
FRAUSCHER × PORSCHE 850 FANTOM AIR

静寂の中で“操る愉しみ”を失わない“、音なき疾走感”体現する真のスポーツボート名実ともに電動ボートの頂点に至った「FRAUSCHER×PORSCHE」珠玉の一艇
text:Yoshinari Furuya
photo:©2024 Dr. Ing. h.c. F. Porsche AG
https://www.frauscherxporsche.com
ニュルブルクリンクの森を切り裂く内燃機関の轟音。それはPORSCHEのアイデンティティであり、ドライビングの喜びを語るうえで欠かせぬ要素だった。だが、PORSCHEを象徴する911が登場してから60年以上を経た2019年。エクゾースト音のない電動PORSCHE「Taycan」が登場。走りのアイデンティティーを継承しながらサステナブルで高性能な電動スポーツカーを完成させた。その後、電動技術は「Macan」にも採用されていく。そして2024年、パートナーにオーストリアのボートビルダーFRAUSCHERBOATSを迎え、MacanTurboの完全電動駆動のユニットを搭載したボートを発表。水上においても「駆ける悦び」の表現者となる。陸と海、伝統と革新、過去と未来が交差する電動スポーツボート「FRAUSCHER×PORSCHE 850 FANTOM AIRフラウシャーxポルシェ850ファントム・エア」が、いま静かに波を切りさく。

「速いクルマ」は世にいくらでもある。しかし「走る哲学」を宿した車は、PORSCHEをおいて他にはない。PORSCHEというブランドが特別な理由は、スペック以上の価値を提供するからだ。カタログに記された数値では測れない“フィーリング”こそが、顧客を惹きつけてやまない。たとえばアクセルペダルのストロークに込められた情報量や、コーナリング時の荷重移動の美しさ、ステアリングに触れたときの重み、ブレーキの絶対的な安心感、アクセルを踏み込んだ瞬間の破壊力。それらすべてが、PORSCHEの名に恥じぬよう設計されている。「PORSCHEに乗る」とは、ひとつの思想に触れることと同義なのだ。そして、PORSCHEとは高級プレミアムブランドを所有する事とも異なる。「時間」をどう使うか、「人生」にどう向き合うかを問いかける存在。だからこそ、オーナーは皆一様に「単なる車ではない」と言う。エンジニアリングが感性を震わせる構造こそ、PORSCHEの真髄である。
この唯一無二のモビリティーを、水上に持ち込んだものが、FRAUSCHER×PORSCHE 850Fantom Air。FRAUSCHERとPORSCHEの共同開発によるPORSCHE初の電動スポーツボート。PORSCHEは電動化を戦略の中核に据え、TaycanとMacanに搭載した高性能EVで新たなステージへと歩み始めている。850FantomAirに搭載されたEVシステムは、まさにその延長線上にある技術。それはPORSCHEを代表する911の伝統を受け継ぎながら電動化を果たしたTaycanの感性に通じるもの。850FantomAirでは、Taycanの開発に携わったエンジニアたちが、FRAUSCHERとの共同プロジェクトに従事する。シンプルな中に洗練された造形美や、ラグジュアリーの中に機能美を持つ静寂のPORSCHE。PORSCHEは、タイヤとハンドルの世界にとどまらず、プロペラとラダーの世界にもEVテクノロジーを広めるのだ。だが、FRAUSCHER×PORSCHEの本質は、数値だけでは表せない。水上での加速感、旋回時のG、音なき疾走感。それはTaycanで感じた未来的感性。陸と海のPORSCHEは、感性でつながっているのだ、
850FantomAirを建造するFRAUSCHER Bootswerftは1927年、オーストリアのトラウン湖畔で創業。山に囲まれた淡水湖で育まれたこの造船所は、創業当初から「芸術性」と「性能美」を併せ持つボート建造に定評があった。やがてヨーロッパ有数のラグジュアリー・ボートブランドへと発展。1955年には、一早く電動推進の分野にも進出。サステナブルかつ上質なボーティング体験を模索し続けている。コラボレーション以前から「水上のPORSCHE」と呼ばれていたFRAUSCHERは、開放的かつ戦闘的なオープンスポーツカー的なボート。しかし、それは見た目だけではない。研ぎ澄まされたハル形状、スムースなプレーニング、レスポンスの良さ。操る楽しさこそ、「水上のPORSCHE」と呼ばれる所以だ。
このFRAUSCHERとの共同プロジェクトは、単なる「乗り物としての電動ボート」を超えた、次世代のマリンライフの提案でもある。FRAUSCHER×PORSCHE850FantomAirは、センターコンソーラーのFRAUSCHER858FantomAirをベースに、PORSCHEのデザインスタジオ「StudioF.A.PORSCHE」がデザインを加えたもの。基本的にはFRAUSCHER伝統のディープVハルをベースにしたワイドビームの安定したプラットフォーム。8.67mの全長ながら、7名が快適に過ごせるオープンレイアウトが特徴のセンターコンソーラー。ちなみに、「Air」の付かない「FRAUSCHER×PORSCHE 850 Fantom」は、「FRAUSCHER 858 Fantom」をベースにしたランナバウトモデル。「850 Fantom Air」と「850 Fantom」の2モデルを合わせて世界限定25艇のプレミアムなボートとなる。

