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PIRELLI 35

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幅広となり安定感をさらに増したハルに、上位モデル譲りのダブルステップデビューと同時に“Best for Fun”アウォードに選ばれた、50knotのパフォーマンスRIB

text: Atsushi Nomura 
photo: TecnoRib

2005年創業のイタリアンRIBビルダー「Tecno Rib(テクノリブ)」は、世界的なタイヤメーカー「PIRELLI(ピレリ)」のライセンスを得て、その名を冠したRIB(リジッドハルインフレータブルボート)の建造に当たっている。2006年にデビューした「PIRELLI 770 EFB」に始まり、独創的なPIRELLI Ribは高いパフォーマンスを評価されてきた。2015年にはより小型のTenderシリーズを発表、一方、2017年には「PIRELLI 1900」という全長18.5m、サーフェスドライブ搭載のマキシRIBを発表するなど、多彩なモデルを揃えている。従来PIRELLI Ribのモデル名は、PIRELLIの後ろに3桁ないしは4桁の全長メーター表記だったが、2020年のデュッセルドルフショーでデビューした「PIRELLI42」から2桁の全長フィート表記となった。その大成功を受け、フィート表記になってから2モデル目となるのが、2021年デビューの「PIRELLI 35」である。

PIRELLI Ribのプロジェクト全体はPIRELLI Designが管理しているが、ボートデザインそのものはスウェーデンの著名なボートデザインオフィスであるMannerfelt Design Teamが行っている。同社の2代目であるTed Mannerfeltは、現在のCEOでありチーフデザイナー。「PIRELLI 35」もTedが手がけたモデルだ。Tedはパワーボートレース界では著名な人物で、ドライバーとして数々のオフショアレースタイトルを獲得している。さらにデザイナーとしても大成し、JAGUAR、RENAULT、LOTUS、FORDなどのコンセプトカーデザインを行ってきた。またPIRELLIの他、NIMBUS、VECTOR、RUPERTなどのボートデザインも手がけている。

「PIRELLI 35」は、従来のPIRELLIマキシRIBのスポーティなスタイルとフィロソフィを受け継ぎ、さらに進化。ビームは従来のシリーズに比べファットになり、ハルにはレーシングボートを思わせるダブルステップが奢られた。全長11.1m、全幅3.80m、重量8.5tonと、日本のRIBに対するイメージからすれば十分に大きい。フォアデッキは1段差で、前後へのアクセスがしやすいフルウォークアラウンド。フォアデッキ両サイドには見た目にも安全面にも優れたサイドレールが美しく埋め込まれ、両舷のチューブとバウにはトレッドパターンを刻んだパッドが施されている。

フォアキャビンの上部は大型サンベッド、船体中央にヘルムステーションが来る。ドライバーズシートとナビゲーターズシートはフリップアップ可能だ。強く前傾したウィンドシールドが大型のTトップへとシームレスにつながり頭上を覆っている。Tトップ後部のピラーはセンター1本のみでスタイリッシュである。アフトデッキは中央にテーブルを挟んで向かい合わせのベンチシートが並び、後方は大型のサンベッド。両サイドのウォークスルーはスイミングプラットフォームからアフトデッキ、フォアデッキまで繋がる。

フォアキャビンへはヘルムステーション左のドアからアクセス。手前に簡易なダイネッティ、奥に大型ダブルベッドが配置される。マリントイレはスタンダードでは個室ではなく、右舷脇に隠されてマウント。オプションで独立したヘッドルームに変更も可能だ。キャビン内のフロアはSea Dek張りだが、マテリアルやカラーはオーナーの希望に応じてアレンジ可能で、伝統的なチーク材を選ぶこともできる。

パワートレインはツインのスターンドライブ仕様(ガソリン/ディーゼル)と、同じくツインのアウトボード仕様がある。スターンドライブ仕様はガソリンエンジンの場合は600~700馬力、ディーゼルエンジンの場合は540~600馬力のレンジを想定している。またアウトボード仕様の場合、500~800馬力だ。搭載エンジンは不明だが、ビルダー発表によるとトップスピードは50knotオーバー。ちなみにイタリアメディアのシートライアルによると、エンジンも異なるが43~47.1knotと報道されている。またヨーロッパで非常に権威のあるボートアウォード、BOB(Best Of Boats Award)の2021年度選考で、「PIRELLI 35」は“Best for Fun”部門の最終選考に残った。RIBが最終選考に残ること自体多くはなく、その高い評価が窺える。

Tecno RibとMannerfelt Design Teamのコラボレーションによる次なるPIRELLI Ribのプロジェクトは「PIRELLI 50」とのこと。今年のデュッセルドルフショーboot Düsseldorf 2022でデビュー予定だったが、ショー自体がキャンセルされたため近く別途お披露目されるはずだ。日本ではなかなかお目にかかれない大型RIB、ヨーロッパではますます進化を見せているようで非常に興味深い。P.B.

PIRELLI 35
全長 11.1m
全幅 3.8m
喫水 0.6m
重量 8.5ton
エンジン 2 × 600 – 700 hp ガソリン 2× 540 – 600 hp ディーゼル
燃料タンク 750L
清水タンク 150L 
問い合わせ先 TecnoRib 
https://pirellispeedboats.com