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年に1度のユニークなワイン・エクスペリエンスを満喫する

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シアトルで楽しむ美味しいワシントン・ワインのテイスティング「Taste Washington」飲んで楽しむだけではなく、歴史あるワイナリーでオリジナル・ブレンド・ワイン造りに挑戦!

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photo & text: Hidehiko Kuwata
special thanks: Visit Seattle https://visitseattle.org

アメリカ最大規模のワイン&フードフェスティバル、「テイスト・ワシントン」は2023年で23回目を迎えた。コロナ・パンデミックで3年ぶりの開催となったが、今回も250を超えるワシントン州のワイナリーと最高のレス
トランが、NBLレイカーズのホームグラウンドT-MobileParkの隣にある、Lumen FieldEvent Centerに集まり美味を披露した。会期中にはワインメーカー、栽培者、マスター、ソムリエなどのワイン関係者が参加して、パネルディスカッション、ブラインドテイスティングなども行われ、まさに食とワインの祭典にふさわしい盛り上がりを見せた。

「テイスト・ワシントン」は、長年に渡り多くの新しく設立されたワイナリーの出発点となってきた。今回もシアトルの南東方向に広がるワインカントリー、ヤキマ・バレーからは、ピーターとケルシーのデヴィソン夫妻が運営するワイナリー「デヴィソン・ヴィンターズ」の『Devison2022ソーヴィニヨンブラン』、ワラ・ワラ・バレーからは、NFLの元スター選手シドニー・ライスと実業家ティム・レニハンによる新プロジェクト「ドシエ・ワイン・コレクティブ」の『Dossier2021シラー』、女性オーナー兼ワインメーカーであるケルシー・イタメリのワイナリー「イタ・ワインズ」の『itä2020メルロー』など、今後が期待されるワイナリーの逸品が注目を集めていた。

市内各所では、ワシントン州の太平洋岸北西部の豊富な魚介類とのワイン・ペアリングにスポットライトを当てた「パシフィック・スタンダード」、シェフとワインメーカーの考え抜かれたペアリング・ディナーのラインナップが楽しめる「ディナー・シリーズ」や「ノー・スリルズ」など、人気シェフの定番料理とワインの遊び心のある組み合わせを満喫できるイベントも開催された。今年の「テイスト・ワシントン2024」は、2024年3月16~17日に開催される。

クラフトビール造りで理想的なコミュニティを目指す

ホップの生産量全米1位のワシントン州。州内には大小あわせて400を超えるブルワリーが点在している。当然シアトルでもビール文化は生活に密着しており、少量生産のビール、様々なフレーバー、季節限定品、またスーパーなどには流通せず飲食店でしか飲めないビールなど、この街のビール文化は様々だ。今回は黒人オーナー、ロドニー・ハインズ氏が経営するクラフトビール醸造所「メティエ・ブリューイング・カンパニー(MBC)」を訪ねた。

ハインズ氏は力強い言葉を発する人で、彼は真剣な眼差しでこう語る。「国内で数少ない黒人経営の醸造所であることを誇りに思っています。サプライヤーからビール・ラベルのアートワーク、ビールを提供するチーム、そしてビール愛好家を含めて、みんな一つのコミュニティなのです。ビールによってコミュニティが形成されていて、これがMBCのポリシーでもあります」

彼はMBCを創業する前は、スターバックスで米国事業の社会的影響担当ディレクター(directorof social impact)を務めており、多様な低所得層のコミュニティを支援する彼の長年に渡る活動は、ファスト・カンパニー(米国の月刊ビジネス誌)による「2017年ビジネス界で最もクリエイティブな100人」に選ばれている。現在、シアトル美術館のコミュニティ諮問委員会やシアトル大学青少年イニシアティブ諮問委員会のメンバーも務めている。

MBCにはそれぞれ数種類のエイル、ポーター、ラガー、IPAなどのクラフトビールがあり、中でもフレーバーが印象に残ったものは、『テキーラ・バレル・ポーター』、『バレル・スコッチ・エイル』、『バレル・アンバー・ライ』の3種類。ともにスピリッツ系のフレーバーを加味した適度な渋みとアルコール感のある芳醇な味わいのビールに仕上がっている。

シアトル近郊のワインカントリー、ウッディンビルへ

シアトルの北東に位置する緑に包まれたウッディンビルは、ワイナリーや前述のヤキマ・バレー、ワラワラ・バレーのワイン生産者たちが運営するテイスティング・ルームが集まる小さな街だ。目抜き通りである145thストリート沿いを中心にワイナリーなどが並んでいる。まずはヤキマ・バレーに単一品種のブドウ畑を所有して素晴らしいシャルドネを造っている「ジェイン・コッテージ」のテイスティング・ルームを訪ねた。ここはファミリー経営のブティック・ワイナリーで、アリ・メイフィールドという優秀な5種類のワインを試飲しながら各品種について学び、自分の好みのブレンドになるまで調合して、自分だけの赤ワインブレンドを作る「WinemakerforaDay」。じつにユニークなワイン体験だ。ワインメーカーを擁し、絶品の白ワインを中心に事業を展開している。

まさに“コッテージ”といった趣のテイスティング・ルームはアットホームな装いで、彼らが造る白ワインのイメージそのままだ。フラッグシップのシャルドネはもちろん、リースリング、ロゼ、ロゼのスパークリング、どれも爽やかな飲み口だがフレーバーは芳醇だ。各ヴィンテージは限られた供給量の手摘みブドウから造られ、サスティナブルな農法と繊細な醸造技術を用いて丁寧に生産されているワインだということを改めて実感する。

さて次に向かうのは、1954年創業のワシントン州で最も長い歴史を持つワイナリー「シャトー・サン・ミッシェル」だ。あらゆる品種において優れたワインを造っている人気ワイナリーだが、今回はテイスティングではない。自分だけのオリジナル・ブレンドの赤ワインを造るのである。まずはワイン・エキスパートのレクチャーを聞きながら、5種類の赤ワインをテイスティングする。そしてこれらをブレンドして自分好みのテイストを考慮し、品種の違うワインの旨味やフレーバーを考慮して各ワインの調合の割合を決めるのだ。

正解はないので決め手となるのは自分のイメージだけだ。目盛りの記された小さな計量カップに各ワインを注ぎ、それぞれの量をメモして各ワインの割合を確認する。そして壁面設置されているワイン樽から、今度は700mlのワインボトルに換算した割合で、5種類のワインを大きな計量カップに注いでいく。ボトリングの前はラベル作りだ。自分の絵でもサインでも自由にデザインできる。最後は空のワインボトルにブレンドしたワインを入れ、コルクを押し込みシーリングして、先ほど作ったラベルをボトルに貼り付け、オリジナル・ブレンド・ワインの出来上がりとなる。ワイナリーを訪れてテイスティングを楽しむだけではなく、自分のオリジナル・ブレンドを造ってみる。これはじつに面白いワイン体験だった。P.B.