トランサムのチークデッキから1段高くなるエンジンフード。フード上部の左右にはサンタンベッド。サンタンベッドは、ソファへつながる。中央の通路、チークデッキを通りメインデッキへ移動。メインデッキ中央にはセンターコンソール。ミニマルでありながら黒く緊張感に満ちたインストルメントパネル、コンソール上段には、アナログスタイルのメーター。ポートサイドには、PORSCHEのクレストが誇らしげに輝くオリジナルのステアリング。オールド911を彷彿させる造形のコンソールだ。そして、ヘルムとナビゲーターの2脚のボルスターシートにもPORSCHEのクレストが刺繍されている。オープンバウには、左右に美しい造形のベンチシート。中央にテーブルをセットしダイネッティーとして、クッションをはめサンベッドとしても使える。バウ先端の上部にはチークが敷かれ、デザイン上のアクセントにもなっている。手すりからクッションの素材ひとつに至るまで、PORSCHEのクルマづくりに通じる「素材とディテールへのこだわり」が貫かれている。

パワートレインは、PORSCHEのプレミアム・プラットフォーム・エレクトリック(PPE)を採用。PORSCHE Macan Turboに搭載されている最高出力400kW(530馬力相当)のモーターと100kWhのバッテリーから繰り出されるハイパワーユニット。800Vの急速充電(最大250kW)にも対応し、バッテリー残量10%の状態から80%まで、わずか30分以内で充電が可能なシステムも用意されている。もちろん、通常のマリーナ利用を想定したAC充電用11kWのオンボードチャージャーも搭載されており、ヨーロッパの多くの港湾インフラに適合している。静寂でありながら環境に優しいエンジンは、内燃機関と違い一瞬で最大パワーを出力し、爆発的に加速する。逆に、安全のため有り余るパワーは制御され、最高速度を45ktに抑えられているほどだ。
だが、FRAUSCHER×PORSCHEの本質は、数値だけでは表せない。水上での加速感、旋回時のG、音なき疾走感。陸と海のPORSCHEは、感性を共有する。PORSCHEは単なるモビリティの電動化にとどまらず、「移動の体験」そのものの再設計に挑んでいる。車からボートへとシームレスにつながるPORSCHEブランドの世界観は、“新しいラグジュアリー”の在り方を示している。

FRAUSCHER×PORSCHE 850 FantomAirは、ヨーロッパで最も権威のあるパワーボート賞の1つである「Best of Boats Award 2024」において「BestElectric」を受賞。今年2月には「European Power boat of the Year 2025」の「Electric」を受賞。名実ともに電動ボートの頂点へと駆け上がった。海のPORSCHEは、決して夢物語ではない。FRAUSCHERという名門ビルダーの確かなクラフトと、PORSCHEの先進技術と哲学が融合したこの1艇は、電動化の時代にあって“操る愉しみ”を失わない、真のスポーツボートなのだ。P.B.
FRAUSCHER × PORSCHE 850 Fantom Air
全長 8.67m
全幅 2.49m
全高 1.35m
喫水 0.9m
乾燥重量 2.8ton
電動ユニット最大出力 1×400 kW(530馬力相当)
バッテリー 100kWh
価格 €572,934
問い合わせ先
https://www.frauscherxporsche.com





