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RIBPORT RIB-38L

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日本プロデュースの大型ラグジュアリーRIB登場!RIBならでは非常にソフトな波当たり、40ノットオーバーの軽快な走りで魅せる

text:Atsushi Nomura 
photo:Makoto Yamada 
special thanks:RIBPORT http://ribport.com
ARASAKI SHIPYARD www.arasaki-shipyard.com https://www.arasaki-shipyard.com

日本ではどうしてもミリタリーユースやワークボートのイメージが強い「RIB(リジッド・インフレータブル・ボート)」だが、本場のヨーロッパではレジャーユースシーンでとてもポピュラーな存在だ。その独特の乗り心地と走破性能は非常にソフトであり、むしろレジャーでこそ安心して使える。

特に大型のラグジュアリーRIBは、ヨーロッパの独壇場。イタリア、フランスといった地中海エリアでは絶大な人気を誇る。欧州の主要なボートショーでは専用ブースが設けられ、RIB専用マリーナや、果てはRIB専門ボートショーまで存在する。日本ではプレジャーユースのRIBは、非常に数が少なく、ましてや30フィートを超える大型RIBとなると数えるほどだろう。

そんなプレジャーユースのRIBの日本への普及に尽力してきた「RIBPORT(リブポート)」は、これまでイタリアの著名なRIBブランド「ZAR(ザール)」の輸入販売も手がけてきた。近年は青島のファクトリーと提携し、日本国内でプロデュースしたRIBを生産販売している。従来は観光用の大型RIBの取り扱いが中心だったが、本格的なプレジャーユースの大型ラグジュアリーRIBのプロジェクトもスタートしている。オリジナルモデル「RIB-Z(リブZ)」のフラッグシップとなる「RIBPORTRIB-Z38L」である。

「RIB-Z38L」は全長11.50mに対して、チューブ込みの全幅は3.15mとやや細身。ハル全体がイタリアのRIB専門デザインスタジオにより設計されている。FRPのモノハル部分はコンケーブしたVハルで、両サイドに3本のストレーキが入り、アフト寄りで一段のステップが切られている。トランサムのチャインが大きく張り出しているのも特徴的だ。またバウスラスターも搭載。もちろんチューブが無い状態でも走行は可能だ。

ハイパロンのチューブは全部で9気室に分かれ、チューブ径は0.46~0.58m。過去にヨーロッパのボートショーで複数の大型RIBに試乗した経験があるが、「RIB-Z38L」のチューブ径はかなり細い部類に入る。実は一般的な大型RIBの場合、舷側からの乗り降りはかなりの労力がいる。仮に桟橋に横着けされていてもチューブが太過ぎて、跨いで乗り込むのが難しいのだ。そのためヨーロッパのボートショーなどでもスターン着けが一般的だ。船尾のプラットフォームが左右に拡がったデザインが多いのもそういった理由からである。その点、「RIB-Z38L」のチューブ径は大型RIBとしては細身で、舷側からの乗り降りも非常にしやすい。

パワートレインはツイン・アウトボード。推奨されるパワーレンジはツインで500~700馬力、すなわち250馬力2基掛けから350馬力2基掛けとなる。今回の艇にはツインのYAMAHAF300G(300馬力)を搭載。走りについては後述するが、充分すぎるほどのパワーだった。700リッターの燃料タンクと320リッターの清水タンクも擁している。

デッキレイアウトはフルオープン、中央に大型センターコンソールを設けたオーソドックスなスタイルである。フォアデッキはU字型シートが並び、中央にはテーブルを配置できる他、サンベッドにも可変だ。フォアデッキの両舷ブルワークトップはチューブを露出させず、ハルのFRPを延長させてチーク張りになっている。アフトデッキも同様のチーク張りで、コンソール脇のサイドだけチューブをデッキ側に露出させてある。これはサイドデッキを通る際、身体への接触がソフトになる効果があり、RIBを知るデザイナーならではのさすがと思わせるデザインだ。

