奇跡の絶景、ギリシャ サントリーニ島

大噴火によって生まれた断崖の絶景、アトランティスの伝説どこまでも蒼い海と空が神話の世界へ誘う
photo & text: Masahiro Ohashi
路地や階段そして建物も真っ白に塗られた街並みと、青いドーム型の屋根が印象的なギリシャ正教の教会が点在するサントリーニ島はどこを歩いても絵になる。島へは飛行機か船でアクセスするのだが、その選択によってサントリーニ島のファーストインプレッションはかなり異なる。それはこの島の成り立ちと現在の島の形状による。


船でこの島を訪れる者は、港からほぼ垂直に300メートルの断崖を登るケーブルカーに乗るか、同じく約600段の階段を徒歩かロバの背に乗って島の中心地フィラの街を目指すことになり、港から街への移動がいかに困難であるかを体感するであろう。一方、飛行機で到着する場合は航空機が離発着できる島の東側の平地に降り立つので、この島の絶壁を目にするのはその後、街やホテルに到着してからとなる。
古代から独自の芸術と文化が栄えていたこの島を悲劇が襲ったのは紀元前1450年のこととされる。火山の大噴火によって一夜にして島の多くが海中に没した。噴火でえぐり取られた周縁部の断崖絶壁の土地が、現在のサントリーニ島なのだ。高度な文化によって繁栄していた島が一夜にして崩壊してしまったという描写は、あの伝説のアトランティス王国と酷似することから、サントリーニ島からクレタ島にかけて栄えていたミノア文明こそがアトランティス文明だとする説があるほどだ。また、近年の発掘調査で火山灰の下から古代都市の遺跡が発見されたが、いまだにその大部分は灰の下に眠っている。噴火によって失われた文明が幻のアトランティスかどうかは別として、栄えていた古代文明が一夜にして崩壊したミステリアスな歴史と火山噴火によって生まれた絶景を目の前にすると、ギリシャ神話や伝説の舞台に紛れ込んだような錯覚を覚える。

まずは島で一番大きくて賑やかなフィラの街を散策してみることにする。狭い路地に並ぶ土産物屋からはギリシャ民謡が流れ、レストランからはシーフードをグリルする香ばしい匂いが漂う。容赦ない眩い太陽に導かれ、喧騒を離れて白い迷路のような路地や階段を彷徨う。すると、突然目の前に青色屋根の教会とその先に紺碧の海と澄み渡る空が見えてくる。それは一幅の絵画のようだ。この島を目指してやってくるクルーズ船やボートの白波がこの視界で唯一動くもので、それがなければ永遠にも思えるほどの静寂が辺りを包む。神話の世界の神々が創造した景色とは言いすぎだろうか。いや、少なくともこの光景を目にしたら神話の世界もアトランティスの伝説も信じてしまえそうなほど、この島には太古のロマンが満ちている。

眺めのいい島で太陽と共に過ごす極上のバカンス

この島で極上のバカンスを堪能するなら滞在するホテル選びが重要だ。サントリーニ島のホテルの多くは崖の最上部から石段を下りると客室やプール、レストランと、段々畑のように造られている。その中でも名実共にこの島を代表するラグジュアリーなホテル「KatikiesChromataSantorin(iカティキエス・クロマタ・サントリーニ)」は眺めの良いテラスと研ぎ澄まされた美意識でゲストをもてなす。ホテル名の「カティキエス」とはギリシャ語で「家」の意味で、もともとはサントリーニ島の漁師などが暮らしていた崖の横穴を生かした集合住宅のこと。その客室は、サントリーニの伝統的な居住スタイルをモダンでラグジュアリーな洞窟スタイルの部屋にアレンジしたものなのだ。


ホテルの看板が掲げられたエントランスから、崖下の海まで続くかのような急勾配の石段が客室やカフェを併設するプールへと続く。険しい崖の地形を見事に活かしたデザインになっていて、複雑で入り組んだ石段と通路を降りた先にあるプライベートテラスがついた洞窟スタイルの客室はもちろんオーシャンビュー。扉を開いて室内に入ると、奥行きがあり、岩を削ってくり抜いたベッドルームやその奥のバスルームには直射日光が入らないので日中でも室内はひんやりとして心地よく、青と白を基調としたセンスの良いインテリアや岩の壁を照らす柔らかな明かりに癒される。

特筆したいのはインフィニティプールだ。プールサイドに置かれたデッキチェアに身を沈めれば、雲ひとつないギリシャの青空と紺碧の海、そしてかつての大噴火の跡を残す火山島を眼下に日光浴を楽しむことができる。夕暮れ時には白亜の街をローズピンクに染めるサンセットを独り占めできる。

観光客向けのレストランやホテルがある島の西側はどこも断崖絶壁だが、島の南東には空港や海水浴が楽しめるビーチがある。そのうちのひとつレッドビーチは背後に赤い岩肌の断崖がそびえ立つ独特なロケーションで、泳がないまでも景観を楽しみながら水着で過ごすだけでも貴重な体験となるはずだ。近くには、紀元前の大噴火で埋没した古代都市遺跡のアクロティリ遺跡がある。また、空港から近い古代ティラ遺跡には、紀元前9世紀頃から1,000年以上にわたって栄えた古代都市の土台部分が残っていて、ここからは空港やビーチ
を見渡すことができる。この島に宿る神聖な土地に足を運び紀元前に栄えた文明の痕跡に触れることで、より深くこの島の魅力を感じられるはずだ。


そして、サントリーニ島でのメインイベントはなんといってもエーゲ海に沈む夕陽が演出するマジックアワーだ。もちろん滞在するホテルのテラスやプールサイドから見る夕陽も素晴らしいが、世界で最もロマンチックなサンセットを楽しむなら島の北にあるイアの街をお薦めする。イアの街には青い屋根のギリシャ式の教会だけでなく、今では使われていない風車小屋や城塞跡などがあり、それらが夕陽に染まって刻々と色を変えてゆく様はドラマチックで世界一の夕陽と言われる所以だ。日が傾きかける頃、夕焼け空とイアの街をカメラやスマホに収めようと狭い階段や路地はたくさんの人で賑わい、ウエディング撮影や恋人にプロポーズをする人もいる。そして魔法の時間を演じた太陽が水平線に姿を消すと、まるでオペラのフィナーレのように拍手や歓声が沸き起こり、スペクタルな時間を共有した誰もが幸福感に包まれる。

眺めの良いホテルのテラスで太陽を浴びて過ごし、エーゲ海の彼方に沈む夕日に癒される。神話と伝説に彩られるサントリーニ島には、この島だけの特別な「時」が流れている。P.B.
■ Katikies Chromata Santorini
https://www.katikies.com
■ ザ・リーディングホテルズ・オブ・ザ・ワールド
https://jp.lhw.com




