
FRAUSCHER 1414 DEMON AIR

2019Best of Boats Awardウィナーのオープンラナバウトハイテックで刺激的なスタイリング、グリーンエナジーを追求する「FRAUSCHER」
text: Kenji Yamazaki
photo: FRAUSCHER BOATS
https://www.frauscherboats.com
Tトップのスポーティなフォルムのセンターコンソーラーだが、オープンバウを持つ全長13.9m、全幅3.9mの46フィート艇だ。「FRAUSCHER1414DemonAi(rフラウシャー1414デーモンエア)」、ロープロファイルで刺激的なフォルムが際立っている。フラットバウ、直立ステムのバーチカルステム、ハイテックなZラインのサイドシルエット、ブラックアウトされたカーボンTトップとハルサイドのカーボンエアインレット、フレームレスフロントウィンドウ、メタリックシルバーのハル。鮮烈なスタイリングがクリスタルなデザイントレンドを感じさせる。その清廉でエレガントなフォルムが話題となった2016年デュッセルドルフデビューのラナバウト1414 Demonからの進化モデルだ。

デザインはオーストリア・ザルツブルグのスタジオKISKA、KTMやハスクバーナーのアグレッシブなモトデザインでも知られる。実はこのFRAUSCHER、EngelbertFrauscherが1927年にウィーンのドナウ川沿いで造船を始めたのが始まりだ。1933年にはオリンピック用ディンギー「O-Jolle」を建造、第二次世界大戦後の1945年にはザルツブルグの東、Traunseeトラウン湖のGmundenグムンデンで新たにボート建造を始める。Gmundenはアルプスの峰々に囲まれた景勝地。詩人や芸術家が集い、ブラームスやシューベルトも愛した美しい湖畔のリゾートだ。グムンデン陶器でも有名だ。
FRAUSCHERはこの地でセールボートやハイドロレースボートを建造する。またいち早く1955年には電動ボートをTraunsee湖で走らせている。1970年代は欧州の多くの湖水地域では排気ガス規制が厳しくなり電動ボートは主軸となっていった。特に近年ではグリーンエナジー施策に更に力点を置き、ハイブリッドパワーユニットやEVユニットの積極採用で先端的なボートブランドとして世界にその名を知られるようになってきている。


家族企業としてのFRAUSCHERの発展には目を見張るものがある。2008年にはSTEYR MOTORSのディーゼル電気ハイブリッドユニットを搭載した「757St Tropez」を発表。EVモードで5ノット迄、オフショアでは300psのディーゼルエンジン共用で30ノットオーバーを約束する。2015年には更に積極的にEVシフトを計っている。2005年からバッテリードライブの技術開発を共に推進したTORQEEDOが完成させたリチウムバッテリー搭載のEVユニットを「740Mirage Air」に採用。最新のEVユニットDeepBlueドライブだ。66kw/80hpの推進パワーを約束している。2018年にはBMWとコラボを計り、BMWi3のEVユニット125kw/170psと2つの40kwhリチウムイオンバッテリーの導入を計っている。すでにFRAUSCHERは3,000艇のグリーンエナジーボートを販売している。
第三世代の現Co-CEO、Stefan Frauscherは「モダンハル、モダンデザイン、モダンボート。我々はボートの世界を少し変えること」と控えめだが、「イノベーションスピリットは大きな波となってきた」と世界へのメッセージは積極的だ。すでにアメリカ、ロシア、北欧、中国、欧州、世界20カ国に販路を構築している。レンジはラナバウトの「747 Mirage」、「858 Fantom」、「1017 GT」、「1212 Ghost」、「1414 Demon」。センターコンソールの「747 Mirage Air」、「858Fantom Air」、「1017 GT Air」、「1414 Demon Air」。エレクトリックは「740 Mirage Air」、「610 San Remo」、「650 Alassio」、「740Mirage」と13艇種を誇る。今ではマヨルカ、サントロペ・ポートグリモ、マイアミ、サンフランシスコ、カナダにセールスセンターを設立している。

グリーンエナジー艇の充実と相まって、ラインナップの幅を更にオフショアボートへ広げる積極的な展開。高品質コンパクトなラナバウトからの発展として、現在の旗艦となる46フィート艇へと進化していく証が「1414Demon」シリーズだ。バウのオープンカディ仕様をその解放感から「Air」と称したウォークアラウンドのデイクルーザーをシンボルとして、2019年9月のカンヌヨッティングフェスティバルでデビューさせた「FRAUSCHER 1414 Demon Air」は、同時に「Best of Boat International Award,Best for Fun」を受賞している。
あらためて見てみる、何ともかっこ良い。低く伸びやかなサイドフォルム。直立ステム、Tトップ。何処かアバンギャルドでクリスタルなデザインが心地良い。フレームレスのフロントスクリーンはヘルムステーションを包み込み、ライトウェイトスポーツカーをイマージュさせるようで高揚感を誘う。
ヘルムの機能的でモダンなデザインのコンソールに、RAYMARINEの16インチAxionPro16マルチモニターと、タコメーターを中心に6個のアナログな丸型エンジンメーターが並ぶのもスポーティ。2×VOLVO PENTA D6-440psZドライブDPE Duopropのパワーユニット搭載だ。ジョイスティック、バウスラスター装備。5kwhのジェネレーター+インバーター&5.5kwhリチウムイオンバッテリーを搭載する。軽量強靭なハルはステップドハル。更にディープVと来れば軽快爽快なマニューバビリティが予想される。

アフトコクピットのエンジンスペース上部は左右にサンベッドが用意され、ミジップには左右にL字ソファ、チークテーブル、ウェットバーにグリル冷蔵庫等を配したラウンジエリアが展開する。左舷前方に2脚のキャプテンシートを持つヘルムが用意される。メインフロアは、電動のウッドラダーを持つスイミングプラットフォームからバウのオープンデッキまでチークの貼られたウォークアラウンドフロアを形成する。JLAudioのスピーカーは随所に配されTトップにも組み込まれている。エアコンの効いたロアデッキにはオークウッドを生かしたインテリア空間が展開する。バウサイドに2名、ミジップに2名のベッド&リラクゼーションスペースとパウダースペースが用意される。
クルージングスピード25ノット、MAX35ノット、オプションの520psエンジン搭載なら40ノットも約束する。今後ハイブリッドやEVパワーユニットの選択も想定されるだろう。カーボンゼロが叫ばれる今、海の上も無縁ではありえない。絶えずイノベーションを希求するFRAUSCHER、“EngineerofEmotion”のキャッチフレーズが頼もしい。光る海、煌めく海が世界にある限り、FRAUSCHERの夢は続く。いつか日本の海でも出会える、そんな気がしてならない。P.B.
FRAUSCHER 1414 Demon Air
全長 13.91m
全幅 3.90m
喫水 1.1m
重量 9.00ton
エンジン 2× VOLVO Penta D6 -440HP
OP 2× 520HP
燃料タンク 1,200L
清水タンク 200L
問い合わせ先 FRAUSCHER BOATS
https://www.frauscherboats.com







