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BOAT&YACHT

JEANNEAU DB43

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text: Atsushi Nomura  photo: Makoto Yamada
pecial thanks: ODYSSEY MARINE https://www.odysseymarine.co.jp

“Day Boat”の名を冠した、真夏の海に乗り出したくなる フレンチエクスプレスクルーザーのニューカマー登場!

フランス西部のレ・ゼルビエ(LesHerbiers)に本拠を置く「JEANNEAU(ジャノー)」は、ヨーロッパ屈指の大手ボートビルダーだ。1957年の創業以来65年以上の歴史を誇り、パワーボートからセールボートまで多彩なモデルが揃っている。現在は世界最大規模のボートメーカーグループ「BENETEAU(ベネトウ)」の基幹ビルダーの一つとなっている。JEANNEAUのパワーボートシリーズには、MerryFisher、Prestige、NCなどがあり、もともと最上位クルーザーのシリーズ名であった。

Prestigeは、現在ではサブブランドに格上げされている。DBシリーズは2022年3月に発表されたニューカマーであり、DBとはDayBoa(tデイボート)の略。その最初のモデルとなったのが今回紹介する「JEANNEAUDB43」だ。

MPYDはアメリカのパワーボートデザイナーのレジェンド、マイケル・ピーターズ(MichaelPeters)の興したデザイン事務所であり、パワーボートの世界で数々の記録を有している。

現在、DBシリーズには「DB43」の他、2023年2月に発表された「DB37」がラインナップ。どちらもスターンドライブ仕様とアウトボード仕様の2バリエーションがある。今回シートライアルを行ったスターンドライブ仕様の「DB43」は、正式には「JEANNEAUDB/43IB」という名称。ややこしいのだがモデル名末尾に「IB」と付いているモデルがスターンドライブ仕様となる。

 「DB43」は、全長13.03m、全幅3.82m、喫水0.94mのハルに、パワートレインはツインのVOLVOPENTAD6-380(380馬力)を搭載。エクステリアで特徴的なのは、非常に高いフリーボードと垂直に切り立ったバウステムだ。後者は近年のヨーロッパのトレンドを踏襲しているが、フリーボードの高さと相まってかなり個性的である。

オープンボートの開放感と居住性の両立

DayBoatということもあって基本はオープンスタイルだが、しっかりとした居住空間も備わっている。デッキレイアウトはフルウォークアラウンド。アフトコクピットには中央に折り畳み可能なダイニングテーブルがあり、前後に合計6人掛けの対面式のソファが並ぶ。後ろのソファは背もたれを倒して大型サンパッドに可変で、前側のソファは背もたれを前後どちら向きにも変更できる。たとえば走行中は全員が前向きに座ることも可能だ。サンパッドの下は大型ストレージとなっている。最後尾には大型スイミングプラットフォームがあり、オプションの油圧プラットフォームをチョイスすれば上下動が可能。文字通り海水浴のためのプラットフォームにもなるし、テンダーやPWCなどの搭載スペースにもなりうる。もう一つ面白いのはシャワーポールをスイミングプラットフォームに装着可能な点だ。

70フィートクラスのアフトスペース

さらに秀逸なのはアフトコクピット両舷の舷側が外側へ開くこと。このエクストラプラットフォームにより後部の全幅は約5.63mにまで拡張される。3つのプラットフォームを合わせれば、まるで70フィートクラスのようなアフトスペースとなる。これも近年のヨーロッパのオープンクルーザーのトレンドだが、こういったアイディアは海遊びを知り尽くしたヨーロッパ人ならではのものだろう。

前側のソファの前には「セントラルアイランドギャレー」と呼ばれる左右に通路を設けたアッパーギャレーが配置され、IHコンロ、グリル、冷蔵庫などが備わっている。アフトコクピットにも、ドライバーズシートにもサーブしやすいほぼコクピット中央にあり、非常に使い勝手が良さそうだ。またアフトコクピットのハードトップ部分には最大43インチまでのTVディスプレイを収納できる。ハードトップ後端はビミニによってサンパッドまで延長可能だ。またハードトップの前寄りはコンディションに合わせて開閉できる。両サイドの空間と合わせて非常に開放感がある。

