
新世界洋上紀行 洗練のヨットスタイルを愉しむラグジュアリーな海の旅新世界洋上紀行

text & photo: Masaaki Higashiyama
special thanks: Explora Journeys / Mercury Travel https://www.mercury-travel.com/cruise/
地中海が拠点のMSCのセンスが光るラグジュアリー船〈エクスプローラI〉全室テラス付き、35m²以上と驚きのスイート仕様洋上にもうひとつの家を持てたことの喜び
ラグジュアリー船というと、豪華なインテリアに、ちょっと気取ったサービス=船客に緊張感を強いることもあるのだが、今回私が乗船した「エクスプローラジャーニー」の新造船〈エクスプローラI〉は、ひたすらリラックスムード、いわばもうひとつの家、それほどくつろげる船であった。
なぜ“もうひとつの家”と感じたのだろうか?ひとつは客室が広いこと。だから本当に自宅で過ごすように本を読んだり、TVを見たり、テラスで昼飲みしたり。パブリックスペースものんびりムード、きちっとトレーニングされたクルーだが、程よい距離間とソフトな物腰であたたかいサービスを供してくれる。

レストランのバリエーションは、メイン、ビュッフェ、ステーキ、地中海料理、和食、数カ月ごとに交代でスターシェフがふるまう唯一の有料レストランと多彩。つまり1週間のクルーズで1回ずつ行くぐらいのバリエーションだ。特にアジア料理の「SAKURA」では、寿司や小鉢の料理、お箸など、すべての見た目が美しい、クールなグルメと捉えられている。インテリアも寿司カウンターやちょっと居酒屋風の向かい合わせの席、プールサイドのテラス席など楽しい造りになっている。レストランやアルコール類、チップ、Wi-Fiなどもオールインクルーシブだ(エクスカーションは有料)。


船内のインテリアはさすがのヨーロッパ流、シックな色合いだが曲線を多用し、ライティングも上手い。そしてクルーズ船といえば最上階は退屈な造りの船もあるのだが、この船は最上階がとても楽しい。最上階=オープンデッキのことで、随所にプールやジャグジー、バーがある。船会社は“ヨットスタイル”という言葉を少し使っている。ヨットスタイルとは、あたかも自身が豪華クルーザーのオーナーであるかのような、贅沢かつプライベート感あふれる船旅のことと私は紹介している。イメージする船社はシードリーム・ヨットクラブやポナンなど、大きくても1万トンまで。「エクスプローラジャーニー」の船は約6万4千トンとヨットスタイルを標榜するにはかなり大きい。しかし今、ラグジュアリー船はこの5~6万トンクラスが主流、そのメリットはある程度の大きさがあるため揺れが少ないこと、特に〈エクスプローラI〉は、6万4千トンの大きさで船客わずか900名程度と少ない。だから部屋も広く、パブリックスペースに混雑は皆無。いろんな魅力が詰まった船だが、個人的にはアジア料理レストランのランチで毎日和食がいただけることが嬉しい。

神は細部に宿る、これはラグジュアリー船が大切にすべき言葉である。ラグジュアリー船は派手なインテリアなどハードで勝負するものではない。
細部にまで至る徹底的なこだわり
上質な旅を好む方は意外なところを見ている。それはタオルやナプキンなどのリネン、シャンプーなどのバスアメニティ、レストランのワイングラス、コーヒー、ジンの銘柄など。〈エクスプローラI〉に乗ってみて、それら細部への強い意識を感じた。この船会社の目指す志はかなりのものである。

今思うことは、洋上にもうひとつの家を持てたことの喜び。家=心地いい場所だから、時々帰りたくなる。早速お客様とご一緒するコースを探し、来年F1モナコグランプリを観戦し、翌日モナコから乗船、地中海のバカンス気分を満喫できるリゾートアイランドをホッピングするコースに決めた。しかしそれは来年5月のこと、それまでは待てない。近いうちにもう一度、洋上の我が家に帰りたい。P.B.
おすすめコース
エクスプローラ ジャーニー〈エクスプローラII〉(2024 年夏就航)
2025年5月26日出港 モナコ~バルセロナ7泊 8日4,275 ドル~
https://www.mercury-travel.com/explora/
https://youtube.com/@mercurytravel?si=faXlQICQmafp8s2C


