1. HOME
  2. BOAT&YACHT
  3. BENETEAU GRAN TURISMO 45
BOAT&YACHT

BENETEAU GRAN TURISMO 45

BOAT&YACHT

海を楽しみ、人生を謳歌するためのボート「BENETEAU Gran Turismo 45」 陽光と爽やかな風にあふれ、スピードを愉しみ、アンカーリングで遊ぶ、フランスのエスプリ

text: Yoshinari Furuya 
photo: Makoto Yamada
special thanks: FIRST MARINE https://www.firstmarine.co.jp

地中海や大西洋、数多くの川や運河など身近なところに水辺があるフランス。ボートはフランスの風景を彩る重要な要素。また、フランスでは、5週間の有給休暇を取ることが義務付けられ、1ヶ月以上のバカンスを取ることは至極当然のこと。その長いサマーバカンスを豊かにするボートライフは、家族や友人達とのコミュニケーションの場。フランス人にとって、船上は社交場であり、レクリエーションという枠を超え、無くてはならない生活の一部となっている。そんなフランスのエスプリが凝縮したボート。それがフランスで生まれた世界的ビルダー「BENETEAU(ベネトウ)」だ。

BENETEAUは、一つのボートビルダーから始まり、後に世界最大のビルダーグループを作り上げたBENETEAUを筆頭にJEANNEAU、PRESTIGE、LAGOON、EXCESS、DELPHIA、FOURWINNS、WELLCRAFT、SCARABの9つのビルダー、36シリーズ、157モデルをランナップ。ビルダーの他、レジャーホームやサービスも含めた15のブランドを有し、22の生産拠点、1,255の販売拠点、8,000人のスタッフを抱えるコングロマリットだ。その中心にあるBENETEAUブランドだけでも、18フィートから62フィートの4シリーズ26モデルのモーターボートと、14フィートから60フィートの5シリーズ19モデルのセールボートを建造。毎年複数のモデルがワールドプレミアを果たし、フランスだけにとどまらず、世界のボートデザインをリードし、ベンチマークとして常に注目を集めている。

色々な用途に使えるマルチクルーザー
 

そしてBENETEAUのボートシリーズの中でも、地中海を中心に人気の高いGranTurismoシリーズのフラッグシップが日本に上陸。それが、2022年にワールドプレミアを果たしたGranTurismo45、通称「GT45」。このGT45の特徴は、メディテレニアンスタイルのスポーツセダン。オープンボートのデッキレイアウトにリアドア付きのハードトップを搭載したデザイン。フライブリッジは無く、大きく開閉するクラス最大のサンルーフ。アフトデッキやバウデッキの主役はサンタンベッド。アンカーリングをして海水浴や日光浴を楽しむことを主な目的としたエクステリアがGT45の魅力だ。

トランサムステップから乗船する。30秒で水中に下ろすことができる昇降式のトランサムステップ。中央には、PWCやRIBを搭載することができるV型のディンギーチョークが格納されている。トランサムに突き出したサンタンベッドの後部は、クッションを跳ね上げ、上部ハッチを開けることができる。ここには、トランサムステップ側に立って調理するKENYONのBBQグリルをオプションで設置することができる。そして、このサンタンベッド全体が油圧で大きく上がり、ガレージが現れる。2,600mm×1,750mmのガレージには、トランサムステップで引き上げたインフレータブルジェットや水中スクーターを格納することができる。アフトデッキの大部分はサンタンベッドに覆われている。スターボードサイド寄りにオフセットされたアシンメトリックのアフトデッキ。スターボードのデッキは、サイドデッキのアクセス用。ポートサイドにはスターボードより広く取られたアフトデッキ。キャビンには、ここからアクセスする。サンタンベッドより前方はリアドアで完全に閉じることができるセダンスタイル。だが、高さ1,980mm、幅620mmのリアドアを開け、幅1,650mmのワイドなリアウィンドウを跳ね上げれば、ピラーレスで開放的なオープンキャビンスタイル。段差のないデッキが、アフトデッキとメインサロンを一つにする。アフトデッキからサイドデッキを通りバウデッキに向かう。

デザインを邪魔しないルーフにデザインされたハンドレールの窪みに手をかけ、安全に移動する。バウデッキの中央には、サンタンベッドを装着することができる。折り畳み式のオーニングを付けるオプションもあり、日差しや視線を遮る人気のカバナになる。サロンのポートサイドには、シンクとカッティングボードが備わるウェットバー。アイスメーカーを搭載することができる。前方の壁にはリフリジェレーターがインサートされている。スターボードサイドには、1,960mm幅のU字ラウンジソファ。

860mm×590mmのワイドなダイニングテーブル。U字ソファの前方には、航海計器が並ぶコクピット。右端のヘルムシートは、フリップアップするボルスターシート。ナビゲーターシートは、フリップアップするベンチシート。コクピット上部はワイドなサンルーフ。リアドアとリアウィンドウ、サンルーフを全開にすれば、サロンは、アウトドアのテラスラウンジ。濡れたままでの出入りも気にならず、子供たちもゲストも海水浴を思う存分楽しむことができる。このようにオープンスタイルで楽しむのも良いし、リアドアとリアウィンドウ、サンルーフを閉じて空調の効いた快適な室内空間にできるのも良い。季節やゲレンデを選ばない快適さと、スポーティなスタイリングの両立が人気の理由だ。

