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SEA RAY SLX 400 OUTBOARD

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北米を代表するクルーザーブランド「SEARAY(シーレイ)」のラグジュアリーラインとなる「SLX」は、ロングセラーモデル「Sundancer」のフィロソフィを受け継ぎつつより豪華さを増したシリーズだ。そのSLXシリーズの40フッター、モンスターアウトボードMERCURYVerado600をツインで搭載した現在のSEARAYのフラッグシップが「SEARAYSLX400Outboard」である。トップスピード50ノットオーバーでの安定した走りはさすがの一言。和歌浦湾にてシートライアルを行った。

text:Atsushi Nomura 
photo: Makoto Yamada
special thanks: EINS A RESORT
https://www.eins-a.jp/stock/

ラグジュアリーライン「SLX」のオープンエクスプレスクルーザーツインMERCURYVerado600をインストールしたSEARAYのフラッグシップ登場

近年のアウトボードの高馬力化は著しい。従来、スターンドライブやインボードを使っていたであろうクラスのパワーボートも続々とアウトボード化が進んでいる。それは北米で特に顕著で、まさに高馬力アウトボード最先端の地と言える。

北米を代表するラグジュアリークルーザーブランドである「SEARAY(シーレイ)」も例外ではなく、かつてはスターンドライブやインボードを搭載していたモデルに次々とアウトボード仕様を投入してきている。今回紹介する「SEARAYSLX400Outboard」もそんな一艇だ。40フィート艇にアウトボード搭載というのは、一昔前であれば、かなりレアな存在であった。しかし、高馬力化の流れは凄まじい勢いであり、今回のSLX400Outboardには、ツインのMERCURYVerado600(V型12気筒、7,600cc)がインストールされていた。なおSLX400Outboardのスタンダードエンジンは、トリプルのMERCURYVerado300となっている。

SLX400Outboardは、現在のSEARAYのラインナップでは最大となる。SEARAYには「SLX」の他、お馴染みの「Sundancer」、「SunSport」、「SDX」、「SPX」の5シリーズがある。SLXの位置づけは、Sundancerをグレードアップしたラグジュアリーラインとのこと。SLXには、「400」の他、「350」、「310」、「280」、「260」と合計5つのサイズにモデルが揃っており、それぞれアウトボード仕様とスターンドライブ仕様が存在する。またこれらの他に、ウェイクサーフィン用に特化された「260Surf」というモデルもある。260Surfは、前向きプロペラが取り付けられたMERCURYMerCruiserBravoFourS搭載モデルだ。

SLX400Outboardは全長12.77m、全幅3.70m、乾燥重量9.3トン強。オープンタイプのエクスプレスクルーザーであり、フォアデッキがオープンコクピットになっているのが大きな特徴だ。ハードトップやスポーツスポイラー(レーダーアーチ)の形状は、現行のSundancerよりも、かつてのSundancerに似ているように思う。フォアデッキは左舷側がウォークスルーとなっており、前寄りの左右と後ろ寄りにソファが並ぶ。中央にはテーブルもセットされる。

コクピットは、ハードトップと後部の延長可能なサンシェードにより、ほぼ全面的に覆われている。オプションで開閉可能なサンルーフ仕様もある。コクピット前部はウィンドシールド仕様となっており、オープンボートらしい開放感にあふれている。

コクピット右舷前部に2脚のシートが並び、右がドライバーズシート。ヘルムステーション周りは視認性の高いブラック。タッチスクリーンのSIMRAD16インチディスプレイが2面配置されている。ステアリングホイールの右にはDTS(DigitalThrottle&Shift)仕様のシフトレバー、アウトボード用ジョイスティック、チルトトリムコントロールな
どが並ぶ。いずれもドライバーからの視認性、操作性とも高い。

ウォークスルーを挟んだ左舷にはパッセンジャーのためのベンチシート。横向きにも後ろ向きにもアレンジでき、コクピット後部のラウンジと一体化する。ラウンジの左舷~後部は大型L字ソファ、右舷にソファとカウンターが配置される。L字ソファの前には折り畳み可能な大型テーブル。カウンターには冷蔵庫、シンク、グリルなどがマウントされている。

シートアレンジで面白いのはL字ソファの背もたれ部分だ。L字ソファの後部はそのままサンベッドに繋がっているのだが、背もたれの右半分を90度回転することができ、このアレンジにより、サンベッドは右横向きになる。SLX400は右舷後部のブルワークが外側に開くスイムテラスになっており、スイミングプラットフォームにはスイミングラダーが取り付けられている。右向きのサンベッドと相まって、ここは最高の“スイムテラス”。またサンベッドの下部は大型ドライストレージとなっている。

トランサムは、スイミングプラットフォームの中央を掘り込む形でアウトボードがマウントされている。サンベッドからエンジンまでの間がかなり広いためエンジンの前は普通に歩くことができ、プラットフォーム左右からポンツーンへのアクセスも安全にできる。フォアデッキからスイミングプラットフォームまでは全面チーク張り。それに合わせたシートファブリックは、タンカラーに統一されている。艇体のまぶしい白と、チーク、タンのブラウン系の落ち着いた色合いのコントラストが、いかにもSEARAYらしい上品さとラグジュアリー感を演出する。

ロアフロアへはドライバーズシート左側のコンパニオンウェイからステップを降りると、高いヘッドクリアランスに驚かされる。室内のファブリックもデッキと同じくタン系のカラーリングで落ち着いた雰囲気だ。ステップの左には冷蔵庫や電子レンジが配置され、右舷側はシャワーを備えた個室ヘッド。サロンと一体のフォアバースにはV字ソファとテーブルがセットされている。もちろんテーブルを下げてマットを敷けば大型ベッドになる。サロン後ろのミッドバースは、ヘッドクリアランスこそ低いがクイーンサイズのベッドが確保されている。

今回のシートライアルは和歌山マリーナシティヨット倶楽部をベースに行った。和歌浦沖は多少風と小波が立つ程度で40フィートには問題のないコンディション。沖合いへ出て、早速、合計1,200馬力のモンスターをテストする。同じパワートレイン設定だったSundancer370を試した際にも感じたが、デッドスロー時は7.6リッターV12のツインというのを忘れるくらいに静かだ。

シフトレバーを倒し一気に加速する。立ち上がりのトルクは強烈で、まったくハンプを感じさせず、正直アウトボードのそれではない。クルージングスピードは35ノット前後。スラロームを試せば適度にヒールし、スピードの割りに落ち着いた挙動だ。さらに最高回転の50~52ノット程度まで伸ばす。フルスピードで走っていても音はかなり静かで普通に会話できる。50ノットオーバーでもウィンドシールドのおかげでさほど強い風が顔に当たらないためとても快適だ。

海風を感じながら爽快に走るSEARAYSLX400Outboard。ラグジュアリー感にあふれた居住空間と、遊び心と意匠に富んだデッキ周り。ファミリーにも仲間で遊ぶにも最高のモデルであり、夏の海を楽しく、そして美しく彩ってくれる稀有な存在となるだろう。P.B.

SEA RAY SLX 400 Outboard
全長 12.77m
全幅 3.70m
喫水 1.14m
重量 9.37ton
エンジン 2×MERCURY V12 Verado 600 
最高出力 2×600HP
燃料タンク 1,419L
清水タンク 189L 
問い合わせ先 アインスAリゾート  
TEL: 072-224-4040
https://www.eins-a.jp/stock/