1. HOME
  2. BOAT&YACHT
  3. QUARAKEN 27 CABIN
BOAT&YACHT

QUARAKEN 27 CABIN

BOAT&YACHT

2021年設立、わずか3年で世界の注目を集めるブランドに成長した「QUARKEN(クラーケン)」フィンランドボートの中でもひときわ高い凌波性、秀逸なインテリアと豪華なベッドで優位を誇る

text: Yoshinari Furuya 
photo: Makoto Yamada
special thanks: HAUNTS BOAT & SERVICE
https://www.haunts-bs.net

現在多くのボートブランドが輸入されているフィンランドボート。2023年、新たに3ブランドのインポーターが加わり、空前のフィンランドボートブームが起きている。2023年11月には、多くのインポーターが一堂に会し、フィンランドボートを集めたボートショー「フィンランドフェスティバーリ」が開催され、フィンランドボートが注目を集めた。残念ながら、「QUARKEN(クラーケン)」は、展示艇が間に合わずキャンセルとなってしまったが、会場のシティマリーナヴェラシスには、本国フィンランドからCEOが駆けつけるボートメーカーもあり、日本での好調なセールスと、期待値の高さを知ることとなった。

QUARKEN BOATは、話題のフィンランドボートの中でも最も新しく設立されたボートブランド。創設は2021年。3人の創設メンバーうちの一人、CEOを務めるAnteroSundbergは、フィンランドを代表するボートブランドであるYAMARIN、FINNMASTER、GRANDEZZA、SAXDORで仕事をし、ボート建造の管理や販売、ネットワーク構築を努めてきた経験をもつ。もう一人の創設パートナーは、ボートマスターという特殊な肩書きを持つOsmoRoukala。40年以上に渡り、FINNMASTERや、HUSKY、GRANDEZZAの設計、製造にたずさわり、数々の国際的な賞を獲得している。そして、3番目のパートナーは、チーフデザイナーを務めるJussi Hurskainen。Idis Design Ltdのオーナーでもあり、工業デザインや戦略デザインの経験豊富な専門家。彼は過去20年間、プレジャーボート以外に海洋産業や公共交通機関のボートの設計にも携わり、数多くの製品開発プロジェクトの指揮をしてきた経験を持つ。QUARKENBOATSでは、設計とエンジニアリングをOsmo Roukalaが指揮し、デザインをIdis Design Ltd、ナーバルアーキテクトをArttu Myllari率いるR2 Marine Ltdが担当。それぞれの専門家が集結し、チームとして協力体制を構築している。

注目のフィンランドボートの中でもQUARKENは、高い凌波性を特徴としている。それは、QUARKENが開発された環境から生まれたもの。そもそもQUARKENというブランド名は、ビルダーが生まれた地域に由来する名前。だが、QUARKENという綴りの地名が現在のフィンランドにあるわけではない。過去にも存在していない。QUARKENが生まれたのは、「Kvarken」、クヴァルケン群島。フィンランドとスウェーデンの間、南北に伸びるボスニア海の中心に位置するKvarken海峡に接するアーキペラゴ(多島海)。QUARKENが建造されているKokkolaから近く、開発者Osmo Roukalaの故郷でもあるという。QUARKENクラーケン)は、クヴァルケン群島Kvarken Archipelagoの音から派生し、親しみやすく英語化したものなのだ。

そのクヴァルケン群島がある場所は、北海道の遥か北、アリューシャン列島よりさらに高緯度の北緯63度。対岸スウェーデンのHogakusten(ヘーガ・クステン)と共に世界自然遺産として登録されている。極寒の冬季には海面が凍る厳しい海。特にクヴァルケン群島の一帯は、ボスニア湾の中でも最も狭く浅いエリア。冷たい寒気がもたらす重く強い風が作る風波が浅瀬にぶつかり、激しい三角波を起こす。それは、発達した低気圧がもたらす冬の日本沿岸でも見られる波や風景。この荒海を越える高い凌波性こそ、QUARKENが、日本の海に適している理由なのだ。

QUARKENのラインナップは、現在のところ2サイズ5モデル。シンプルな27Openをベースに、ハードトップを搭載した27T-Topと、船体の一部と金属部が黒く塗装され、天然石の名が付けられたクールな27T-Top Onyx。そして、27フッターの最新モデルが、今回紹介するキャビン仕様の27Cabin。さらに、2024年1月のデュッセルドルフのボートショーで発表されたばかりの35Cabinが加わり、QUARKEN BOATSは、ラインナップを拡大している。

