1. HOME
  2. 聖地巡礼
  3. 聖地巡礼#06 番外編 IK Yachts Design (IKヨットデザイン)
聖地巡礼

聖地巡礼#06 番外編 IK Yachts Design (IKヨットデザイン)

聖地巡礼

世界中のYachtに最高級インテリアを提供するプロショップ マテリアル、ファニチャー、クロス、リネン、アート作品…… その膨大な数に驚かされる

text: Yoshinari Furuya
photo: Kai Yukawa
special thanks: IK Yachts Design
http://www.ikyacht.com

「IK Yachts Design(IKヨットデザイン)」のYachtとは、日本語でヨットと言われているSailing Boatのことではない。そもそもYachtとは、個人所有のラグジュアリーなキャビンを持つ船舶を意味する。風で走るSailingYachtと、エンジンだけで走るMotor Yacht。SailだけでなくPowerも含まれる。メガヨットに関してはほとんどMotorYachtだ。また、Yachtと使い分けられるBoatにもMotorboat、PowerboatとSailing boatがある。基本的にBoatはYachtよりも小さな船の事を指す。ビルダー名にもBoats、Boatworks、Power boats、Sail boat、Yachtsとそれぞれあり、扱うサイズは多岐にわたる。Yacht、Boatの解釈は、国や地域によっても異なり、規定があるわけではないからややこしい。

そしてもう一つ。「IK Yachts Design」といってもYachtsのスタイリングやハルなど船体のデザインではない。彼らが扱うのは、YachtsのためのInterior Designのすべて。「IK Yachts Design」は、ボート・ヨット専門のショップとしてはフロリダで最大(ということはたぶん世界最大)のインテリアショップであり、一般のカスタマーだけでなく、ボートビルダーやヨットビルダー、リフィットの業者が多く訪れる。一流のボートビルディングには欠かす事のできない、インテリア専門のプロショップなのだ。

「IK Yachts Design」は、冬期のトップシーズンにはアメリカやヨーロッパの避寒地として、メガヨットが集積するフォートローダーデールの隣町ダニアビーチにある。陸からのアクセスも決して不便というわけではないが、海からのアクセスがより便利だ。

マリーナ内店舗が可能にするインテリアデザインの相談、サンプル確認がすぐにできるベストな環境

フォートローダーデールのインレットでもあるストラナハン川からインサイドに入り、すぐに南へ。カリブ海クルーズ船の発着ターミナルやコンテナヤードが広がるハリウッド港を右舷側に見て進む。コンテナヤードに沿って西に変針。運河を進むと、両側にボー
トやヨットが所狭しと並ぶ。100フィートを超 えるメガヨットも数多く見えてくる。その運河の左側のマリーナが、「IK Yachts Design」がショップを構えるHarbourTowneMarinaだ。ちなみに大西洋からここまでの距離は、たった3マイル。ここは、HMYなどブローカーのオフィスやボートディーラー、サービスやメンテナンス会社のオフィスが軒を連ねる便利なマリーナ。我々もシートライアルの基地として何度か訪れたことがある。

運河に隣接したマリーナ内に店を構えるメリットは、すぐ後ろに係留できる桟橋があること。リフィット中のボートをショップの目の前に係留し、インテリアデザインを相談し、サンプルが確認できる。また、そのままリフィットの工事をするヨットもある。ボート・ヨット専門のインテリアショップとしてはベストな環境。また、対岸にはDaniaCutSuperYacht RepairやG&G Marineをはじめ、メガヨットのメンテナンスやボートリペアのヤード、造船所が集積する。ショップにとっても、リフィット業者にとっても最適な場所というわけだ。

「IKYachtsDesign」は、一般向けのインテリアショップとは違い、マリンに特化した特別なインテリアショップ。店構えやエントランスはシンプルで目立たない。駐車場もマリーナの駐車場を利用する。ショップ名もデザインオフィスのようでわかりにくく、ガラスにはフィルムが貼られショップ内が見えないので、知らなければ入りにくい。だが、扉を開けた途端、別世界が広がる。ゴージャスなテーブルやチェア、スタンドライトに額縁や絵画……、Yachtに相応しい豪華な装飾品。Yachtに似合いそうな、海を感じさせるデザインや色合いのインテリアの数々。宝石箱をひっくり返したような色鮮やかな空間には、インテリア全般に関わる素材が揃い、訪れる者の好奇心をくすぐり、笑顔にさせる。

広さはおよそバスケットコート2面分に当たる10,000フィートスクエア。体育館のような広さと天井の高さを持つ。手前側には主に大型の家具類が並ぶ。メインサロンやアフトデッキに使われそうな家具の上には、色や素材の見本が広げられ、実物を見ながら選べるようになっている。1階フロアの奥に進むと、インテリアやエクステリアに使うLEDライトのサンプル。その奥にはダイニングのテーブルウェアの見本がセットされている。奥の壁に沿った通路の両側には壁や天井に使うクロスや、カーテン、絨毯、そしてソファやクッション、ベッドカバーなど、あらゆる生地の見本が、ところ狭しと並んでいる。さらに奥、一般には開放されてはいないが、特注家具を作る工房もある。リフィット用のインテリアがデザインされ、それに合わせた特注のソファやテーブル、チェアを製作中だ。

階段を上がると広い2階エリアもインテリア雑貨で埋め尽くされている。壁一面に額に入れられた絵画や写真、額のサンプルが並べられ、インテリアや絵画に合わせてオーダーできるようになっている。ベッドはもちろん、インテリアに合わせたリネンなども揃えられている。インテリアに無くてはならないスタンドライトやテーブルライトのシェードの数々。食器棚にはグラスや食器、カトラリーが並ぶ。観葉植物やインテリア雑貨などの装飾品も並んでいる。カウンタートップやギャレーに使う人造大理石、フローリングの見本、その他インテリアに必要なありとあらゆるサンプル素材が展示されている。さらに奥の壁にはインテリアをスケッチした手書きのパース図がデザイン実績として展示されている。物販だけでなく、インテリアデザインからはじまり、インテリア全般の相談を受けてくれるそうだ。また、メガヨットのインテリアデザイン以外に、別荘やオフィス、店舗のインテリアデザインを依頼されることも多いと言う。

これだけのサンプルがあれば、探している素材や色の生地をほぼ見つける事ができる。「IKYachtsDesign」を見るだけで、インテリアに関するほとんどのものが揃うだろう。フォートローダーデールを訪れた際にはぜひ立ち寄ってほしい。日本では見る事のない素敵なインテリア雑貨に出逢う事ができるだろう。だが、あまりにも種類が多すぎて決められなくなるので、どうかご注意を。P.B.

Ik Yacht Design,Inc
HarbourTowneMarina,809Northeast3RdStreet
DaniaBeach,Florida33004
TEL:+1-954-922-9220
FAX:+1-954-922-8999
Email:info@ikyacht.com
http://www.ikyacht.com