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BOAT&YACHT

LOMAC  14.0

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トリプル モンスターアウトボードが生み出す 56 ノットオーバーの世界 パフォーマンスとラグジュアリーさを併せ持つスーパー RIB を堪能する

text: Atsushi Nomura photo: LOMAC NAUTICA
special thanks: LOMAC NAUTICA
https://www.lomac.it/en/

日本ではまだまだ数が少ないプレジャーユースのRIB だが、世界を見てみると、特にヨーロッパでは国よって専門誌があるくらい RIB の人気は高い。たとえば英国にはグレートブリテン島を一周するという豪快なRIBレースもある。しかしRIBの本場は何と言ってもイタリアである。実に数多くの RIB ビルダーがあり、その用途やサイズも様々だ。イメージしやすいのはスーパーヨットのテンダーなどだが、RIB単体としても十分すぎるポテンシャルを持つモデルが多く、キャビン付きのファミリーボートのような RIB も普通に走っている。

今回紹介する「LOMACGranturismo14.0(ローマックグランツーリスモ 14.0 )」は、そんな RIB 大国イタリア生まれの大型 RIB である。製造する「LOMACNAUTICA」はイタリア・ミラノに本拠を置くボートビルダー。イタリアでも屈指の RIBメーカーとして知られており、1960 年代からインフレータブルボートを作り続けている。元々同社を経営している LoManto 一族は製靴業を生業としており、特殊なファブリックを扱った接着や加工のノウハウを持っていたそうだ。

1980 年代から FRP のリジッドハルを融合させた RIB の製造を開始。なんとヨーロッパでも初の試みだったという。この RIB のアイディアはその後、イタリアだけでなくヨーロッパ中に広まり、ヘビーデューティーボートの代名詞として確立されていく。現在、LOMACNAUTICAでは、7 シリーズに合計 58 モデルを製造。プレジャーユースだけでなく、イタリア海軍、イタリア消防隊、ミラノ市警の他、スイス、フランス、ハンガリー、クロアチアなどの沿岸警備隊や消防隊などでも利用されている。

カンヌヨッティングフェスティバルの会場となった PortCanto の一角、100 フィートクラスが並ぶエリアから少し離れたインフレータブルボートだけのエリアに「LOMAC」ブースはあった。周囲には多数のインフレータブルが並んでいるが、さすがに 44 フィートクラス、その中でも比較的大きな一艇だ。もっとも周りに余りにも巨大なボートが並んでいるため、外から眺めた感じでは 44 フィートもあるようには見えない。しかしトランサムボードから乗り込むと、その長さと広さに圧倒される。

「LOMACGranturismo14.0」は全長 13.64m、全幅 4.15m、重量 5.8tonに及ぶ。デッキ周りはいわゆるバウキャビンタイプのウォークアラウンド艇のそれに近しいレイアウト。後部に大型サンベッドを配し、コクピットには大型ソファとテーブル、その前寄りにコンソールとドライバーズシート、さらに 3 段上がったフォアデッキが周囲を囲む。コンソールの脇からフォアキャビンへアクセスできるが、ここもかなりのボリューム。ヘッドクリアランスのある個室トイレとセパレートされたシャワールーム。さらに広々としたダブルベッドなどが揃う。

パワートレインはトリプル・アウトボード仕様。搭載される最新の YAMAHAXTO425は、5.6リッター V8、425馬力のモンスターである。この 3 基のモンスターが繰り出すパワーはただただ強烈。アベレージ 56kt のトップスピードでの走行中、コンソールを覆う大型のウインドシールドから外れると猛烈な風圧にさらされる。

LOMAC のキャプテンから操船を代わりドライバーズシートに身体を預ける。背中から腰にかけてしっかりと身体をホールド、これなら高速走行でも安心だ。念のためキルスイッチを身体に取り付け、スロットルレバーに手をかける。デッドスローからスロットルを押し込む。25kt には 6 秒強、35kt には 10 秒強で到達。かなりの加速感だったが、身体はしっかりとホールドされているため怖さはない。

一旦速度を落とし、再びデッドスローからスピードをチェックする。2,000rpm、12kt 前後から強く加速し始める。2,500rpm で 17.7kt、3,000rpm で 25kt、3,500rpm で 30.5kt に到達。さらにスロットルを押し込む。4,000rpm で 37.1kt、4,500rpm で 42.3kt、5,000rpm で 47.5kt、5,500rpm で 54.8kt、5,600rpm を過ぎたくらいからエンジンチルトを上げていき、マックスとなる 6,000rpm で 56.3kt をマークした。

わずかながらうねりのあるコンディションだったため、たびたび跳ね上がるように空を飛ぶ。しかしキャビテーションを起こすようなこともなくしっかりと水を噛み続け、アドレナリン全開の非常に愉しい走り。少し落として 30kt 前後でスラローム。ロックトゥロックまで回しても小気味よい旋回をする。自ら起こした引き波に突っ込むも RIB ならではの素晴らしいクッション性でとても波当たりが柔らかい。再びトップスピードで高速ターン。艇体の傾きも鋭くなるが、左右の大型チューブが素晴らしいチャイン代わりとなり非常に安定している。チューブが波に当たっても跳ね返るようなこともほとんどなく、高速旋回時のフィーリングは抜群に良かった。

「LOMACGranturismo14.0」は、日本で一般的なインフレータブルボートのイメージとは遥かにかけ離れた存在だ。ワークボートやヘビーデューティーボートとは異なるラグジュアリーなスポーツボートである。日本ではあくまでもプロフェッショナルユースというイメージのあるRIB だが、イタリアン RIB はボート本来の走らせる悦びを教えてくれる。もちろんスーパーヨットのテンダーとして使われることもあるそうだが、クルージングやナイトステイのためのボートとしても十分すぎるポテンシャルと豪華さがある。シートライアルの最中フォアキャビンに籠ってみたが、走行中も室内はとても静かで波当たりも非常にソフト。さまざまなゲストにも快適に過ごしてもらえそうだ。イタリア屈指のRIBブランドの一つLOMACNAUTICAが製造する「LOMACGranturismo14.0」は、スピード、パフォーマンスだけでなくラグジュアリーさも併せ持つ、満足度の非常に高いスーパースポーツ RIB だった。 P.B.

LOMAC Granturismo 14.0
全長 13.64m
全幅 4.15m
艇体重量 5.80ton
エンジン 3× YAMAHA XTO 425 
最高出力 3× 425HP 
燃料タンク 1,000L 
スピード Max 56kt 
問い合わせ先 LOMAC NAUTICA
https://www.lomac.it/en/