NIMBUS C11

スウェーデンの老舗「NIMBUS」が提案する新たなトレンド「Commuter」シリーズVOLVOPENTAアクアマティック、上質コンフォートな40フッタースカンジナビアンボート
text: Yoshinari Furuya
photo: Makoto Yamada
special thanks: WINCKLER
https://yacht-w.com
ヨーロッパの北側に位置するデンマーク、ノルウェー、スウェーデン、フィンランド、アイスランドに、グリーンランド、フェロー諸島、オーランド諸島を加えた5か国3地域を「北欧(Nordic)」と呼ぶ。これにエストニア、ラトビア、リトアニアのバルト三国を加えたものが広義の「北ヨーロッ
パ(Northern Europe、Nordic-Baltic Eight)」。一方、「スカンジナビア諸国(Scandinavia)」とは、スカンジナビア半島に位置するスウェーデン、ノルウェーに、デンマークを加えた3か国を特に指す言葉。ただしボートの世界では一般的に、現在のスカンジナビア三国に、かつてスウェーデン王国の属国であったフィンランドを加えた4カ国のボートを「スカンジナビアンボート」と呼んでいる。

スカンジナビア諸国は、800年~1,200年頃のヴァイキング時代に自国の沿岸から海を渡り、南のキリスト教国を侵略した歴史を持つ。海洋進出に必要不可欠な船の建造が発展したのも頷ける。そもそも、4国の海岸線は、フィヨルドやアーキペラゴが織りなす自然豊かな入江や運河が連なる特別な地形。歴史的背景や海上交通、それに加えクルージングに適した地形から、1960年代以降プライベートで楽しむボートレジャーも発達。海と共に暮らす独特なボート文化が広まると、スカンジナビアンボートと呼ばれるスタイルのレジャーボート建造が盛んに行われたのだ。
やがて、スカンジナビアのボートは世界的に注目を集める。トラッドなスカンジナビアンボートの特徴は、20フィートから30フィートほどの小型サイズのワークボートスタイル。エンジンはディーゼルで、スターンドライブが中心。寒さや飛沫からコクピットを守るキャビンやフルカバーのエンクロージャーで覆われ、ヒーターやデフロスターは必需品。短い夏に日差しを目一杯取り入れるためのワイドなガラス面やオープンウィンドウが取り入れられている。狭いキャビンながら、ファミリーがオーバーステイできるアコモデーションが備わるのも北欧スタイル。サマーハウスを所有する割合が高い北欧では、ボートは海水浴やクルージングをするだけのものではなく、離島やサマーハウスへの移動手段として使われ、高い所有率を誇ってきた。もちろん、ボート自体をサマーハウス的に使うボートライフも浸透している。

だが今日、スカンジナビアンボートを取り巻く状況は大きく変化している。スカンジナビアンボートを生み出した「スカンジナビアンデザイン」は、本来、グローバルなものではなく、北欧の気候風土から必然的に生まれた実用的でシンプルなデザイン。それは、北欧に暮らす人々のために設計され製造されたもの。だがそのスタイリッシュなデザインはトレンドとなり、高い造船技術に裏打ちされた堅牢で高品質なスカンジナビアンボートが世界中のボート愛好家を魅了した。そして現在、グローバル市場のニーズに応え大型化を果たした北欧スタイルは、一つの大きなカテゴリーを生み出すに至る。中でもスウェーデンボートは、フィンランドボートと競い合いながら、世界中の海でエリアは拡大を続けているのだ。
そのスウェーデンボートを代表するビルダーの一つが、今回紹介する「NIMBUS BOATS(ニンバス)」。1960年代、VOLVO PENTAが開発するパワーユニットの搭載に適切なボートが必要とされ、ゼネラルマネージャーのHarald Wiklundは、スウェーデンの有名なオリンピックセーラーでありデザイナーでもあるPelle Pettersonに設計を依頼。この「ニンバス(=雪雲、雨雲)」と名付けられたボートは大成功を収め、多くの人々の注目を集めることとなった。

このニンバスボートの人気の高さから、Harald Wiklundの息子Lars WiklundとHans Wiklundは1968年に新しいボートビルダーを設立。すべての始まりとなったこのボートに敬意を表して、新しく立ち上げたボートブランドを「NIMBUS」と名付けた。そして、最初の作品NIMBUS26は、アワードを受賞。NIMBUSは、初期の成功や、テニス界のレジェンドBjorn Borgとのパートナーシップで一躍有名になり、スウェーデンのボートメーカーとしての地位を固めたのだ。その後、NIMBUS GROUPとしてALUKIN、AQUADOR、BELLA、EDGEWATER、FALCON、FLIPPER、PARAGON YACHTSを加え、ヨーロッパ屈指のボート製造企業を築き上げている。


シティマリーナヴェラシスの桟橋に係留された日本初上陸の「NIMBUS C11(ニンバスC11)」。呼称は11(37フィート)だが、実際の全長は12.4mで40フィートを超える。真横から見る姿は、トレンドの、新しいスタイリングのフィンランドボートにも似ている。その特徴は、パフォーマンスボートのような細身のステップドハルに、スピードとスタビリティを両立するダブルチャイン。ロングノーズのバウデッキとショートデッキのスポーティなスタイリング。水線長を伸ばす直立に近いバウステムに、低めで直線的なシアーライン。直立したフロントウィンドシールドのスクエアなキャビンに、機能的な両側スライドドア。デッキレイアウトは日本で人気の高いウォークアラウンド。エンジンはアフトデッキの下、トランサムステップの下にアウトドライブが隠れるスターンドライブ。もちろん、世界的に人気の高いアウトボードエンジンを選択することもできる。

