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The Gentle Breeze of VIRGINIA

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The Gentle Breeze of VIRGINIA穏やかで上品なバージニアの街を巡る旅

歴史と伝統に彩られたバージニア州。アメリカ合衆国の発祥の地であり独立戦争から公民権運動に至るまで、アメリカの主要なドラマの舞台となってきた。

photo & text: Hidehiko Kuwata
special thanks: Visit Virginia photo & text: Hidehiko Kuwata
special thanks: Visit Virginia https://www.virginia.org

 リッチモンドの南東約150kmに位置するノーフォークは、世界最大規模を誇るノーフォーク海軍基地で知られる、軍事産業と海運を中心とした交通の要衝として栄えてきた街だ。海運業において世界最大の米国籍船舶を管理するマースクライン社(MAERSK)の本拠地としても有名だ。同時にこの地域の芸術文化の中心でもあり、全国的に高く評価されている「クライスラー美術館」はじめ、主要な舞台芸術団体の本拠地にもなっている。クライスラー美術館はケント地区、フリーメイソン地区、ネオン地区が交わる場所に建ち、この3つの地区がノーフォークの芸術文化の中心地となっている。

 そんな中で最近注目が集まっているのが、ネオン地区のストリートアートだ。この地区はかつて “Auto Row” として知られ、多くのクラシックカーのディーラーが通りに立ち並び、ネオンカラーのライトで光り輝いていたところから、ネオン地区という名称になったという。街角を色鮮やかに彩るユニークな壁画の数々。小さな市民グループから始まったこのムーブメントによって、現在ではアーティストだけではなく、シェフなどの様々な “職人” たちが集まった活気あふれるエリアに急成長したのだ。

 海運の要衝であるノーフォークの東にはバージニアビーチの街があり、北にはチェサピーク湾が広がっている。約280kmに渡って続くチェサピーク湾の海岸線には入江も多く、様々なレクレーションやエコシステムの環境が整っている。中でもベルアイル州立公園は広大な湿地帯を擁する美しい公園で、その自然環境は多くの野生動物の生息地ともなっている。

バージニア州は米国有数のワイン産地

バージニア州のワイン造りには約400年の歴史あり、アメリカワイン発祥の地とされている。じつはカルフォルニア州、オレゴン州、ワシントン州、ニューヨーク州に続き、アメリカ国内でも5本の指に入るワイン産地なのだ。イギリスからの入植者がジェームズタウンに10本のブドウ樹を植えたのがはじまりで、1762年にはバージニア州でワイン用のブドウを栽培できることが証明され、その後10年間かけてトーマス・ジェファーソン(第3代アメリカ大統領)がバージニア・ワイン・カンパニーの支援を得て、彼の家の敷地近くにブドウ畑とワイナリーを建設している。フランスに4年間暮らした時代に本場のワイン造りを学んだ彼は大のワイン通で、ジョージ・ワシントンのもと、ホワイトハウスのワイン顧問兼バイヤーを任されていた時期もある。

 前述のチェサピーク湾沿いは素晴らしいワイン産地として有名なので、約40km内陸のパマンキー川を見下ろす高台にあるワイナリー「サウデ・クリーク・ヴィンヤード」を訪ねてみた。オーナー兼ワインメーカーのジェイソン・ナイトは、100エーカーの畑にリンゴの木とブドウの木を植えてワイン造りを始め、2011年7月にこのワイナリーをオープンさせた。早速テイスティングをしてみると、中でもカベルネフランから造られる赤ワインや、ヴィオニエから造られる白ワインが素晴らしい味わいだ。ワイナリーの敷地内にはたくさんのデッキ、パティオ、焚き火台、ラップアラウンドポーチがあり、お気に入りの場所でワインを片手にくつろげる。毎週末には地元のミュージシャンによるライブ演奏もあり、このワイナリーは旅行者にも地元の人にも人気があるという。デッキから望む雄大な大自然も見事な景観だ。

オールドタウン、アレクサンドリア

バージニア州を訪れる時必ず立ち寄りたくなるのが、首都ワシントンD.C.の南10kmに位置するオールドタウン、アレクサンドリアだ。1749年に設立され国内で3番目に古い歴史地区を誇る街だ。木陰になった石畳の通りには、歴史的な建築物と共に趣のあるショップやレストランが並ぶ。数世紀前にはジョージ・ワシントンがこの通りを歩き回り、トーマス・ジェファーソンやジョン・アダムスと革命について語り合った場所である。通りを歩いてポトマック川に出れば、首都のユニークな遠景を望むこともできる。同時にここは現代的な雰囲気が漂うトレンディな街でもあり、賑わいの中心であるキング・ストリートはいつでも活気にあふれている。

 美しく保存された旧市街にはアメリカ独立戦争以前からの歴史が息づいており、散策の魅力には事欠かない。植民地時代の歴史と現代的なスタイルがバランス良く並び、ウォーターフロントの風景、おいしい食事など、歩いて楽しむには最適な街だ。そしてワシントンD.C.から公共交通機関でわずか数分という立地。水上タクシー、バス、メトロレールを利用した短い旅行で、アレクサンドリアのリラックスした雰囲気と首都の賑やかな雰囲気、この両方のメリットを享受できることも嬉しい。赤レンガの家、石畳の通り、ガス灯、ポトマック川に望む水辺の遊歩道。大通りには洒落たカフェやバーが並ぶ街。アレクサンドリアは人が穏やかに過ごせる街だ。P.B.