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TRAVEL

Winter Amangani

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窪地のワイルドライフ・アドベンチャーJackson Hole「ウインター・サファリ」

text: Hiromi Suzuki 
photo: Ryoichi Sato 
Special thanks: Aman

アメリカ大陸を4,800kmにも及び、南北に貫くロッキー山脈。そのほぼ中央に、ここだけが鋭角に凛々しくそびえ立つティトン連山がある。最高峰グランド・ティトン(4,197m)を筆頭に、4,000m級の山々が織りなす景色は、ロッキー山脈の中で最も美しい山容だといわれる。そんなティトン連山の東側、地溝谷と呼ばれる地殻変動で生じた窪みには、沖縄本島がすっぽり入るほどのグランドティトン国立公園、西部開拓時代を彷彿とさせる小さな町ジャクソン・ホール、そして広大なエルクの保護区が広がっている。夏は経済政策シンポジウム「ジャクソンホール会議」で世界の中央銀行総裁や政治家、学者などがここに集結するが、全てが白銀に染まる冬は、山奥に暮らす野生動物が集結する。

冬期、深い雪に埋もれ、餌が乏しくなる山での生活を諦めたバイソンやエルク、そしてビッグホーンシープ(オオツノヒツジ)などの草食系の動物たちの多くは、この地溝谷に集まり、越冬するのが通例となっている。しかし雪山同様に、この地には特有の厳しい自然環境が待っている。ティトン連山から吹き降ろされる冷たい風が、窪地のジャクソン・ホールに停滞し、辺り一帯は冷凍庫のような冷気と濃い霧に包まれる。

日によっては一日中、冷気の霧に包まれる日もある。しかし、この過酷なまでの寒さに耐えられれば、ここには彼らの食料となる草が冬でも豊富にある。それゆえに、厳しい冬を生き抜くさまざまな動物たちの姿を間近で見ることができるのだ。

北米では、西部開拓時代以前に生息していた動物が今も残っている地域はわずかしかない。しかしジャクソン・ホール一帯では、当時見られた動物のほとんどを、今でも目にすることができることから「ウインター・サファリ」が、脚光を浴びつつある。

夜が明け、晴天も束の間にみるみるうちに冷たい霧に包まれた。真っ白な景色の中「ウインター・サファリ」に出発だ。国立公園を南北に貫く道路を車で移動中、ようやく霧が抜け始めると、目の前に白い虹らしきものが現れた。「これは光が霧に反射して見られる『白虹(霧虹)』という現象。今日は付いているよ!」とガイドが言う。

快晴となった空にはダイヤモンドダストが舞い、グランド・ティトンをバックに頭を左右に振って雪を掻き分け餌を探す数頭のバイソンの姿がある。川沿いの湿地帯では、通常群れることないムース(ヘラジカ)が寄り添い餌を求めて移動している。裾野付近では1匹のアカギツネが小動物をめがけて雪にダイブした。ここは、まさに、冬を乗り切るために野生動物たちが集まる窪地のオアシス。厳しい自然環境だからこそ、彼らの生き抜く術を目の当たりにできる唯一無二の場所なのだ。

厳冬の大地とラグジュアリーの美しい融合「Amangani(アマンガニ)」

万年雪をかぶる山々、その麓を曲がりくねって流れるスネーク・リバーは、アメリカを代表する写真家アンセル・アダムスが80年前に撮影した「グランド・ティトン&スネーク・リバー」の写真と今も変わらぬ景観が広がる。そんな美しいグランド・ティトンの雄大な自然と共に出迎えてくれるリゾートがある。

石積みとレッドウッドを組み上げた外観、鳥の翼のように左右に広がるゲストルーム。「アマンガニ」は、まるで大地に舞い降りた鷲のように周囲の環境に溶け込んでいる。吹き抜けのラウンジの窓越しに、移りゆく空の色とティトン連山の雄大な景色を1日中眺めていられる。ラウンジ、ライブラリー、ダイニングと仕切りのない空間で、自分が見つけたお気に入りの場所で飲食ができる自由さは、ゲストを我が家のようにくつろがせてくれる。ゲストルームの大きなバルコニーからも素晴らしい景色を堪能でき、客室では極上の時間が約束されているが、ゲストはなぜかラウンジに集まり暖炉を囲んでスキー談義に盛り上がったり、ライブラリーのソファで読書に耽ったり、パブリックスペースで思い思いの時間を過ごしている。

ラウンジで一息ついていると、アクティビティから戻った一組の夫婦が声をかけてきた。「ワイルドライフ・ツアーは最高よ!信じられないくらい多くの動物を見られたのよ。なかでもビックホーンシープの群れが道路脇に出て来て、車に着いた凍結防止用の塩を舐めているの。ナチュラリストの話では塩分が不足する冬期の塩分補給のためだそうよ。勉強になったわ」興奮冷めやらぬ様子で話すのは、フロリダからの夫妻だ。ここでは初めて顔を合わせたゲスト同士でも自然と会話が弾む距離感がいかにも心地よい。

山の景色を見渡すメインレストラン「ザ・グリル」での、最高級の地元産の食材を使用した創作料理と、温かなホスピタリティも素晴らしい思い出になるだろう。アメリカバイソンのショートリブの肉の旨さと柔らかさといったら!きっと誰もが驚くはずだ。

澄み切った空気に包まれた朝に舞うダイヤモンドダスト、ベランダで眺める満天の星、月明かりが雪に反射してうっすらと見えるティトン連山、凛と張り詰めた空気に響き渡るコヨーテの遠吠え。見えるもの聴こえるもの全てが美しく、大袈裟ではあるが地球が愛おしく思えてくる。ありのままの自然を全身で享受し、己も自然の一部だと実感する。これこそが、ここに「アマンガニ」が存在する所以であろう。P.B.

■ AMANGANI
https://www.aman.com/ja-jp/resorts/amangani