ギャレーの前、コクピット最前部には3つのバケットシートが並び、2連の右舷側がドライバーズシート。ちょうどその右側の舷側にはサイドゲートがあり、離着岸時にキャプテンが作業しやすくなっている。このあたりも最近のヨーロッパのボートらしく右舷着岸が前提の造りだ。ヘルムステーションには2面のRAYMARINEタッチディスプレイ、ステアリングを中央に、右にシフトレバー、ジョイスティック、スラスターノブが並ぶ。バウスラスターの他、SEAKEEPERジャイロスタビライザーも装備している。

フォアデッキへは両サイドのデッキから、3段のステップを上ってアクセスできる。フリーボードが高いためフォアデッキはかなり上にある印象。しっかりとしたバウレールに囲まれているため、海上でアクセスしても不安感はない。デッキ中央はオプションで大型サンベッドにもなり、ポールを使ってサンシェードをセットすることも可能だ。あちこちに付いているポップアップライトがとてもおしゃれだ。アフトコクピットと言い、フォアデッキと言い、非常に愉しい海遊びを想像させてくれる。

ドライバーズシートの左側のコンパニオンウェイからロアフロアへアクセスできる。ロアフロアに降りると左舷側に、シンク、レンジ、冷蔵庫、コーヒーメーカーなどが揃ったカウンターがある。あくまでもメインギャレーはアッパーギャレーのようだ。その真向かい右舷側には個室ヘッドがあり、セパレートされたシャワールームも備わる。

フォアキャビンがマスターステートルームとなっており、アイランドタイプのクイーンサイズベッドが配置されている。フォアキャビンからは直接個室ヘッドへアクセス可能だ。フォアキャビンは採光性に優れており、両舷の大型ウィンドウだけでなく、前側にも窓があり、さらに天井部分にもクリアハッチが設けられている。フォアキャビンのヘッドクリアランスは、フリーボードの高さを活かし充分に確保されている。

ジップにはワイドなビームいっぱいのゲストステートルームがあり、ダブルベッドとソファが並ぶ。こちらはヘッドクリアランスこそあまりないがかなりの広さがある。大人4 ミ名程度であれば充分にマリーナステイが楽しめる余裕の居住空間がある。なおゲストステートルームのソファをシングルベッドにし、ロアフロア左舷のカウンターを廃して個室ヘッドを2つにしたインテリアバリエーションもある。

船外機搭載モデルではマックス46ノットの性能


今回の艇はツインVOLVOPENTAD6-380(380馬力)の、スターンドライブ仕様。横浜沖でシートライアルを行ったが、スターンドライブ艇らしい実に軽快な走行フィーリングだった。高速で旋回させてもステアリングに対して非常に素直に反応してくれる。思い描いた通りのラインで走るためとても愉しい。特にコクピット両サイドが広く開いているため、こういった形状のエクスプレスクルーザーではやや見づらい右旋回時に、多少インヒールした状態でも左舷側の視野が広い点は特筆に値する。

エッジの立ったバウステムが綺麗に波を捌く。波当たりも非常にソフトだ。この日の巡航スピードは27~28ノット、最高は32~33ノットだったが、コンディションによってはもう少し伸びそうだ。またVOLVOPENTAの最新鋭の油圧クラッチは、ギアの入りが非常にスムーズ。ジョイスティックも備わっており離着岸は安心して行えるだろう。なおアウトボード仕様の場合、トリプルMERCURYVerado350となる。こちらはメーカー発表によるとトップスピード46ノットという。パワーボート界のレジェンド、MPYDの面目躍如である。
「JEANNEAUDB43」は非常に満足度の高い愉しい走りと素晴らしい居住性、そしてDayBoatの名にふさわしいエクストラデッキやアイデアの数々。真夏の海を楽しむには最高の一艇と言えるだろう。P.B.

JEANNEAUDB43

全長13.03m
全幅3.82m
喫水0.94m
重量3.59ton
エンジン2×VOLVOPENTAD6-380最高出力2×380HP燃料タンク800L
清水タンク250L
問い合わせ先オデッセイマリーンTEL:046-875-0650
https://www.odysseymarine.co.jp