01_One&Only Palmilla_Agua Pool & Bar
loscabos_h1 成田空港からメキシコシティを経てロスカボスへ。メキシコのナショナルフラッブ、アエロメヒコが快適に運んでくれる。サンホセデルカボ国際空港は北緯23度。強烈な陽射しと乾いた熱風が、バハカリフォルニアの南端に来たことを実感させる。送迎はピカピカの新車、キャデラック・エスカレード。天国のような「One&Only Palmilla」の休暇がいま始まった。

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「コルテスの海」の輝き
伝説的なリゾート「Palmilla」

目の前に、コルテスの海が広がっていた。群青より淡く、ターコイズより深い、明るいブルーの海。メキシコ西岸、バハカリフォルニア半島の先端、ロスカボス。南北1,200kmに及ぶ長大な半島の内側に広がる海だ。「怒りの葡萄」や「エデンの東」で知られる作家ジョン・スタインベックは、1940年、朋友の海洋博物学者エド・リケッツとともにウェスタン・フライヤー号でこの海を探索し、「The Log from the Sea of Cortez(邦題『コルテスの海』)」を記した。今、バルコニーの外に、そのコルテスの海が青く輝いていた。
デイベッドが置かれたバルコニー、コルテスを渡った風が優しく吹きぬける。眼下のビーチに打ちよせる波の音が心地いい。
バトラーがメキシコ産の白ワインを注いでくれる。潮騒のデイベッドに足を投げ出すと、長旅で疲れた体の芯に満ち足りた幸福感があふれてきた……。
「One&Only Palmilla(ワン&オンリー・パミラ)」は、「One&Only Resorts」がアメリカ大陸の西海岸に唯一展開するラグジュアリーリゾート。現在「ワン&オンリー」のリゾートは世界中にわずか9つのみで、それぞれがまったく異なるラグジュアリー世界を提供してくれる。ここ「パミラ」はロスカボスの伝説的な高級リゾートで、クラシカルなスパニッシュコロニアル様式のヴィラが数多くのVIPから愛されてきた。昨年、記録的なハリケーンでダメージを受けたが、大幅なリニューアルを施し、今年4月、よりいっそうの魅力をもって我々の前に還ってきたのだ。

05_One&Only Palmilla_Ocean Front One&Only Pool Casita Suite_Living and Dining Room 「パミラ」の歴史は、華やかなセレブリティの時代を語り伝える。前身となる「ホテル パミラ」は、1956年、メキシコ大統領の息子であった実業家ドン・アベラルド・ロドリゲスのゲストハウスとして誕生した。400エーカー(東京ドーム35個分!)もの土地に、ヨットやプラベート飛行機でアクセス可能な、このエリア初のハイエンドなゲストハウス。彼の妻ルシル・ブレマーはフレッド・アステアとも共演した美貌のハリウッド女優であり、二人の造ったわずか15室の豪奢な隠れ家はまたたくまにハリウッドで人気となった。ゲストブックには、アーネスト・ヘミングウェイ、ジョン・ウェイン、ビング・クロスビー、ダスティン・ホフマン、ドワイト・D・アイゼンハワー大統領などをはじめ、ハリウッドスターや著名人、政府高官が名を連ねる。時代はまさに、バハの黄金期だった。
時代を追うごとに部屋数を増し、1991年にはジャック・ニク​​ラウス設計のゴルフコースも完成。2004年2月に「ワン&オンリー」の一員となり、世界中からセレブリティを集める存在となった。2005年にはジョン・トラボルタの50歳のバースデイパーティーも話題になった。しかもこれは、招待され何も知らずに訪れたジョン・トラボルタを、ハリウッドの友人たちがいっせいに祝福するというサプライズだったという。
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↑パミラリゾートだけの特別な宿泊用レジデンス「Villa Cortez(ヴィラ・コルテス)」は、ビーチサイドに位置する離れのコテージ。コテージはビーチと直結しており、4ベッドルームに、プライベートプール、ガーデン、贅沢なエンターテイメントエリア、12席のミニシアター、書斎、スタッフ用の宿直室が完備されている。今回のリニューアルではこのヴィラも完全なリモデリングが行われ、いっそうの魅力を秘めた豪奢な装いとなった。

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ジャン・ジョルジュのシグネチャー
唯一の日本人寿司職人 赤池シェフ

建物はすべて、白亜の漆喰にオレンジのスペイン瓦。中央に位置する小さな鐘楼をもつメインビルディングとチャペルは、1956年開業当時のオリジナルだ。半島に並ぶヴィラはすべてがオーシャンビュー。室内には錬鉄製のシャンデリアが灯り、グアダラハラで作られたハンドメイド家具が並ぶ。床のタイル、ベッドに掛けられた刺繍のフットスローも素晴らしい。ソファ脇の壁にはメキシコの画家による本物の油彩。鮮やかなターコイズの海中に色とりどりの魚たちが舞うその絵に、しばし引き込まれる。
バトラーが気の利いた贈り物を教えてくれた。サイドボードの上に四角錐の陶器とコップ。「パミラ」オリジナルのテキーラだ。脇の小鉢の蓋を開けると、ライムと塩とアーモンド。「強いのでご注意を」と付け加えてくれる。彼の名はダニエル。クラシカルなメキシカンの衣装がかっこいい。ダニエルは午後番で、もう一人のバトラーと組んでフルタイムで滞在中のすべてを世話してくれる。
午睡の後、とっぷり暮れてからようやくディナーへ。「パミラ」のダイニングは4つある。ステーキの「シーレッド」、メキシコ流マリネのセビーチェと寿司が楽しめる「スヴィーチェ」、メディテラニアン&メキシカンの「アグア バイ ラービ」、そしてオープンカフェの「ブリーズカフェ」。メインダイニングとなる「シーレッド」とそれに繋がる「スヴィーチェ」は、NYのミシュラン3つ星シェフ、ジャン・ジョルジュによるシグネチャーレストラン。しかも「スヴィーチェ」には、リゾート唯一の日本人スタッフである寿司職人が居るという。ジャン・ジョルジュと寿司、その響宴を味わいたく、初日にリザーブをお願いした。

