巡視船にも搭載される高性能と信頼性「ジウテックJWジャイロスタビライザー」


30フィート台から搭載可能、ローリング最大85%軽減!オーナーの疲労をなくし、ゲストにも財布にも優しい「JW-1」
text: Atsushi Nomura
photo: Top Water Tackle,s
special thanks: Top Water Tackle,s
https://topwater.co.jp
ボートに限らず船舶とって、風や波によって引き起こされる縦揺れ(ピッチング)や横揺れ(ローリング)は古くからの大きな課題の一つである。全長方向に細長い船舶の形態上、ピッチングは、比較的クリアしやすいが、その形態ゆえに横方向からの波や風には弱く、どうしてもローリングは発生してしまう。そんなローリングを克服するために「スタビライザー」が開発されている。

現在の中小型船舶でもっともポピュラーなのは、ジャイロスコープを応用したジャイロスタビライザーだ。物体は、高速で自転運動すると姿勢が乱されにくくなる。この、いわゆるジャイロ効果によって船のローリングを抑制するものだ。ジャイロ自体の歴史は古く、20世紀初頭に実用化されたが、質量が大きく高速回転するジャイロスコープを使用しているため、物理的に装置の占める容積が大きいことがネックであった。その後、より小型化させたり、フライホイールを使用したジャイロスタビライザーの開発が進んでいく。21世紀に入ると各国で多くのメーカーがジャイロスタビライザー開発に参入し、今では20フィート台の小型艇に搭載可能な製品も多く見られるようになった。


もっとも、ボートに乗り慣れた人の中には、ローリングも慣れ次第、ジャイロスタビライザーがなくても困らない、と言う人は多い。しかし実際に荒れた海で搭載艇に試乗してみると分かるが、帰港後そして翌日の身体の疲労度がまったく違うのだ。しかも最近の製品は、停泊時はもちろん、走行中もある程度ローリングを低減してくれる。たとえばトローリングなどスポーツフィッシングの場合、早朝から夕方まで12時間近く乗っていることもざらだ。穏やかなコンディションの中でも、長時間7~8ノットで走っていれば知らず知らずに身体に力を入れており、それが疲労へと繋がっていく。ジャイロスタビライザー搭載艇の場合、これが大きく低減される。さらにボートに乗り慣れていない人の場合にはなおのこと、ジャイロスタビライザーは効果てきめんだ。実際、ジャイロスタビライザーを取り付けたオーナーに話を聞くと、「航海計器類と同じで、一度付けてしまうと、もう無いボートに乗れません」という声も多い。

2012年に中国・上海で創業した「JIWU TECHNOLOGY(ジウ・テック)」は、比較的後発のジャイロスタビライザーメーカーだ。しかし、ジャイロスタビライザーシステムの開発をスタートさせてから10年以上経った現在、同社は、排水量5トン未満から5,000トンクラスまでの多様な船舶を対象としたジャイロスタビライザーを製造している。中国政府指定のサプライヤー企業にもなっており、同社のJWシリーズは、プレジャーボートだけでなく、さまざまな作業船、漁船、公用船などでも使用されているのだ。実際、同社のJWシリーズのカタログを見ると、最も小型の「JW-1」および「JW-1HP」から、最大クラスの「JW-2000」まで充実のラインナップが揃う。「JW-2000」は、300フィート以上、排水量5,000トン以上の船舶を対象としており、製品の自重も53トンにおよぶ。30フィート台の小型艇から、中~大型の漁船、さらには海警局(コーストガード)の巡視船などでも使用されているのだ。

JWシリーズは、真空球体方式で、内部のフライホイールを高速回転させて強力なジャイロトルクを発生させ、ボートのローリングを抑えるシステムを採用している。球体内を真空化することで摩擦抵抗が減り、効率が良くなり、フライホイールそのものの重量も軽量化できる。当然、回転させるための消費電力も抑えられている。ミニマムモデルの「JW-1」は、30フィート対応モデル
としては軽量な自重120kgであり、サイズも400mm×400mm×445mmと非常にコンパクト。そして消費電力は800Wと省電力化されている。
また、JWシリーズはフライホイールを高速回転させるため、当然、高温の熱が発生する。冷却機構にはディーゼルエンジンなどと同様に間接冷却を採用、これは真空球体方式ならではの特徴だ。さらに、設置場所の自由度が高いのも特徴の一つ。艇体の前部・後部、右舷・左舷を問わずに設置できる。ただし右舷に積む場合は、同レベルの重量物を左舷に積むことが推奨されている。もちろんエンジンルーム、イケス、キャビンなど、場所を問わずに設置可能だ。

前述のように、真空中で高速回転させるためには、フライホイールとベアリングの噛み合わせに極めて高度な精密さが要求される。ほんの少しずれただけでベアリングが破損してしまう可能性があるため、JIWU TECHNOLOGYではパーツ類・工作機械にも多額の投資を行っているという。



日本では、神戸に本拠を置く「トップウォータータックルズ」が、2018年からJIWU TECHNOLOGY社JWシリーズの総代理店となっており、直接取引の無い台湾や東南アジアへ向けてのデリバリーも行っている。トップウォータータックルズでは操作パネルや各部に日本語表記を行い、OEM形式で日本仕様のパーツ類を一部に追加、独自モデルとして販売している。契約当初、トップウォータータックルズでは、メンテナンス工場として提携している岡山ドックとともに、JWジャイロを完全に分解して再度組み立てるなど、その機構や仕組み、技術的な面の理解に努めたという。同社はこれまでにもFENDERTEXなど海外ブランド製品のOEM販売を行っており、JWシリーズもその一環というわけだ。すでに日本国内でもかなりの数が販売されており、フィッシングボート、サロンクルーザー、スポーツフィッシャーなどのプレジャーボートへの搭載実績がある。ローリングについては最大85%の減揺効果があり、使用しているボートオーナーによれば走行中もかなりローリングが押さえ込まれるとのこと。さらにピッチングについてもある程度まで低減される効果も報告されている。

そしてこのほど、JWシリーズに新たなモデル「JW-1HP」が加わった。JW1と同じサイズながら自重は50kg重い170kgで、35フィート、排水量8トンまで対応する。JWシリーズには5~10フィート刻みで製品がラインナップされており、80フィートクラスまで、ボートのサイズに合わせてチョイスできる。現在の世界的なパーツサプライや人件費の高騰、為替状況を考えると、コストパフォーマンスの高い中国製ジャイロスタビライザーのメリットは容易に想像できる。年々進化をし続けている中国マーケットと、その市場で受け入れられている新型ジャイロスタビライザー。JWシリーズには今後も注目だ。P.B.
■トップウォータータックルズ
TEL: 078-862-3182
https://topwater.co.jp