桟橋に係留された「QUARKEN 27 Cabin(クラーケン27キャビン)」。27フッターとは思えないキャビンの大きさが1クラス上の印象を与えるサイドビュー。その特徴は、スターボードサイドにオフセットされたアシンメトリーなキャビン。サイドデッキをポートサイドだけにすることで、ウォークスルーの利便性と広いキャビンを両立。他には、直立に近いトレンドのバウステムと、波を弾き、バウの浮力を上げるフレア。フレアと一体のスクエアバウがバウのワーキングデッキをワイドにする。

アフトデッキと一体の広く使いやすいトランサムステップ。トランサムステップに隠れる船体と一体型のブラケットが、YAMAHA300馬力船外機のパワーを受け止める。船外機の可動域ギリギリまで広げられたトランサムステップ。トランサムステップには、滑りにくくメンテナンスフリーで人気の高いグレーのシンセティックチークが張られている。船外機のすぐ前には船外機を守るように囲うトーイングゲート。トランサムステップからの乗船時やスイミングラダーを使い水中から上がる時など、揺れる船上ではグラブレールとしても活躍する。

アフトデッキからサイドデッキだけでなく、アフトデッキのボックスシート上にもシンセティックチーク。ボックスはフェンダーやロープなどウェットなものを入れるストレージ。フィッシング時には横を向いて座ることができるのもいい。作業台としても使える便利なエクステリアだ。

3ピースのリアドアをスターボード側に開けると、後ろを向いた2人掛けのベンチシート。アフトデッキのボックスシートと向かい合わせにできる。後方を向いた座席は、トーイングスポーツの観覧や、炎天下や寒冷時のフィッシングで置竿をして休憩するのにも丁度良い場所だ。

リアドアは、両開きのスライドドア。ポートサイドに開けば、通常のリアドアの使い方。ベンチシートを前向きに変え、リアドアから出入りする。キャビン内は遮るものがほとんどない360度アラウンドビュー。さらに930mm×900mmに開放する大型のサンルーフから光が降り注ぐ。ベンチソファの横には予備の折りたたみシート。サイドポケットから専用のクッションを取り出し被せるだけで、3人分の後部座席が出来上がる。その前方には、ヘルムシートとナビゲーターのためのフリップアップするボルスターシート。シートの下にはリフリジェレーターが備わり、回転させ後部座席と向かい合わせでキャビンライフを楽しむこともできる。

アコモデーションもQUARKENのアドバンテージ。バウキャビンに入ると、ポートサイドに幅900mmのベンチソファ。スターボードサイドには、電動トイレとミニシンク。個室ではないがカーテンでプライバシーは守られる。そして、Vバースは、長さ2,050mm、幅1,700mmのダブルベット。このクラスのウォークアラウンドモデルではバウキャビンにベッドがないボートも多いが、QUARKEN 27には十分なマスターステートキャビンが備わり、オーバーナイトもできるウィークエンダーとしての機能を満たしている。

ヘルムシートに着座してステアリングホイールを握る。カーライクな操作しやすいポジションでステアリングを操作する。乗員は2人、北東の風5~6m/s、チョッピーな波の立つ東京湾でのシートライアル。剛性感のあるスロットルを徐々に倒していく。3,000rpmで24.4ノット、3,500rpmで22.6ノット、4,000rpmで30.6ノット、4,500rpmで33.1ノット、5,000rpmで35.2ノット、5,300rpmで39.9ノット、最高5,600rpmで43ノットを記録。荒れる波の中でもヘディングが振られることもなく、安心して加速ができる直進性の高い走り。剛性も高くステップハルがソフトに波を切り加速する。30~35ノットのクルーズスピードで旋回に入る。ハンドリングは素直。狙った通りのバンクと弧を描き、300馬力のトルクフルなパワーで走りも軽快。波に合わせ思い通りにコントロールできる。

世界的に拡大するフィンランドボートの特徴は、スタイリッシュなデザインと限られた空間を快適に過ごすためのアイデアあふれるインテリア、そしてスポーティーな走り。これらのフィンランドボートに共通するデザインを継承しつつ、新しい魅力を加えたQUARKEN27Cabin。オフセットされたキャビン、ダブルベッドが備わるバウキャビン、バウフレアとスクエアバウ、両方向にスライドするリアドア……。同クラスのフィンランドボートとは異なる、進化したフィンランドボート。それがQUARKEN27Cabinのキャラクターなのだ。P.B.

QUARKEN 27 Cabin
全長 8.35m
全幅 2.59m
喫水 0.85m
重量 2.70ton
エンジン YAMAHA F300F
最高出力 300HP
燃料タンク 300L 
問い合わせ先 ハウンツ 
TEL: 045-778-1532
https://www.haunts-bs.net