Marineのファイティングチェア。その足元、スターン中央のハッチ内には、ジャイロの力でローリングを抑えるSeakeeper 9が収まる。スターボードのフロアハッチを開けると強制循環イケスとストレージ。ポートには、3分割にできる大型のフィッシュボックス。ボックスにはエンジンルーム内のアイスメーカーからクラッシュアイスが供給される。
 アフトデッキ前方にも機能的なエクステリアが詰め込まれている。その中心は、4人掛けのメザニンシート。座席の下にはデッドベイト用に使われるフリーザー。足元のフロアにはストレージ。キャビンドアの手前フロアには、ドリンク用のフリーザー。ポートサイドには、フライブリッジに上がるラダーとタックルボックス、床下にはストレージが備わっている。
 そして、メザニンシートの左側がエンジンルームハッチ。メザニンシートの背もたれから足元まで、全体がダンパーの力で大きく跳ね上がり出入りがしやすく安全。ステップを降りると、白く眩しいエンジンルームには1,200馬力のMAN V8が2基並ぶ。エンジンルームのヘッドクリアランスは1,530mm。最前部から左右サイドにも回り込むことができるメンテナンス性の高いレイアウト。エンジンルームのベンチレーションはDelta-Tシステム。塩分や湿気を含んだ空気の侵入を抑え、適切な流量のフレッシュエアを吸入。エンジンルーム内の温度と圧力を最適化し、エンジンのパフォーマンスを最大に引き出すシステムだ。

戦闘面と機能面が両立したフライブリッジ

フライブリッジも戦闘的かつ機能的。そのレイアウトは、Open Bridge全艇に取り入れられたセンターコクピットスタイル。センターコクピットの後方には、チークがあしらわれたRelease Marineのヘルムシート。スターボードサイドには、同じRelease Marineのナビゲーターシートが並ぶ。これは、ヘルムシートが、フライブリッジの最後部となるアフトヘルム。バックレストを取り外し、後方を向いてパームビーチスタイルのシフトレバーを操作。操船しながらアフトデッキのファイトシーンが見渡せる。


 そして、フライブリッジの左右にはベンチシート。ベンチシートにバックレストを装着すれば、後方のルアーや海面を観察しやすい後ろ向きの座席になる。また、センターコクピットの前部にはベンチシート。見晴らしの良いベンチシートは、クルージング時の特等席。センターコクピットスタイルは、多くのクルーやゲストが座ることができる上、ナビゲーターもクルーもヘルムを邪魔することなく、アフトデッキに行き来できる機能的なデザイン。これもVIKINGが広めた人気のスタイルだ。

快適なキャビン

VIKING 48Cの魅力は、機能的なエクステリアだけではない。リュクスなインテリアやアコモデーションも人気の理由だ。アフトデッキのステップを上がり、自動ドアを開けサロンに入る。ピアノフィニッシュのチークとオフホワイトのコントラストが清潔で明るい印象。スイッチパネルは、ポートサイドの使いやすい位置に集約されている。スターボードサイドには、L字のラウンジソファ。背もたれと座面が一体で開くストレージ。ダンパーのアシストで軽く大きく開き、ロッドなど長尺物を収納しやすい。ソファからは、大型のリアウィンドウ越しにアフトデッキを見ることができる。

 サロン前方には、カウンターで分けられたギャレー。カウンタートップは、豊富なデザインから選ぶことができるCAMBRIA製クォーツストーン。先端には高目のハイカウンターと2脚のカウンターチェアが並ぶ。ギャレーもフルスペック。カウンターの下にはスライド式のリフリジェレーターとフリーザー。カウンターにはシンクとMieleのコンロ。戸棚を開けるとマイクロウェーブも装備されている。また、ギャレーの対面にはダイネッティ。ギャレーを中心に、大勢で寛ぐことができるリュクスなメインサロンだ。

 ダイネッティとギャレーの間を通り、階段を降りる。ポートサイドには、ランドリー。BOSCHの洗濯機と乾燥機が縦に並ぶ。その前方にはデイヘッドを兼ねたトイレとシャワー。

さらにバウ側には2段ベッドのゲストキャビン。そして、バウキャビンにも2段ベッドのゲストキャビン。スターボードサイドには、マスターステートルーム。高級感のあるヘッドボードにダブルのアイランドベッドが備え付けられている。もちろん、トイレやシャワールームは専用。リュクスなアコモデーションが、ファイトの疲れを癒してくれる。メガヨットと変わらないラグジュアリーなインテリアが、クルージングボートとしても評価の高い所以だ。

 そして、VIKING YACHTSが他の追従を許さない理由は、機能的なエクステリアやラグジュアリーなインテリアだけではない。シーワージネスこそ、VIKINGの最大のストロングポイントだ。
 スロットルを倒し、加速する。900rpmで9.4ノット。トンネルハルと直径760mmの5ブレードプロペラにより、低振動、低騒音のまま静かに力強く加速する。1,200rpmで12.6ノット。ノーズを少し上げ、プレーニングに入る。1,500rpm、19.2ノット。1,800rpm、26.5ノット。複数の本船が作る東京湾特有のチョッピーな波を、剛性の高い船体がソフトに受け止める。シャープなエントリーが波を切り、ダブルチャインが飛沫を横へ飛ばし、アフトデッキはミストもなくドライ。2,100rpm、31.5ノット。30ノットオーバーでもエンジンロードは80%ほど。パワーロスのないトンネルハルと水平に近いシャフト角によりハイパワーと低燃費を実現。トップスピードは2,300rpmで37.8ノットを記録した。

クルージングスピードの30ノットでマニューバを描く。トンネルハルのシャフト船でありながら、遅れの少ないリニアなレスポンスが特徴。ミッドシップのバランスで、ピッチングもほとんどすることなく、リズムよく弧を描く。旋回しにくい高速ボトムでもなく、動きが激しすぎるデザインでもない。VIKING 48Cは安定感と高い運動性能を高い次元で手に入れたグランツーリスモなのだ。
 そして、VIKING 48Cに新しいテクノロジーが実装され注目を集めている。それはトランスミッションを開発するZFが開発したJMS(Joystick Maneuvering System)。ZF SmartCommand電子制御システムとバウスラスターをコントロールし、ジョイスティックでボートを自在に操るもの。ドックへの横移動やその場での360度回転など、PODドライブと同じような動きを、バウスラスターを搭載した2軸のシャフト船で行うことができる。さらに、定点を維持するiAnchorや、スパンカを使った動きのようにヘディングを固定し、自在に流すiDriftにも対応する。そのメリットは、シンプルでトルクフルなインボードシャフト船の走りと、PODドライブのようなイージードライブの両立。また一つ、VIKINGがスポーツフィッシャーのスタンダードを切り開く。
 良いものであれば、全てのモデルに採用し、十分な検証を重ねて新しいテクノロジーも積極的に取り入れる。それがVIKINGのフィロソフィ。トップに君臨し続ける理由なのだ。 P.B.

VIKING 48 Convertible全長 15.0 m
全幅 5.2 m
喫水 1.4 m
重量 30.09 ton
エンジン 2× MAN V8 1200CRM
最高出力 2× 1,200 HP
燃料タンク 4,504 L
清水タンク 674 L

問い合わせ先 キーサイド  TEL: 045-773-0777
https://www.quayside.co.jp