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AXOPAR 45XC CROSS CABIN

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独特の低重心がもたらす、ラフコンディションをものともしない圧倒的パフォーマンス
新たなイノベーションを加え、唯一無二のコンセプトを世界に届けるフラッグシップAXOPAR

text: Yoshinari Furuya 
photo: Makoto Yamada
special thanks: OKAZAKI YACHTS
https://okazaki.yachts.co.jp

「AXOPAR 45XC Cross Cabin(アクソパー45XCクロスキャビン)」がアンベールされたのは、2022年4月28日~5月1日に開催された「Axopar Customer Days」でのこと。先史時代からの歴史を刻むマヨルカ島の主都であり、地中海有数の人気観光地でもあるパルマが舞台。パルマ港の西隣の入江にあるスペイン国王により建てられたという小さな港Port Calanovaに、15艇ものAXOPARが集められた。22、28、37の3モデルの他、イベントのメインとなる、2つのワールドプレミアを展示。この注目のモデルはAXOPAR 45XC Cross CabinとAXOPAR 25 Cross-Top。AXOPAR 45XC Cross Cabinは、試乗艇1艇を海上に展示。AXOPAR 25Cross-Topに関しては、陸上展示の他に試乗艇が3艇用意され、2つのニューモデルの情報がパルマから世界中に発信された。

同時にお披露目されたBRABUS MARINEも注目された。AXOPARブースの隣には、BRABUS MARINEの展示ブース。AXOPAR28をベースモデルにしたBRABUS Shadow 300Cross-Topと、AXOPAR37ベースのBRABUS Shadow 900Sun-Top Deep Blue Editionを展示。陸上にはメルセデス・ベンツのGなどをベースにチューンナップされた3台のBRABUSと、BRABUSがフルレストアを行なった1964年製280SLパゴダ、KTMベースのBRABUSバイク、そしてBRABUS MARINEとPANERAIがコラボした腕時計が展示された。車はメルセデス、バイクはKTM、時計はPANERAI、ボートはAXOPAR。世界的チューンメーカーBRABUSに選ばれた唯一のボートビルダーがAXOPARなのだ。

このワールドプレミアからおよそ1年後の2023年6月。フィンランドの首都ヘルシンキから西におよそ200km離れたアーキペラゴでFinn boat Floating Show2023が開催された。2年に一度、世界中のジャーナリストが招待されるジャーナリストのためのボートショー。このボートショーに、フィンランドに本社を置くAXOPARも参加。そこでAXOPAR 45XC Cross Cabinに乗船したのが、私のファーストインプレッションだった。

AXOPAR 45XCの特徴は、ウォークアラウンドのデッキレイアウトにハードトップのクローズドキャビン。パワートレインには、300馬力のMERCURY3基がトランサムに並ぶ。ウォークアラウンドデッキにサイドスライドドアの組み合わせは、作業性が高く、クルージングだけでなく釣りにも最適なレイアウト。コクピットは、寒さや飛沫からクルーを守り、季節や海況を選ばないクローズドキャビン内。フライブリッジのないロアステーションだけにすることで、重心を低くし、マニューバビリティや静止安定性を高めている。意外にもこれは、日本を代表するプロユースの「漁船」や「作業船」と同じレイアウト。違いは、ボトムデザインはもちろん、エクステリアやインテリア。北欧のスタイリッシュなデザインでありながら、日本のニーズにも応えるレイアウト。それがフィンランドボートが、日本でも人気の理由の一つなのだ。

トランサムから後方に飛び出したワイドなステップから乗船する。BRABUS仕様に黒く塗装された、船外機を囲うトーイングゲートに手をかけ体を支える。船外機に干渉することなくトーイングロープを出すものではあるが、安全性を高めるエクステリアとして活躍する時は多い。

トランサムステップからアフトデッキへは段差のないオープントランサム。アフトデッキは、シンプルなスタンダードの「Open Aft」仕様。他には、キャビン後部にベンチをつけた「AftSofa」、左右のベンチが追加された「U-Sofa」、そして、アフトキャビンとサンベッドが追加された「Aft Cabin」の4タイプから選ぶことができる。すべての仕様でリアドアはなく、左右のサイドスライドドアがキャビンの入口となる。

