
SEA RAY SUNDANCER 320 OUTBOARD EURO

SEARAYの代名詞「Sundancer」、アウトボードを搭載して更なる進化を遂げたトップスピード47ノットのハイパフォーマンスエクスプレスクルーザー
text:Atushi Nomura photo:Makoto Yamada
special thanks:Eins A Resort https://www.eins-a.jp
近年、パワートレインにアウトボードを採用したモデルを大幅に増加させ、デザインやスタイリングを含めて、時代に合わせた変革を重ねてきた「SEARAY(シーレイ)」。1959年の創業以来、テネシーの本社の他、フロリダやメキシコ、さらにEUポーランドにも工場を構え、アメリカを代表する世界的なクルーザーブランドとして名を馳せてきた。現在も多様なシリーズを生産しており、19~40フィートのレンジに「Sundancer」、「SunSport」、「SLX」、「SDX」、「SPX」の5シリーズが揃う。

世界的な潮流に乗り、パワートレインはインボードやスターンドライブからアウトボードにシフトしつつあり、ほとんどのモデルにアウトボードを含む2種類のパワートレインが用意されている。基幹となるモデルは、やはりエクスプレスクルーザーであり、その中で現在もSEARAYの“顔”と言うべき存在は「Sundancer(サンダンサー)」であることに間違いない。今回紹介するのは、250馬力アウトボードエンジンMERCURY Verado 250を3基掛けした「SEARAY Sundancer 320 Outboard EURO」である。


スポーツスポイラーと呼ばれる前傾した独特のレーダーアーチは、Sundancerの代名詞とも言える存在で、彼方から見てもシルエットだけでSundancerと認識できるくらいに特徴的だ。さらに近年はスポーツスポイラーをハードトップと一体化させる工夫がなされており、従来のような完全なオープンエクスプレスというよりも、オーニングやウィンドウで囲むクローズドキャビンに近いコクピットレイアウトが採用されてきた。バランスの取れた美しいフォルムが自慢のSundancerシリーズの中でも、今回のモデルはその中核といえる32フィート艇であり、短過ぎず長過ぎずのフロントノーズが実にSundancerらしい。それでいてスポーツスポイラーとハードトップの一体化や新しいデッキレイアウトなど、近年のSundancerの特徴もしっかりと組み込まれている。
多少風があり小波立つコンディションの中、和歌浦湾に乗り出す。和歌山マリーナシティヨット倶楽部の桟橋を離れて沖合いへ。デッドスローから徐々に加速していく。ほとんどハンプはなく実にスムーズにプレーニングする。クルージングスピードは30ノット程度。この速度域でスラロームやS字旋回などのマニューバを行ってみる。写真を見るとかなり傾いて見えるかもしれないがコクピット内ではさほどヒールを感じず、3基のアウトボードのプロペラがしっかりと水を噛んでいる安心感がある。
ストレートに戻してトップスピードをテストする。トリムをコントロールし、さらに加速する。GPSによればこの日のトップスピードは47ノット。最高回転域でしばらく走らせても平均45ノット以上のスピードだった。32フィートのエクスプレスクルーザーとしては十分すぎるポテンシャルだ。トータル750馬力のトリプルアウトボードは、かつてのスターンドライブ仕様のSundancerよりも遙かに高いパフォーマンスを見せてくれた。また低速域でのコントロール性に優れており、ジョイスティックも完備されシングルハンドでの離着岸も容易。単独もしくは少人数のデイクルーズに最適な一艇だ。もちろんランナバウト的に走りそのものも楽しめる。


コクピットレイアウトも特徴的だ。大型スイミングプラットフォームの右舷寄りにコクピットへのトランサムゲートを配置、アフトコクピット左舷に大型L字ソファ、右舷にソファとコンロやシンクを備えたカウンターが並ぶ。前寄り右舷にはデュアルのドライバーズシート、左舷側はL字ソファ前部がバックトゥバックの背もたれとなっており、パッセジャーシートとしても使用可能だ。左舷前部にはフォアデッキへのウォークスルーがあり、フォアには3連のソファ兼シートが並ぶ。


ヘルムステーション脇のドアからロアフロアにアクセスできる。ロアフロアにはVバースにもなるフォアキャビンとツインにもダブルにも可変のベッドがあるミッドキャビン、さらには個室ヘッドが備わっている。ヘッドクリアランスがあるため広々した雰囲気に感じられマリーナステイにも対応可能だ。

Sundancer 320Outboard EUROは、従来のSundancerらしいシルエットとテイストを踏襲しつつ、新世代Sundancerの要素を存分に組み込んだ完成度の高い優れたモデル。走りと居住性をバランスよく備えており非常に使いやすい一艇だ。P.B.
SEA RAY SUNDANCER 320 OUTBOARD EURO
全長 10.64 m
全幅 3.25 m
喫水 1.12 m(船外機ダウン) 0.81 m(船外機アップ)
重量 6.20 ton
エンジン 3× MERCURY Verado 250
最高出力 3× 250HP
燃料タンク 833L
清水タンク 121L
問い合わせ先 アインスAリゾート
TEL: 072-224-4040
https://www.eins-a.jp








