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NIMBUS 405 FlyBridge

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日本初上陸を果たした名門スウェディッシュフライブリッジサロンクルーザーモダンなアイディアを取り入れた高い居住性能に、軽快な走りも楽しい40フッター

text:Atsushi Nomura
photo:Masakatsu Sato
special thanks:WINCKLER
https://yacht-w.com

近年、世界的にパワーボートは大型化、高馬力化しつつあり、搭載されるパワートレインのトレンドも大きく変化してきている。特に北米では40~50フィートクラスでもアウトボード仕様が当たり前になっており、それよりも大きなサイズになるとポッドドライブが主流。従来型のインボードやスターンドライブは目立って減ってきている。そんな中、今回紹介する「NIMBUS405Flybridge(ニンバス405フライブリッジ)」は、オーソドックスなインボードエンジン+Vドライブの仕様。今春のJapanInternationalBoatShowで日本初お披露目された注目のモデルだ。

「NIMBUSBOATS(ニンバス)」は、1968年にスウェーデンのヨーテボリ(Goteborg)に設立されたスカンジナビア屈指の名門ボートビルダー。フィンランドの主要ビルダーのひとつBella-Veneetなどもその傘下に収めている。ここ数年は「Commuter」「Tender」など斬新なデザインのシリーズをマーケットに投入しているが、NIMBUSで最もポピュラーなシリーズが「CoupéCruisers」だ。このシリーズは実に1969年から製造が続いており、世界中で4,000艇以上販売されているという。今回紹介する「405Flybridge」もこのシリーズに含まれている。NIMBUSの本社はヨーテボリ近郊に位置するが、「405Flybridge」などの製造工場は内陸、と言っても巨大なヴェーネルン湖畔の街マリエスタッド(Mariestad)のファクトリーで建造されている。

「405Flybridge」は、全長13.33m、全幅3.86m、重量12.84tonというハルにパワートレインはツインのVOLVOPENTAD6-380を搭載。インボードのシャフト船であるが、Vドライブを採用しているためエンジン本体はやや後ろ寄りに配置されており、40フィートというサイズ以上にロアフロアの空間が広いのも特徴だ。エンジン後部には大型ストレージがあり、ジャイロスタビライザーの搭載スペースにも向いている。

一見するとトラディショナルなスタイルのフライブリッジサロンクルーザーに思える「405Flybridge」だが、実は随所に現代的なアイディアや意匠が取り入れられている。デッキレイアウトで最も特徴的なのは「サイドウォーク」と呼ばれるサイドデッキだ。左右非対称デッキで、上部構造全体を左舷側に寄せ、右舷側のサイドデッキを拡張しアクセス用にも離着岸用にも広くとっている。21世紀になってから、主にヨーロッパのパワーボートに取り入れられている工夫だが、これは右舷着岸を前提としたレイアウト。サロン前部右舷に設けられたヘルムステーションの脇には、このサイドウォークへアクセスするための大型スライドドアが設置されている。離着岸時にはサイドウォークに出てシフトレバーをコントロールすることも可能で、少人数でのボーティングにもぴったりの工夫がなされている。

改めてエクステリアから紹介していこう。最後尾の大型スイミングプラットフォームにはフェンダーラックの他、大型ストレージも完備。右舷にアクセスドアがあり、アフトデッキへ。アフトデッキは左舷にL字ソファとテーブルが配置されている。同じく左舷にフライブリッジへのアクセスステップ。このステップは互い違いになっていてなかなか面白いデザインだ。フライブリッジへ上がるとすぐ脇に、シンク、グリル、冷蔵庫を備えたウェットバーがある。その横にはサンベッドが配置され、前寄りにL字ソファとテーブルが並ぶ。アッパーヘルムステーションのダブルシートは回転可能で、L字ソファとテーブルを囲んだパーティースペースにもなる。またレーダーマストのトップは折り畳み可能で、運河や河川航行時には重宝する。

続いてインテリア。サロンは40フィートクラスとしては十分な広さを持つ。スライドドアを入ってすぐ右のカウンターは、シンク、冷蔵庫、冷凍庫、電気コンロ、電子レンジが揃ったギャレーで、アフトデッキへのサーブもしやすい。その対面には、U字の大型ソファとテーブルのダイネッティ。このソファの前部は、座面と背もたれを90度回転させるとパッセンジャーシートになる。右舷前部にはドライバーズシートとヘルムステーション。その右にはスライドドアがありサイドウォークへアクセス可能だ。ヘルムステーションには2面のSIMRAD12インチディスプレイを中心に各種航海計器が並ぶ。この艇はオートパイロットやソナーも装備されていた。

ロアフロアはVドライブの恩恵もあり、40フィートの割には広い。ステートルームは3つあり、フォアにはアイランドタイプのベッドの他、専用ヘッド&シャワールーム、ワードローブを備えたマスターステートルーム。ミジップにある2つのステートルームは、それぞれセミダブルベッド、ツインベッドが配置されている。さらにロアフロアには共用のヘッドも備わっている。

「405Flybridge」のシートライアルは横浜ベイサイドマリーナを拠点に実施した。当日はややうねりのあるコンディション。離岸しマリーナ内をデッドスローで進む。バウスラスターは標準装備、この艇にはオプションのスターンスラスターも装備されている。ツインインボードであり低速での細かな取り回しも良好だ。

沖合いに出てHUMPHREEのオートトリムタブを起動する。オートトリムタブを稼働させた状態で加速すると、オフの時よりもかなりバウアップが少なく、スムーズにプレーニングに入る。加速状態でうねりや波にぶつかった時や、通常の緩やかな旋回をする場合の姿勢制御にも非常に有効だ。

八景島沖まで走りながらスピードや旋回をテストする。1,800rpm前後から一気に加速しはじめ、2,500rpmで20ノットを超える。3,000rpmでクルージングスピードの25~26ノットに達する。最高3,500rpmで30~31ノット。この間ずっとオートトリムタブを使用していたが、コンディションやマニュアル操作によってはもう少し伸びるかもしれない。メーカー発表による燃費はクルージングスピードの3,000rpmで100L/h。燃料タンク容量は1,000L(500Lタンク2基)である。クルージングスピードでの旋回フィールはインボードというよりもスターンドライブの感覚に近い。高速時もかなりタイトに旋回でき、インボードにありがちなもっさりした感じはゼロだ。想像以上に軽快で楽しい走りを見せてくれた。

「NIMBUS405Flybridge」は、トラディショナルなデザインの正統派フライブリッジサロンクルーザーながら、随所に現代的なアイディアや意匠を盛り込んだ、いかにも北欧スウェーデン、NIMBUSらしいモダンなモデルだ。快適な居住空間とパーティースペース、そして想像以上にFUNな走り、この夏を存分に楽しませてくれそうな一艇だ。P.B.

NIMBUS 405 FlyBridge
全長 13.33m
全幅 3.86m
喫水 1.1m
重量 12.84ton
エンジン 2×VOLVOPENTAD6-380
最高出力 2×380HP
燃料タンク 1,000L
清水タンク 400L
問い合わせ先 ウインクレル
TEL:045-681-0104
https://yacht-w.com