アフトデッキの左右には、フェンダーやロープを収納することができるフェンダーボックス。フェンダーボックスにはウェットバーを搭載することもできる。床下のアクセスは、3分割に分けられたハッチから。床下の左右には、バッテリーなど電装品が並ぶドライボックス。中央には長さ1,800mm、幅900mmのワイドなストレージ。イーブスの最後尾にはブラック塗装のロッドホルダー。ウォークアラウンドのデッキとシンプルなOpen Aft仕様の組み合わせは、フィッシングボートとしても使いやすい。

サイドデッキは、移動しやすい480mmの幅。バウに向かい1段上がりバウデッキにアクセス。Mediterrana Editionのバウデッキには、2人が足を伸ばすことができる1,000mm幅のシェーズロングソファ。アンカーロッカーにクッションを取り付ければ、ソファと向かい合わせに座るバウラウンジ。ドッグハウスの上には2,100mm×960mmのサンパッドも用意され、サンタンベッドとして寛ぐことができる。

サイドスライドドアからキャビンに入る。AXOPAR 45XCに採用されたイノベーティブなアイデアが「、ビッグデュアルスライドドア」と「バルコニードア」だ。ビッグデュアルスライドドアは、キャビンの2分の1に迫る大きさを誇る2枚の大型スライドドア。前方のドアを前から後ろにスライドさせた一般的な使い方では、高さ1,530mmで幅1,040mmに大きく開き、コクピットだけでなくサロンにもアクセスしやすい広さ。そして、後方のドアを後ろから前にスライドさせる特別な使い方では、キャビン中央が1,330mmの幅までオープンする。今まで経験したことのないサロンの開放感。さらに、開放されたドアの外、ブルワークの一部が外側に倒れる「バルコニードア」と呼ばれる新感覚な構造。ドアと言っても水平に開く機構。乗下船用のステップとしても使えるが、1,740mm×470mmのクッションを取り付けベンチソファとして使うことを目的に設計されている。左右のスライドドアと左右のバルコニードアを開ければ、フルビーム+αのオープンラウンジとして、家族や友人、屋内と屋外が一体になる。また、キャビンルーフには、前後2箇所1,670mm×1,670mm×2のデュアルエレクトリックサンルーフ。全開にすれば、キャビン内が光とシーブリーズに包まれる。

コクピットには3連のシート。スライドドアに近い右端のシートがヘルム用。3連シート全体が、スターボード側にオフセットされ、ポート側の通路幅が広目に取られている。コクピットの後方はサロンスペースやマスターステートルームへのアクセスがしやすいレイアウト。キャビン幅を目一杯使ったキャビン後方のソファの幅は2,200mm、左右のサイドソファは1,470mm、ウェットバーと一体のベンチソファは1,460mm。センターテーブルを中央にした四方を囲むスクエアなソファラウンジ。センターテーブルと3連のシートの間には、ソファと一体の「ムーバブルウェットバー」。シンクの他にKENYONの2口コンロやIsothermのリフリジェレーターが備わる。この「ムーバブルウェットバー」が革新的なのは、ソファを含めたユニット全体が前後に移動するところ。サロンを広く使いたい時にはバウ側に移動させ、ゆったりとした空間に。また、ウェットバーを使いたい時には、スターン方向に移動させ、3連シートとの間に生まれたスペースに立ち料理をする。ソファラウンジがダイニングになる。また、走行中にはギャレーのクッションをリーニングシートとして使い、前向きで体を支えてくれる。

アコモデーションも充実している。コンパニオンハッチを上に開き、スライドドアを開ける。3段のステップを降りるとマスターステートキャビン。ポートサイドには、1,530mm幅のベンチソファ。スターボードサイドには、ヘッドコンパートメント。電動トイレとシャワー、オープンポートライトが備わる快適な空間。ヘッドコンパートメントの外にはミニシンクを備えたキャビネット。その横には430mm幅のシングルソファ。バウキャビンの最前部には最大1,670mm幅のクイーンベッド。ベッドの手前を跳ね上げると1,670mm×550mmのソファに早変わりする仕掛け。左右のソファを合わせU字のラウンジソファが現れる。

