
NAVAN C30

新たな風を起こす Brunswick Boat Group のニューカマー NAVAN 世界的な注目も集めるアドベンチャーボートが登場した
text: Yoshinari Furuya
photo: NAVAN
special thanks: Eins A Resort
https://www.eins-a.jp
世界はアドベンチャーボートで溢れている。北欧を中心に始まり、次々と新しいビルダーが登場。既存の大手ビルダーも振興するアドベンチャーボートに影響を受け、新しいモデルを建造。その魅力は、世界を巻き込み広がりをみせる。ボートデザインのトレンドを生み出したアドベンチャーボートは、競合モデルの登場で進化し、人気はさらに高まりを見せている。そしてついに、17の異なるボートブランドを有するボートビルダーグループの巨人「Brunswick Boat Group(ブランズウィック・ボート・グループ)」が、18番目のボートブランドとして、独自の最新アドベンチャーボートを投入。それが、「NAVAN(ナヴァン)」だ。

NAVAN BOATは2023年9月に開催されたカンヌ・ヨッティング・フェスティバルで初公開された。フロリダのブランズウィックデザインセンターで設計された2つのモデルは、キャビンを持つ「NAVAN C30」と、オープンの「NAVAN S30」。今回紹介するNAVAN C30は、安全性と快適性を兼ね備えた先進的なデザインと高い走行性能がマリンジャーナリストの目に留まり、世界的アワード「EUROPEAN POWER BOAT AWARD 2024」や「BEST OF BOATSA WARD 2023」のファイナリストにノミネートされ、注目されている。
デザインの基本コンセプトは、他のアドベンチャーボートと同じ。パワートレインは、ビーチエントリーやシャローでも使いやすいアウトボード。300馬力のMercury VeradoV8アウトボードエンジン2基掛け。最高速度は50ノットを記録。高速で移動する機動力と海を選ばない凌波性能が魅力だ。特徴的なのは、極寒地でも乗員を守ってくれるキャビン。そして、フィシングボートやワークボートで使われる作業性や安全性の高いウォークアラウンド&サイドスライドドア。キャビン容量を広げ、水滴を残しにくく、乱反射を防ぐ逆傾斜のフロントウインドシールドもワークボートスタイル。広いキャビンに、ベッドやギャレーを備え、ボートステイを快適に過ごせることもアドベンチャーボートの条件を満たしている。また、SUPやカヌーなどを搭載できるルーフラックやフィッシングのためのロッドホルダーを装備し、マリンアクティビティーにもマルチに対応。それらアドベンチャーボートの必須条件全てをかなえるボートがNAVANC30。多様なニーズに対応し、日本の気候や海況に適したボートとしても高く評価されている。特に、高速かつシーワジーの高いボトムデザインは重要ポイント。アドベンチャーボートだからこそ、多少海が荒れても安全に航行できなければならない。そのため、バウステムはほぼ垂直に立ち、全長に対して水線長が長く、薄く鋭いエントリーで波を切る。さらに、ツインステップにすることで船底に空気層を作り抵抗を軽減。速度アップや燃費を向上させている。

他のアドベンチャーボートと異なるところは、主にウォーターラインより上。SEARAY(シーレイ)やBAYLINER(ベイライナー)など、クルージングボート建造の豊富な経験を持つブランズウィックがデザインしただけあり、進化したエクステリアやインテリアが高いユーザビリティーを誇る。
トランサムに搭載されたアウトボードの左右には、後方からの乗り降りもしやすいワイドなトランサムステップ。ウェットなマリングッズを収納するストレージも備わる。ゲートを抜けアフトデッキに降りる。アウトボードとアフトデッキの間には、前を向いた3人掛けのベンチソファ。ベンチソファの中には、アフトデッキ用のセンターテーブルが収納されている。さらに、左右ブルワークの壁には、折りたたみ式の座席が収まり、展げれば4人がゆったりとくつろげるレイアウト。そして、アフトデッキ前方、キャビン後端の壁には、ウェットバー。シンクの他に、コンロまたはBBQグリルが備わるウェットバーは、大きく張り出したイーブスに覆われ快適に調理作業ができる。このウェットバーの上部にはリアウインドシールド。全面が大きく開放されることで、アフトデッキとキャビン内は一体化し、会話も楽しむこともできる。ウェットバーは、バーカウンターの役目をし、ドリンクや料理を手渡しする事ができ便利なエクステリアだ。

デッキレイアウトは、キャビンが中央に配置された日本でも人気のウォークアラウンド。安全性の高いサイドデッキを通りフォアデッキへ移動。2段のステップを上がりフォアデッキへ。フォアデッキの中央にはクッションが敷き詰められたサンタンベッド。リクライニング機能を持つバックレストに腰掛け日光浴。また、ポートサイドのサイドデッキに格納されたポールを立てれば、フォアデッキ全体を覆い日差しを遮るサンシェードを取り付けることができ、快適に過ごすことができる。
ポートサイドのサイドデッキ前方には、ヘルムステーションに出入りできるサイドスライドドア。スターボードサイドのサイドデッキには、ポートサイドのスライドドアより後ろ寄りに配置されたワイドなサイドスライドドア。ヘルム用のベンチシートはポートサイドにオフセットされ、キャビン後部のベンチソファへはスターボードサイドからスムーズに出入りする事ができる。サイドスライドドアの位置が後ろに下がったことで生まれた空間には、コンパクトなシンクと1口コンロが備わる室内用のミニギャレー。寒い冬には室内で、温かい飲み物などを用意できる。

ポートサイドのヘルムステーションには、エンジンデータなど全てが統合された2台のSimrad製タッチスクリーンコントロールシステムが並ぶ。同じブランズウィックグループ傘下のSimradと共同開発した統合システムが、高度なインタラクティブ機能を提供する。モニター下のパネルには、必要最低限のスイッチとオーディオのコントローラーが並び、シンプルで使いやすい。手前には、ハンドルとスロットルコントロールの他に、バウスラスターやジョイスティックコントローラーが配置されている。
ヘルムシートはリバーシブルのベンチタイプ。バックレストを前に倒すことで、サロンのベンチシートに早変わり。テーブルを設置すれば、向かい合わせのダイネッティーだ。また、センターテーブルを下げ、クッションを乗せれば、エキストラベッドとして使う事ができる。さらに、左右のスライドドアやキャビン後方のリアウインドシールドを開き、サンルーフを全開にすれば、オープンボートのような開放感を味わうことができる。

ヘルムステーションの横、スターボードサイドがフォアキャビンのエントリー。フォアキャビン自体はドアのないオープンキャビンだが、ポートサイドには個室トイレ。電動トイレが備わる明るく快適なヘッドルーム。正面には、ワイドなダブルベッド。スターボードサイドには、ライフジャケットや荷物を収納できるストレージが用意されている。DCで作動するインバーターエアコンを搭載すれば、キャビン内は、真夏でも快適だ。

NAVAN C30。それは、次々と現れてきたアドベンチャーボートの進化型。また、スカンジナビアスタイルとアメリカンスタイルの融合であり完成型。30フッターの価値観を変えるC30が、アドベンチャーボートの常識を塗り替える。P.B.
NAVAN C30
全長 10.23 m
全幅 2.99 m
喫水 0.63 m
重量 3.88 ton(エンジン除く)
エンジン 2× Mercury Verado V8
最高出力 2× 300HP
燃料タンク 400L
清水タンク 80L
問い合わせ先 アインスAリゾート
TEL: 072-224-4040
https://www.eins-a.jp








