AZIMUT FLY72
AlbertoMancini、FabioFantolino、鬼才二人がタッグを組んだニュー「Fly72」アーティスティックかつエレガント、上部構造30%軽量化による優れた安定性と軽快なハンドリング
text:KenjiYamazaki photo:AZIMUTYACHTS
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2024年モデルとして艶やかにその存在を見せるニュー「Fly72(フライ72)」。Fly53に続いて、このニューFly72のスタイリングは新たなFlyシリーズの挑戦をイメージする。ブラックアウトされたサイドウィンドウ、グラスグリーンゾーンの拡大、リバースフォルムのフライブリッジステイ、それは今までのキャラクターフォルムのレーダーアーチからの決別。ロープロファイルでファインなエクステリアデザイン、このリファインはもちろんAlbertoMancini。53、68に始まりGrandeやTrideck、Sモデルをも手掛けるAlbertoMancini、AZIMUTのデザインスタイルを世界のプレミアムリーダーに引き上げた功績は素晴らしい。今ここに見る美麗なFly72は新たなハルデザインを含め更に進化した。ネクストステージの刺激。インテリアは気鋭の建築家兼デザイナーFabioFantolinoが手掛ける。アバンギャルドな挑戦と彼らは言う。ミラノとトリノにメゾンスタジオを持ち創造性に満ちた感性表現を背景に、グローバルに活躍する。ラグジュアリーホテルからショールーム、ビラ、ファニチャーとアーティフルな活動を展開する注目のデザイナーだ。彼のヨットワールドでの記念すべきデザインデビューとなる。最新装備の一つに「OKグーグル」での呼び出しで、スマートフォンからのコネクト、エアコン、室内ライト、オーディオ、TVなどの連携と管理が可能となった。
14艇が並ぶ華やかなブース、アフトデッキから乗り込んでみる。スイミングプラットフォームの上、左舷には2名用クルーキャビンのエントランス、右舷には大型ストレージが用意される。アフトデッキにはリゾートのリビングのような丸いソフトタッチのU字ソファとウッドテーブルが据えられ、サロンエントランスサイドにウェットバーユニットが用意されている。右舷にフライブリッジへのラダー、そのピラーにサードステーション、ジョイスティックが潜んでいる。採光艶やかなサロン。視界の中に柔らかい趣きの景色が広がる。サロンに入り右舷にストレージがある。中にはワインセラーとワイングラスキャビネットが潜んでいる。淡いブラウンのウッドフロアに敷かれたラグ、ファニチャーのオーキッドブラウン、左舷のまろやかな趣きのミルク色のソファ、右舷にはカプチーノ色のリビングソファ、半楕円のアートフルなデザインテーブル。その右舷前方にディナーテーブルと6名用のチェアが並ぶ。頭上にはアートフルな3条のスポットライトがテーブルを照らす。斬新なのは左舷に用意されるギャレー。左舷からL字に低いウォールが取り囲み、内側がギャレーとなる。ウォールには上下2段のフィンがデザインされ異空間をメッセージする。ウォールの内側はカウンターだ。ギャレーは大型冷蔵庫、シンク、バーナー、オーブン&レンジ、製氷機、食洗器とフル装備。ニューヨークのオープンキッチンの趣きだ。ギャレー前方に対面テーブルセット、モーニングカフェのダイネッティがある。
更に洗練されたデザイン
右舷前方には本革のシート2脚のヘルムステーション。ステアリングの前方にRaymarineのディスプレイが2面、MANのエンジンモニター、前後スラスターレバー、ジョイスティック等がコンソールに整然と並ぶ。キャプテンシートの右にはサイドデッキへのパンタグラフ式ドアがある。FabioFantolinoのインテリアは、サロン全体に温かく柔らかな空気を醸し出す。
バウデッキにはリゾートゾーンが展開する。U字ソファとサンベッド、ポップアップ式のイルミネーションライトとエンターテインメントゾーンが広がる。ロアデッキには4ステートが用意される。
ミジップのオーナーズステートの趣きはアンシンメトリーなデザインが施されたモダンステート。横長の舷窓からの自然光、キングサイズベッドの左舷にウォークインクローゼット、右舷にバニティゾーン、パウダールームはレインシャワー、光と色のあしらいにデザイナーの仕込みが見える。バウにVIPステート、両舷にゲストステートが、それぞれオーナーズステート同様のエレガントな設えで用意される。
フライブリッジはクラス最大級の広さを見せる。右舷前方にメインヘルム同様のヘルムステーション。左舷にはサンベッドが広がり中央部にはコの字ソファとテーブル、右舷にはアメリカンバーキャビネット。バーカウンターにBBQグリル、製氷機、ウェットバー、キャビネットがリゾートのエンターテインメントを演出する。左舷後部にはソフトなソファ、サンベッドのリゾートゾーンが展開する。
FabioFantolinoは設計テクニックとデザインをエレガントに昇華させ、その空間はすべてが豊かなハーモニーを奏でる。クラシカルなインテリアの主張、イタリアデザインの象徴的なディテールを再解釈し新しい境地に導いたと評価されている。
ジャイロの恩恵を受け快適なクルージング
時々弱い雨の降る9月14日朝。気温25°C、南南西の風5m/m。Cannes沖は1m以上の波がある。フライブリッジのヘルムステーションでの操船。全長22.57m、全幅5.62m。デッドスロー600rpm7.1ノット、燃料消費2×20.6L/h。制限海域を抜け低速から確実な駆動を感じながら2×MANCRV12-1400MHPを管理する。SEAKEEPERジャイロを搭載、ローリングはしっかり抑えられている。
1,000rpm10.9ノット、2×20.0L/h。1,500rpm16.5ノット、2×94.0L/h。風音以外に遠くで波を切り分ける音がする。1,800rpm22.3ノット、2×146L/h。ステアリングを切り込んでいく。自分の位置を中心にバウから回頭を始める。ステアリングにリニアに反応する。左右の切り返しにスポーティな反応、軽快さが心地よい。トランサムデッドライズは15度。ハルデザインはP.L.AUSONIONavalArchitecturとAzimutR&D。インサイドバンクの好バランスやスムーズネスはスポーティそのもの。スーパーストラクチャー、ロールバー、ハードトップ、フライブリッジがカーボンラミネート。カーボンテックジェネレーションの新たな表現者だ。上部構造物30%の軽量化による低重心化による優れた動的安定性と軽快なハンドリングの維持、ロール運動量は15%減量とデータも物語る。クルージング速度2,000rpm25.6ノット、2×180L/h。トップスピードを試みる。2,370rpm32.0ノット、2×274L/h。
すべてがアーティスティックでエレガント、AlbertoManciniとFabioFantolinoの鬼才二人がタッグを組んで提案したニューFly72、フネの遊びに新たなステージを組み込んだ。P.B
AZIMUTFly72
全長22.57m
全幅5.62m
喫水1.82m
重量53.5ton
エンジン2×MANCRV12
最高出力2×1,400HP
燃料タンク5,200L
清水タンク1,100L問い合わせ先安田造船所TEL:03-3790-2230
https://www.yasuda-shipyard.com