そして、AXOPARだけの個性的な装備として人気が高い「ガルウィングドア」。マスターステートルームの天井の一部と側面を合わせた770mm幅のL型のハッチを90度開く。シンメトリックに開いた姿は、まさに翼を広げたカモメの翼。左右のソファの一部、木製の背もたれはガルウィング用のステップ。足をかけ、バウデッキに直接出入りすることができる。ガルウィングの開口部は広大で、今までに経験したことのないバウキャビンの開放感とアクセスのし易さを感じることができる。

フリップアップしたヘルムシートに体を預け、スタンディングでステアリングホイールを握る。中心にはBRABUSを象徴する「B」のロゴ。その左右には、バウスラスター、トリムタブ、オーディオのスイッチ。固定されたステアリング中央部で操作ができるインテリジェントステアリングモジュールだ。正面のディスプレイは、AXOPARのユーザーインターフェイスがカスタムビルドされたSIMRADのナビゲーションタッチスクリーンディスプレイ。これらの統合された革新的なシステムは、クラス最高の操作性と同時に、シンプルでスタイリッシュなコクピットを可能にした。

昨夜から続いた暴風が残る西寄りの風、風速8m/s前後のやや強い風が吹く中での出港。芦屋沖の防波堤の外は1m以上の波が残る海況。ショートピッチの波に翻弄される厳しい条件でのシートライアル。AXOPARのポテンシャルが剥き出しになる好機となった。

スロットルに手をかけ加速する。2,000回転で9.0kt、3,000回転で17.2kt。ノーズが上がるハンプの状態もなくプレーニング。4,000回転で30.0kt、4,500回転で34.7kt。300馬力3基のパワーにより、ほんの数秒で30ノットを超え、さらに加速が続く。5,000回転で39.1kt、5,500回転で43.5kt。ラフな海況の中、6,000回転で46.9ktのトップスピードを記録する。レーシングボートと同じナローなステップハルがシーワージネスとスピード、ソフトライドを生み出し、ワイドなダブルチャインが、ローリングを抑え、飛沫を落としドライに保つ。このコンディションでも、フロントウィンドシールドに飛沫がかかることはほとんどない。

35kt前後のクルージングスピードから急旋回に入る。遊びのない剛性感のあるステアリングフィール。45フッターのサイズ感を忘れさせるパフォーマンスボートのようなレスポンス。適度にテールを流し、最良なバンク角を保ち、狙い通りにターン弧を描く。AXOPAR独特の低重心がもたらす安定感の高い感覚は、荒れた海での急旋回でも不安にさせることはない。横波に対しても、ステアリングを取られることなく安定した姿勢を保つ。また、高い剛性とディープVハルが、波から落とされても衝撃をソフトに受け止める。全てのAXOPARに共通する走りのパフォーマンスは、AXOPAR45XCにおいても失われることはなかった。

圧倒的なパフォーマンスと機能的なデザインでフィンボートをリードするAXOPAR 45XC Cross Cabin。だが、AXOPARの魅力はそれだけではない。「The Adventure Company」をスローガンとするAXOPARのフィロソフィ。唯一無二のコンセプトを、独特なカルチャーとともに世界に届けている。

船外機の機動力、季節や海況を選ばないキャビン、自然を謳歌するための開放的なデザイン、カヤックやSUPなど大型マリングッズも搭載できるルーフキャア、仲間や家族と語らえる革新的なエクステリア……、全てはアドベンチャーのために。
AXOPAR28や37で確立した世界観を、AXOPAR 45XC Cross Cabinがさらに進化させる。P.B.

AXOPAR 45 XC Cross Cabin
全長 13.90 m
全幅 4.11 m
喫水 1.0 m
重量 7.00 ton
エンジン 3× MERCURY Verado V8-300 
最高出力 3× 300 HP 
燃料タンク 1,390 L
清水タンク 280 L
問い合わせ先 オカザキヨット
TEL: 西宮 0798-32-0202
横浜 045-770-0502
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