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KADEY-KROGEN 58 EB

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1977年創業、フロリダ・スチュワートのパッセージメーカー専門ビルダー「KADEY-KROGEN」多くのカスタマーを抱え真の長距離航海を知るビルダーならではのスーパーロングレンジ外洋クルーザー

text: Yoshinari Furuya 
photo: KADEY-KROGEN YACHTS
https://www.kadeykrogen.com

「KADEY-KROGEN 58 EB(ケイディクローゲン58EB)」は、長距離航海に適したモーターヨット。特に北米で人気のTrawle(rトローラー)やPassage Make(rパッセージメーカー)と呼ばれるカテゴリーに分類される。そもそもパッセージメーカーに求められる長距離航海に適したデザインとは何か?最も重要なのは、超低燃費な排水型のボトムデザインに、外洋の波に耐える堅牢な船体。また、トローラータイプを選択するユーザーの多くは、気温の低い高緯度のクルージングエリアを好み、フライブリッジがある場合でもキャビン内で操船することが前提。したがって、視認性が高く快適なライズドコクピットが好まれている。

通常ライズドコクピットには、機能的なサイドドアや垂直に近いフロントウィンドシールドが採用される。多くの大型艇が装備するサイドドアは、ロングクルーズをすると、そのメリットを理解することができる。それは操船席からすぐにサイドデッキに出られること。荒天時や緊急時にはマリンブーツを履いたままで出入りすることもできる。キャビンを通らないので、サロンを濡らすことも汚すこともない。また、リアドアから回らずにヘルムステーションにすぐ戻り操船できるので、ショートハンドでの離着岸もスムーズかつ安全に行うことができる。また、霧や夜間など視界が悪い場合には、ドアから体を乗り出し直接目視することが可能だ。

もちろん、サイドドアは美しい風景の写真撮影や、陸地に生息する野生動物探しにも有効。そのためにKADEY-KROGEN 58 EBには、上下に2分割できるサイドドアが用意されている。これは、必要な上部だけを開けることができる珍しいデザイン。そして、逆傾斜のフロントウィンドシールドは、水滴が残りにくく、直射日光の侵入を避け、光の乱反射を抑える。多くのワークボートに採用されている機能性の高いフロントウィンドシールドだ。アフトデッキ周辺もロングクルージングのためのアイデアにあふれている。アフトデッキからサイドデッキは低目に設定され、乗り降りだけでなく、作業や釣りなどでも使いやすい。しかも、左右のブルワークやトランサムには、オープンドアが付いているので、船に慣れていない人でも安全に乗り降りできる。

スターンのブルワークに対してミジップからバウにかけてのシアーラインは、カーブして徐々に高くなる。外洋の波の中で走行することを想定し、ノーズが波に刺さらないように高くしているのだ。さらに、波を左右に裁くと同時に浮力を大きくし、沈みすぎないように広めのフレアがデザインされている。また、徐々に高くなるシアーラインは、高さのある岸壁に係留するときでも乗り降りしやすく、離着岸を安全に行うことができる。

トランサムステップにもひと工夫。チークのステップには、パルピットのようなサポートレールが取り付けられている。これは、テンダーの乗り降りやテンダーの係留作業を想定したリスク対策。また、水面に近いアフトデッキやサイドデッキも使いやすい。

デッキ全面を覆うイーブスもメリットが多い。日差しや雨から乗員を守り、安全で快適な船上生活を送ることができる。しかも、イーブスがあることで、デッキやキャビンが劣化するのを防いでくれる役目もする。そして、ピラーで支えられた強度の高いイーブスの上には、テンダーを搭載することができる。高馬力で高速に走るテンダーRIBは、短時間で、人や物資を一度に大量に運ぶことができ、ビーチや岩場など、マリーナや港のないところでも上陸ができる便利なアイテム。ただし、RIBは重量があるので、一人でデッキに揚げることは難しい。クレーンを使いルーフトップに搭載するのだ。

ロングクルージングに最適なデッキプランもKADEY-KROGEN 58 EBの魅力。その一つが非対称のサイドデッキ。ポート側のサイドデッキを無くすことで、メインサロンのスペースを広く確保した。そして、スターボードのサイドデッキを前方に進み、正面のステップを上がるとライズドコクピット。コクピットにはサイドドアから直接入ることができる。このサイドデッキはPortuguese bridge(ポルトガルブリッジ=パイロットハウスの前に設けられたウォークスルーデッキ)の一部。フロントウィンドシールドに沿ってブルワークで守られたデッキを回り込み、ポートサイドのサイドドアまで安全に移動できる。

ポルトガルブリッジの左右コーナーには、シフトコントローラーやスラスター、オートパイロットのコントローラーを搭載することができる。このアウトドアステーションは左右どちらにもあるので、死角の少ないポジションで目視しながら離着岸の操縦や指示ができる。そして、正面中央には、観音開きのドア。バウデッキに降りることができる。バウデッキの左右には、前方を向いたベンチソファ。バウの先端には、ダブルのアンカーローラーがついた長く広いバウパルピット。広いバウデッキには、大型のキャプスタンが備わるアンカーウインチが搭載され、アンカー作業を安全に行うことができる。

