
DUTCH CRAFT DC56 Cabin

ZEELANDERの創設者が提案する、純粋に海を楽しむためのファンボート華飾を廃し機能を求めたシンプルなフォルムながら、56フィートの存在感が驚きをもたらす
text: Kenji Yamazaki
photo: DUTCH CRAFT
「DUTCH CRAFT DC56(ダッチクラフトDC56)」は2019年カンヌヨッティングフェスティバルでワールドプレミアを果たした。トランサムから直立ステムのバウトップまでワンラインで駆け上がるシアーライン、ハルサイドの舷窓を隠すブラックのキャラクターラインもシンプルなワンライン。ガンネルをぐるりとブラックのバンパーラバーが取り囲む。パルピットやラダー、ステイもマットブラック。ハルカラーはミントグリーンと艶やか。メインデッキはラップアラウンドしたフロントウィンドウとサロン、アフトデッキの広がり、広々としたフライブリッジ、そのスタイリングはロングレンジトローラー風だが、海のSUVの趣きが漂う。新たなカテゴリーの誕生だ。

生産の拠点はオランダロッテルダムの西、レック川沿いのGroot-Ammers。創設者のSietse Koopmansが、10年かけて127フィートのExplorerスーパーヨットZeepaardで世界46カ国を100,000マイル以上クルージングした経験からこのビジョンは誕生した。Koopmansは2014年にはVoyager’sAward受賞。内陸運送業の家系から石油産業用の機械製造会社で財を成したオランダの金融エリートだ。2002年にはZEELANDER YACHTS創立。その同じ造船所で「DUTCH CRAFT(ダッチクラフト)」も建造されている。現在のラインナップは4モデル。DC 25Tender、DC 25E-Cat、DC 56Cabin、DC 56openが生産されている。


このDC56に戻ろう。ナーバルアーキテクトはアムステルダムのMulder Design、エクステリアデザインとエンジニアリングはDUTCH CRAFTと完全オランダ製。オープンバージョンとキャビンバージョンの2つのスタイルを持つ。まさしくマルチパーパス。フィッシング、ダイビング、デイクルージング、パーティボート、ファミリークルーザーetc。ミニマルなスタイリング、ストレスのないメンテナンス、世界の海を知ったSietseKoopmansからの提案だ。「たくさんの友人たちを招待して海を遊ぶ。意図的にデザインを最低限に抑えシンプルに、低ランニングコストで維持できる、マルチパーパスなボート。DC56Openは温暖な気候の地域や季節に最適。DC 56Cabinはオールシーズン対応、世界の海で遊びたいExplorerです」と。

マイアミデビューのこのDC56Cabinは、カスタマーの希望やアイデアを細かく現実化していったビスポーク。フィッシングとダイビングを主体に海を遊ぶ。ダイビングコンプレッサー、追加のボトルストレージ、ビルトインタックルボックス、ロッドホルダー、ダビッドクレーン、SUPラック、頑強なスイミングラダーetc。

トランサムは電動で後部へ開きアフトデッキエンドから海面への斜路を作る。スキューバダイビングで海へのアプローチがイージーになる。アフトデッキ両サイドのロッカーには16個のダイブセットを収納できる。さらにコンプレッサーも装備。オプションのダビッドクレーンも重量物には非常に便利。後部デッキはあらゆる使用目的にフレキシブルに対応する。ここで気づいたことがある。パルピット、クリート、セーフティグリップ、ロケットランチャー、スイミングラダー、フライブリッジラダー、それらがすべてマットブラック。フォルムのモダンさに反するようでいながら融合するSUV的なインパクトがある。機能が求める必然の質実剛健。


アフトのコクピットからメインデッキへ。デッキエンドには対面するそれぞれ4名掛けのベンチシートとテーブルがある。キャビンの後部にギャレーがあり、シンク、キッチンテーブル、バーナー、電子レンジ、冷蔵庫、冷凍庫がユニットに潜んでいる。その目の前のウィンドウを跳ね上げればデッキエンドと一体化する。前方のギャレーテーブル左舷サイドにカップやディッシュのキャビネット、センターはロアデッキへのコンパニオンウェイ、右舷テーブル下にカトラリーやソーサーのストレージ、食洗器があり、その前方にワインクーラーが位置している。このギャレーユニットの左舷端にフライブリッジへのブラックアウトされたラダーがある。右舷ウォールには製氷機、2つの冷蔵庫が効果的に潜んでいる。

キャビン中央に彼らが「ACエリア」と言うテーブルを4面で囲むサロンがある。そのルーフ前後にTVが隠されている。ちなみにルーフもブラックだ。サロン前方にはヘルムステーションがある。ここも実に機能的だ。ラップアラウンドしたフロントウィンドウ、半円を描いている。ウィンドウの下には太いグリップのセーフティパイプがある。ステアリングホイールの先にGARMINのマルチディスプレイが2面、VOLVOPENTAIPSのコントローラー、ジョイスティックと機能的に配置されている。このヘルムの右のドアを開けるとバウへのアクセスが可能だ。バウのフロアは高いガンネルに守られて安心感がある。もちろんリラクゼーションゾーンでもある。

フライブリッジは最も開放的なエリア。思いっきり太陽を浴びることを楽しむゾーン。Tトップは用意しない。熱い寒いと感じたゲストはメインデッキのACルームへ、との割り切りがいい。前方センターにアッパーヘルムがある。実に簡易かつ機能的。2面のGARMINマルチディスプレイ、IPSコントローラー、ジョイスティックetc。キャプテンシートはベンチシートだ。



ヘルム背後に製氷機、冷蔵庫、シンクのウェットバーユニットがあり、その背後にシッティングエリア、テーブルとベンチチェアがある。その背後はウォータートイ置き場だ。

さあロアデッキへ。バウにオーナーズキャビンがある。過度な華飾を求めず快適と機能性を追求したリラクゼーションがそこにある。ロアデッキは天井が高く、解放感と快適性を確保しながら、騒音、振動を最小限に抑え、静寂な環境を実現している。レイアウトはバウをオーナーズとした場合は4ステート。フルビームのマスターキャビンバージョンの3ステートも可能。最大8名迄泊まることができる。


全長17.07m、全幅5.09m、ドラフト1.10m(IPS)、0.75m(JETS)。チャーターなど商用対応ではDOENウォータージェットDJ152+John Deere750ps×2基合計1,500psのエンジンが用意される。ウォータージェットバージョンではシャローな海域でもクルージング可能。一方、VOLVO PENTA IPSは600、または950の選択も。DUTCHCRAFT独自の設計によるバキュームインフュージョンのハイブリッドハルと船体設計でトップスピード40ノット(IPS950)を約束する。ウォータージェットバージョンではさらに42ノットに達する。
IPS950、クルーズ25ノットで航続距離500マイル。ロングレンジタンク4,500L仕様では25ノットで750マイル。燃費チャレンジではIPS600で840マイルも実現させている。
必然と機能性。華美なラグジュアリーはいらない。海をマルチに遊ぶギア、本当の機能、武骨が見せるカッコよさがそこにある。P.B.
DUTCH CRAFT DC56 Cabin
全長 17.07m
全幅 5.09m
喫水 1.10m(IPS)/ 0.75m(Jets)
重量 17ton
エンジン 2× VOLVO PENTA IPS600 – 480HP
2× VOLVO PENTA IPS950 – 725 HP
2× JOHN DEERE 750HP + DOEN Jets DJ152
燃料タンク 3,000L / 4,500L
清水タンク 850L
問い合わせ先 DUTCH CRAFThttps://www.dutchcraft.com