コクピット左端のカーブしたスライドドアを開け、螺旋階段からロアキャビンに降りる。天井高2,170mmのフロアにはスライドドアやスカイライトから光が降り注ぐ。ポートサイドにはギャレー。幅1,400mmのカウンタートップにはKENYONの2口コンロとダブルシンク。オーブンレンジは1945年創業のイタリア家電メーカーCanby社のもの。2ドアの大型リフリジェレーターはVITRIFRIGOのフロントローディング。ストレージが豊富なギャレーは、多くのカトラリーやテーブルウェアを収納することができ、本格的な料理にも対応することができる。ギャレーの向かい側には、4人が座ることができるダイネッティ。長期間のボートステイを快適に過ごすための重要なスペース。このダイニングスペースは、2段ベッドのキャビンに変更することもできる。

バウキャビンはVIPキャビン。長さ1,970mm、幅1,600mmのダブルベッドが中央に配置されたアイランドスタイル。このベッドは、センターで分かれシングル2つのVバースに変形できるシザースベッド。ゲストにより変更することができる便利なもの。左右には、大型のロッカー。その上部はワイドなサイドウィンドウ。ヘッドコンパートメントは、デイヘッドと兼用。シャワーブースは独立し、トイレはドライに保たれるデザイン。


トイレもシャワーも滑りにくいチークフロア、カップもハンドソープも固定され安全性に配慮されている。細かい気配りが行き届いたインテリアもエンジンルームへは、アフトデッキのフロアからエントリー。VOLVOBENETEAUが愛される理由だ。

 マスターステートキャビンは、ミッドシップのポジション。ギャレー後方、螺旋階段の横が入り口。入るとすぐに下に降りる2段のステップ。ヘルムステーション横のスカイライトから自然光が取り入れられ明るい。サンシェードで、光を遮ることもできる。キャビン中央には2,000mm×1,500mmのダブルベッド。ベッドの上部のヘッドクリアランスは低め目だが、ベッドの手前は2,320mmのゆとりの天井高が確保されている。キャビンの左右には幅1,350mmのワイドなシービューウィンドウ。ウィンドウの下には、荷物を置くことができるベンチと大型のロッカーが備わり、長期滞在を快適に過ごすことができる。マスターステートキャビンには専用のヘッドコンパートメント。独立したシャワーブースは滑りにくく肌触りの良いチークフロア。トイレやシャワーにはサイドウィンドウから光を取りこみ、明るく快適だ。


エンジンルームへは、アフトデッキのフロアからエントリー。VOLVOPENTAIPS600が2基と、mase8.6kwのジェネレーターが収まるコンパクトなエンジンルーム。エンジン上部にはガレージがあり、ヘッドクリアランスは300mm。だが、エンジンサイドの通路は1,380mmの高さが確保され、メンテナンス性も配慮されている。


 サロンフロアから1段上がったコクピット。ヘルムシートに着座する。視認性の良いフロントウィンドシールドにオープンウィンドウの付いたワイドなサイドウィンドウ。サンルーフを全開にし、立ち上がれば、ルーフの上から周囲を視認することもできる。ヘルムステーションの中央には視認性の良い大型のGPSプロッタ。スロットルやジョイスティックは、手をかけやすい位置に配置されたエルゴノミックデザイン。その横には、携帯電話や小物を置くのに便利な深めのトレー。USBポートも備わり、携帯電話を安全に置いたまま充電できる。ヘルムシートの横には2人が座ることができるパッセンジャーシート。コンソールには4つのカップホルダーが備わり、ゲストも快適にクルージングを楽しむことができる。


 ホールドの良いボルスターシートに着座しサンルーフを全開にする。ジョイスティックコントロールで桟橋から離岸。IPSとのバランスがよく、ローリングも少なく横移動。レスポンスもよく、その場回頭の動き出しもスムーズ。

安定した走行性能

 港を出て加速する。海上は西の風3~4m/sのコンディション。スロットルを倒し加速する。1,000rpmで6.3ノット、2,000rpmで11.1ノット。ノーズアップすることなくプレーニングに入り、2,500rpmで17.8ノット。3,000rpmでは24.1ノット。クルーズスピードは3,500rpmで31.2ノット。トップスピードは、3,700rpmで33.6ノットを記録。


クルーズスピードの30ノットでマニューバを描く。ステアリングホイールを回すと同時にリニアに反応し旋回に入る。IPS艇にありがちな、大きく傾きクイックに旋回するような激しい挙動はない。適度に傾き、ドリフトをしない最適なターン孤。高速でも安心してターンに入ることができるので、ターン前に減速したり、左右の回転数をコントロールする必要もない。アンダーステアもオーバーステアもない操船しやすいセッティングは見事だ。

 ボートは単なる乗り物でも釣りの道具でもない。ボートは、フランス人にとって人生を謳歌するために必要なもの。そんなフランスのエスプリから生まれたBENETEAU。そして、フランスのボートライフに応え、ニーズを凝縮したボート。それがBENETEAUGranTurismo45なのだ。P.B.

BENETEAUGranTurismo45
全長14.78m
全幅4.2m
喫水1.2m
重量11.24ton
エンジン2×VOLVOPENTAD6-IPS600最高出力2×440HP
燃料タンク900L
清水タンク400L
問い合わせ先ファーストマリーンTEL:046-879-2111
https://www.firstmarine.co.jp