アフトデッキからキャビンに入る。観音開きのドアが大きく開くキャビンのエントランス。インテリアは、アメリカンチェリーをふんだんに使った落ち着きと豪華さを兼ね備えたデザイン。窓が大きく、昼間は明るく、夜は木部に照らされた優しいライティングで落ち着いた空間が演出されている。スターボードサイドには、L字に配置された大型ソファ。ポートサイドにはアームレスト付きのリュクスなシングルソファが2脚。サロン前部にはギャレー。サロンと隔てるのはカウンター。大型の吊り戸棚がついたフルサイズのカウンターキッチンは収納も豊富。調理スペースも広く、カウンター下のリフリジェレーターやフリーザーの容量も多く、本格的な料理を振る舞うことができる。

ギャレーの横、ポートサイドのステップから、ライズドコクピットに上がる。背の高いアームレスト付きのパイロットシートが2脚。視認性の良い逆傾斜したフロントウィンドシールドの手前には、大型ディスプレイや電子機器が並ぶヘルムステーション。ヘルムシートの後方には、長時間の航行中にパッセンジャーがくつろぐことができるU字のソファ。ステップフロアで視線も高く視界が良いので、航行中の特等席として、パッセンジャーが集まる人気の場所。時にはヘルムスマンの話し相手になり、時には一緒にワッチ(見張り)をする。ワッチオフには休憩や仮眠を取ることもできるスペースだ。そして、停泊中には、ブレックファーストやランチをする見晴らしの良いダイネッティになる。

そして最もロングクルーズ向けの装備が、ライズドコクピット内にあるヘッドコンパートメント、つまりトイレが完備されていること。ショートハンドのワッチ中、短時間でヘルムに戻るため、ヘルムシートのすぐ後ろにトイレが用意される。長距離航海を経験するビルダーだからこそ考えられた便利なレイアウト。パッセンジャーのニーズを的確に捉えている。

ライズドコクピットのポートサイドのドアを開け、後方のルーフトップに上がる。ハンドレールに囲まれたフラットなエリアには、BBQグリルを備えたウェットバー。停泊中テーブルや椅子をセットすれば、アウトドアのテラス席にもなるユーティリティスペース。その後方には、テンダー用のクレーン。リモコンを使いルーフトップにテンダーを格納する。そして、ルーフトップから前方に上がるとフライブリッジ。気候のいい時期にはフライブリッジで操船するのもいい。見晴らしが良く、素晴らしい景色を楽しむことができる。また、リーフや岩礁など海底の様子を見ながらの移動や、アンカーリング、狭い水路の航行には、フライブリッジでの操船が見やすく安全だ。

そして、パッセンジャーのためのデザインは、エクステリアだけではない。KADEY-KROGEN 58の最大の個性は、ボトムデザインだ。他のボートと違うところは、スターンのボトム形状。バウのボトム形状と同じような断面。スターンに行けば行くほど細く浅くなる前後対称に近いVハル。クラシックなセールボートに近いボトムデザインとも言える。

排水型の造波抵抗を最小に抑える形状は、小型低出力のエンジンでの低燃費な航行を可能とする。スタンダードエンジンは軽量なJOHN DEEREディーゼル325hpの1基掛け。重量を抑えられたエンジンと低燃費により、クラス最高の燃費と航続距離を実現。10%を予備に残す計算では、10ノットでは1,000マイル、9ノットでは1,700マイル、8ノットでは2,600マイル。7ノットまで落とせば、3,775マイル(6,990km)まで航続距離が伸びるというデータが公表されている。これは、無給油で東京から石垣島まで余裕をもって往復できる距離。片道ならば、オーストラリアやホノルルまで到達できる計算になる。

長大な航続距離を手に入れたことで、給油の心配や煩わしさから解放され、国内であれば、上陸できる全ての島をクルーズすることが可能となる。また、海外クルーズの夢も広がる。パッセージメーカーの可能性を広げ、長距離航海者のニーズを満たし続けるモーターヨット。全てがロングクルージングのために設計された究極のパッセージメーカー、それがKADEY-KROGEN 58 EBなのだ。P.B.

KADEY-KROGEN 58 EB
全長 19.28m
全幅 5.74m
喫水 1.93m(Standard single engine) 
1.63m(Optional twin engines)
重量 45.01ton
エンジン 
Standard 1× JOHN DEERE Diesel 325hp 
Option  2× JOHN DEERE Diesel 160hp 
燃料タンク 6,662 – 6,852L 
清水タンク 1,514L 
問い合わせ先 KADEY-KROGEN YACHTS
https://www.kadeykrogen.com