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Northern Territory, Australia 「ウルル-カタ・ジュタ国立公園 」壮大な自然と文化を体感する旅

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ウルルの壮大な存在感と、その変化する色彩かつてエアーズロックと呼ばれたアナング族の聖地で悠久の時間に包まれる

photo & text:Hidehiko Kuwata
special thanks:Tourism Northern Territory
https://northernterritory.com/jp/ja

かつてエアーズロックと呼ばれた「ウルル」は、高さ348メートル、周囲約9.4キロメートルという巨大な岩だ。遠くから見るとただの赤い岩に見えるかもしれないが、訪れる時間や天候によってその色が劇的に変化する。とくに日の出と日没の時間帯は圧倒的で、太陽光の角度によって赤、オレンジ、紫といった色に変化しながら幻想的な美しさを放つ。朝陽はウルルを柔らかな金色に包み込み、夕暮れ時の深い赤から紫に変化する様子は息をのむほど美しい。サンライズ、サンセット時に展望台から大地と空が織りなすこの壮大な色彩のショーを堪能することは、登頂に代わる忘れられない体験となるだろう。

2024年8月からスタートした没入型体験「サンライズジャーニー」は、ウルルの夜明けを背景に砂漠全体が幻想的なアート作品に変わっていく、まさに壮大な物語の世界への誘いだ。先住民の文化と最新のテクノロジーが融合した、世界で唯一無二の体験である。広大な砂漠をキャンバスにして、アナング族のアーティストが描いた美しいアートが、夜明けとともにウルルの大自然の中に幻想的に浮かび上がる。穏やかに流れるアナング族の音楽やナレーションを通して、彼らの文化や歴史を深く知ることもできる。

2019年に登頂禁止となったことで、ウルルはその背景にある先住民の物語や文化を体験する場所へと変化している。ウルルの周囲を歩く約10.6kmのベースウォークと呼ばれるトレイルコースを歩いてみれば、壮大な岩肌や変化に富んだ地形、侵食によって生じた岩の割れ目や洞窟を間近で観察でき、周囲の砂漠の風景を楽しみながらアナング族の思想や歴史を学ぶことができる。

アナング族の思想のひとつに「ジュクルパ」という、彼らの伝統的な秩序や宇宙、自然、人間の世界がどのように創造されたかを語る大切な物語がある。これは単なる思想や伝説ではなく、アナング族にとっての“法”や“道徳”の基準となっており、祖先たちの行いや教訓、儀式、生活の知恵を後世に伝える存在でもある。

ジュクルパは口承によって世代を超えて受け継がれてきた。歌、踊り、儀式、そしてロックアートや砂に絵を描くなどして物語が伝えられ、独自の文化が維持されてきた。ウルルの巨大な岩の形状、岩に刻まれた模様や地形、これらは祖先たちが動き行動した結果として生まれたと考えられていて、ウルルの岩にはそれぞれ大切な物語が宿っているとされている。ゆえにウルルは単なる自然・文化遺産ではなく、アナング族の心の拠り所となる神聖な場所として存在しているのである。

ウルル周辺には、ジュクルパに由来するさまざまな物語が息づいている。中でも有名な場所は、ヘビの神「クニヤ」にまつわる物語の舞台となった、ウルルの東側にある「ムティジュルの泉」だ。この泉はアナング族の思想で重要な役割を果たす場所で、ジュクルパに登場する二つの大蛇、クニヤ(theWomaPythonWoman=雌のウォマパイソン)と、リル(the Venomous Python=毒を持つパイソン)の戦いに関連した聖地とされており、周辺の岩肌に刻まれた模様や形状によって、この物語“ジュクルパを通じて伝えている教え”を表現している。

クニヤは自分の家族を守るためにウルルにやってきて、リルと戦いを繰り広げる。この戦いの痕跡がウルルの表面に刻まれた特徴的な模様や地形に反映されており、ムティジュルの泉は、物語の中でクニヤが涙を流した場所とされ、そのためにこの地には水が溜まると信じられている。ウルルにはこのようなジュクルパに基づく数多くの物語の舞台が存在しており、ゆえにウルルとは単なる土地の名前ではなく、アナング族にとって非常に神聖な場所となっている。それぞれの岩や洞窟、割れ目、そして水たまりが特定の物語や教えに関連付けられているのである。

カタ・ジュタでのさらなる冒険

ウルルに隣接したもうひとつの神秘的な聖地が「カタ・ジュタ」だ。ウルルから西に約30kmの場所にあり、以前はマウント・オルガの名で呼ばれていたこの地は、36の巨大な岩のドームが連なる壮大な景観が圧倒的だ。


カタ・ジュタとは、アボリジナルの人々の言葉で“たくさんの頭”という意味を持ち、連なる岩がまるで頭のように見えることから名付けられたという。約5億5,000万年前に形成されたとされる非常に古い地層を持ち、岩は小石や泥などを含む礫岩(れきがん)で構成されており、気が遠くなるような歳月と風雨の浸食により現在の独特の地形が生まれた。

カタ・ジュタはアナング族の男性の聖地とされ、特定の場所への立ち入りが制限されている。これらの場所もウルル同様にジュクルパの物語に基づいているのだが、カタ・ジュタに関連する物語は秘密とされている部分も多く、特に男性に関連する儀式や教えについては外部に公開されていない。


「ウォルパ渓谷」はカタ・ジュタの人気トレイルコースで、自然の美しさと静寂、そしてアナング族の文化が交差する場所とされている。渓谷は巨大な岩の間に位置し、両側にそびえ立つ岩壁が圧倒的な迫力で迫ってくる。赤い岩の色彩と青い空のコントラストが美しく、渓谷には息をのむような風景が広がる。

アリス・スプリングス・デザート・パーク

「アリス・スプリングス・デザート・パーク」は、オーストラリア中央部の町、アリス・スプリングスに位置する、砂漠の生態系と先住民文化を体感できるユニークな自然公園だ。広大な敷地には、赤い大地と乾燥した砂漠特有の風景が広がり、訪れる人々に壮大な自然の美しさと生態系の多様性を伝えている。

パーク内は、砂漠特有の環境に合わせて『砂漠の川エリア』、『砂丘エリア』、『木林エリア』の3つに分かれている。それぞれのエリアでは、オーストラリア固有の動植物が展示され、野生のカンガルーやウォンバット、夜行性の生き物を見ることができる。特に、夜間に活動する動物たちの様子を再現した「ノクターナル・ハウス」は、子どもから大人まで楽しめる人気スポットだ。

「フリーフライト・バードショー」は、砂漠に生息する猛禽類が目の前を飛び回る迫力満点のショーだ。鷹やフクロウなどが空を舞い、自然の中での彼らの生態を間近で観察できる。このショーは、動物の力強さと美しさを感じるとともに、砂漠の自然の偉大さを体感する絶好の機会となるだろう。P.B.