センターコンソールの右舷寄りにヘルムステーションが設けられ、後部に2連シートが並ぶ。ウッドのステアリングホイールを中心にシフトレバー、スイッチ類、さらにバウスラスターのノブまで操作しやすく配置されている。航海計器は後付けでもマウント可能だ。コンソール内はミニキャビンとヘッドスペース(トイレ)となっており、仮眠も可能になっている。2連シートの後部はギャレー。アフトデッキもフォアデッキ同様、U字型シートがあり、中央にテーブルをセット可能。大型サンベッドにもアレンジできる。トランサムにはトーイングポール、清水シャワー、スイミングプラットフォーム、スイミングラダーなども装備してあり、さすがは数々のヨーロピアンRIBでの遊びを知り尽くしたRIBPORTのプロデュースと感心させられる。

今回のシートライアルは三浦半島・相模湾に面した「ARASAKISHIPYARD(荒崎シップヤード)」をベースに実施した。晴天に恵まれた相模湾は微風。ややうねりはあったが、38フィートの大型RIBではほぼ気付けないレベル。早速、スロットルを開けていく。

ゆっくりとシフトレバーを倒していくが、ステップドハル特有の加速の難しさもなく、まったくバウアップせずにスムーズにプレーニングする。気付くと目の前のGPSの数値は25ノットを超えている。うねりに当たって多少の上下動はあるのだが、鋭角なモノハルとダンパー代わりとなる両サイドのチューブによってまったくと言っていいほど衝撃がない。スラロームを行うが、ゆるやかにヒールして軽快にターンを繰り返す。

さらに加速していく。30ノットを超えてもストレートではまったく衝撃を感じない。スラロームの際にはチューブがある分、あまり傾かないためこのくらいの速度域から少しずつ横Gが掛かりはじめる。35ノットを超えるとスラローム時はしっかり身体をホールドしないと横へ飛ばされそうになる。もっともストレートの印象はほぼ変わらない。この日のトップスピードは43ノットを記録した。

40ノットを超えると見える景色が少し変わるが、基本的にRIBならではのソフトな波当たりと挙動に変化はない。さすがに40ノットでスラロームはしなかったが、引き波を越える際にも身体への衝撃がほぼゼロ。大型RIBの魅力はこの快適な走行フィーリングにあると言っても過言ではない。久しぶりにアドレナリンが沸き立つ楽しいシートライアルを堪能した。試乗艇はツイン合計600馬力だったが充分すぎるパワー。これで充分に楽しめる。より上のパワーも選べるが旋回時の横Gが厳しくなるため、ある程度RIBの操船に慣れている方以外にはオススメしない。なお写真を見るとかなり高くまでスプレーが上がっている。シートライアル中の動画を見てもやはり豪快にスプレーが上がっていたが、チューブによってスプレーは横へと蹴られており、デッキはほぼ完全にドライだった。

「RIB-Z38L」は、ブラックハルにホワイトのチューブ、そして鮮烈なレッドのシート類のコントラストも素晴らしい。カラーリングはカスタマイズ可能で、チューブはホワイト、ブラック、レッドなど6色、艇体はホワイト、ブラック、グレーの3色、シートは全8色からチョイスできるそうだ。日本では珍しい38フィートの大型ラグジュアリーRIB、乗れば分かる非常に楽しい走り。さらに従来のRIBの常識を覆すリーズナブルな価格帯も魅力であり、日本でのプレジャーユースRIBの普及を目指すRIBPORTならではの一艇と言えるだろう。いずれ「RIB-Z38L」の登場は、日本のプレジャーユースRIBの画期とも言える出来事と記憶されることだろう。P.B.

RIBPORT RIB-38L
全長 11.50m 
全幅 3.15m
全深 1.04m
重量 2.40ton
チューブ径 0.46 – 0.58m 
気室数 9
エンジン 2× YAMAHA F300G 
推奨最大出力 700HP
燃料タンク 700L
清水タンク 320L 
問い合わせ先 リブポート  
TEL: 03-3701-8138
https://ribport.com/italian-rib/zanero-rib-38l