トランサムから1,200mm後方に伸びるワイドなトランサムステップから乗船する。段差のないフラットなオープントランサムスタイルのアフトデッキ。トランサムの位置には、1,550mm幅のソファとチークトップのテーブルが固定されている。ソファ後部に、6本のフェンダーが綺麗に収まるフェンダーホルダーが並ぶエクステリアは北欧伝統の合理的なスタイルだ。

サイドデッキは、アフトデッキより170mm低く、移動しやすいワイドな400mm幅。低目のサイドデッキはブルワークとハンドレールに守られ、安全にサイドスライドドアやバウデッキを行き来することができる。バウデッキは、キャビンのオーバーヘッドを確保するために、2段のステップを上がり高くなる。バウデッキには高目のドッグハウス。バウキャビンのルーフ部にはサンタンベッド。前方には、ベンチソファ。ソファの前には、チークトップのテーブルをセットできる。ワイドなスクエアバウは、アンカーリングの作業性も良い。

メインキャビンには690mm幅のリアドアもしくは、キャビンの左右にある970mm幅のサイドスライドドアから出入りすることができる。アフトデッキとメインキャビンのU字ソファをリアドアが繋ぐ。スターボードのサイドスライドドアは、ヘルムシートと直結。ポートのサイドスライドドアからは、ナビゲーターシートやロアキャビンのギャレー、ヘッド、ベッドルームに最短でアクセスすることができる。

メインサロンに入ると、全周が窓で覆われた視界と明るさに驚く。さらに、ルーフトップの大半を占める2つのグラストップと2つの電動サンルーフからも光が降り注ぐ。リアドア、サイドスライドドア、電動サンルーフも全開にすれば、まるでテラスにいる開放感を味わうことができる。メインサロンのラウンジエリアは、対面のダイネッティ仕様やエクストラのソファをセットすればU字ソファとして使うことができる。また、リアドアを塞ぐことにはなるが、660mm延長しキャビン全幅のソファにすることもできる。さらに、セカンドシートのバックレストの向きを変えれば、全員が前方を向く3列シートに変形することもできる。高速クルージングには最適なシートアレンジだ。
ポートサイドにオフセットされたステップからロアキャビンに降りる。

ポートサイドにはギャレー。シンクの他に2口の電気コンロやリフリジェレーターが備わる。その奥には、1,960mmの長さがあるダブルバース。ギャレーの向かい側には、独立したトイレ&シャワーブースのあるヘッドコンパートメント。トイレにはカバーが備わり、ドレッサーと分かれている。水浸しになることなく、シャワー後も快適に使うことができる。ミッドシップには1,980mm×1,220mmのダブルキャビン。ファミリー4人がオーバーナイトできるアコモデーションを備えている。


コクピットには、ショックアブソーバーの備わるGRAMMERのパイロットシートが2脚固定されている。ステアリングホイールのチルトを起こし、ジョイスティックで離岸する。VOLVO PENTAのアウトドライブは、IPSと同じ仕組みでジョイスティックコントロールを可能にする。もちろん、真横や斜めに直感で移動できるだけでなく、定点に留まることができるDPS(Dynamicpositioningsystem)も搭載しているので、全長40フィート7インチのC11をシングルハンドでも簡単に操船することができる。

マリーナを出てジョイスティックからシングルレバーに切り替えレバーを倒していく。風速は4~5m/sの海況の中、加速する。1,500rpmで7.6ノット、2,000rpmで13.5ノット、2,500rpmで20.6ノット。ノーズをほとんどあげることなくプレーニングしている。3,000rpmで28.8ノット、3,500rpmで40.3ノットを記録する。クルーズスピードの3,000rpm前後で旋回する。ツインのステップドハルがソフトに波を切り、水面を滑るように加速する。ハンドリングは、剛性感のあるスポーティなもの。急旋回でも前後のトリムは変化することなく、クイックにバンクし、狙い通りのクリッピングポイントで船首を出口に向ける。テールやノーズが流れるわけではなく、キールやチャインに引っかかるような感覚もない。剛性が高いのは、NIMBUS BOATS全てに共通したもの。船体の捻れやFRP独特の衝撃音やビビり音もなく、安心して高速クルーズを楽しむことができる。


NIMBUS C11のCは、主に通学や通勤など2点を定期的に移動する人々のことを指すCommute(rコミューター)の頭文字。このCommuterシリーズには、C8、C9、C11の3サイズをラインナップ。Commuterは、マニューバビリティやシーワージネスに優れるだけでなく、キャビンに守られ、天候や海況に左右されず快適に移動できるボートのことを指す。これらを満たすNIMBUS C11は、変わりやすい天候、荒れる海に囲まれた日本に確実にフィットする。P.B.
NIMBUS C11
全長 12.40m
全幅 3.46m
喫水 0.9m
重量 6.60ton(no engine)
エンジン 2× VOLVO PENTA D4 DPI
最高出力 2× 320HP
燃料タンク 850L
清水タンク 135L
問い合わせ先 ウインクレル
TEL: 045-681-0104
https://yacht-w.com