13_One&Only Palmilla_Suviche Restaurant のコピー 高い天井に大きなアーチを描く窓、「スヴィーチェ」は「パミラ」の中でも最高のロケーションを占める。ギターのライブミュージックがこのダイニングにラウンジの性格も与えている。そして重厚な角テーブルの並ぶ奥に、寿司カウンター。着物姿の若い日本人が笑顔で迎えてくれた。
ジャン・ジョルジュ自らが日本で抜擢したシェフの名は、赤池義昭。柔和な笑顔、しかし仕事をする彼はキリッと引き締まったいかにも職人の顔を見せる。ジャン・ジョルジュに呼ばれ「パミラ」に来て7年。英語もスペイン語もわからないままここに来て、スペイン人スタッフに和食の技と心を伝え、世界中のVIPを相手に自分の寿司を握ってきた。苦労を苦労と言わない彼の話、小柄な体の芯にすさまじい胆力を秘めた人だ。前菜のセビーチェを楽しみ、日本から空輸されたマグロを味わい、コルテスの白身を試し、最後に和牛の石焼きとサクラの香りのジェラートをいただく。日本酒もあると聞いたが、ここはメキシコのビールと白ワインで。さまざまな話に引き込まれ、気がつくと、時計の針はすでに頂点を越えていた。
朝7時、いつもより早い目覚め。眼下の海では沖留めしたチャーターフィッシングのボートに、テンダーで客が運ばれていく。双眼鏡で覗くと年配の白人男性の2人連れ。ボートは30フィート弱か。バハカリフォルニアの突端はマーリンキャピタルと呼ばれるほどの聖地。あの大ジャックポット「ビスビーズ・フィッシング トーナメント」が行われる場所である。毎年10月の開催。今回はスケジュールが合わなかったが、機会があれば是非見てみたいものだ。
「ブリーズカフェ」でゆっくりと朝食を摂り、リゾート内を散歩してみる。小さな岬に位置する「パミラ」は、その突端にメインビルディング、両翼にゲストのためのヴィラが並ぶ。最大のプロパティは4ベッドルームの「ヴィラ コルテス」。790m²の部屋に、185m²のプライベートビーチ付きという豪華さだ。リゾート内に2ヵ所のプールは一つがファミリー向けで、さまざまなキッズプログラムが人気。プライベートビーチは北側の「ペリカンビーチ」。流行りのSUPをはじめサーフプログラムが充実しており、ランチも楽しめる。
さまざまなVIPが訪れる場所だけにスパの充実も素晴らしい。通常の「ワン&オンリー・スパ」のほか、スタイルブックをもとにネイルとヘアセットが楽しめる「OBOビューティサロン」、男性専門のシェービングとカットの「バーバー&ブレード」、そして「フィットネスセンター」と、長期滞在するゲストを楽しませるファシリティが揃う。実際に「バーバー&ブレード」を試してみたが、広々とした個室で1920年代のアンティックチェアーに掛け、テキーラの逸品をいただき、マスターとの会話を楽しみながら、泡だらけのアゴを昔ながらのレザーで剃ってもらうのは実に気分のいいものだった。

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93ftプライベートヨット「Catari」

夢のような時間はゆっくりと流れていく。ジャン・ジョルジュの「シーレッド」でフィレを堪能し、シェフ ラービの「アグア」でメキシカンワインの夕べに酔いしれる。北緯23度のブリーズに吹かれリラックスした時間を楽しんだ数日の後、「パミラ」のプライベートヨット「Catari(カタリ)」に乗る日がやってきた。
「カタリ」はイタリア・ローマの老舗メガヨットビルダー「CANADOS」が2005年に建造した93フィート。何度かのリフィットを受け、昨年新たに化粧直しも施された。
マリーナはクルマで20分ほどのカボサンルーカス。チャーターの基地として知られるビッグマリーナだ。そして「カタリ」は、このマリーナの最大艇。「ワン&オンリー」のもう一つのプライベートヨット「AZIMUT 38」を従え岸壁の特等席に繋がれている。紺色のハル、サイドにはアイコニックなダブルウィンドウ。イタリアならではの均整のとれたスタイルが美しい。インテリアは重厚なダークウッド、4キャビンのアコモデーション、CAT C-30 1,580馬力×2基が75トンを引っ張る。
港からすぐの位置にあるランズエンドと呼ばれるサンルーカスの岬突端にはアーチ状の岩とボートでしか行けないラバーズビーチ(昔、ポカリスウェットのCMにもなった)があり、その周遊はチャーターボートの定番コース。そのため「カタリ」は、大型のプライベートヨットとしては珍しく、最小2時間からチャーター可能だ。チャーターフィーもこのサイズとしては驚きの安さ。アウトリガーも備え、釣りもできる。実際「カタリ」は、トーナメントでの優勝経験もある船だという。もちろん、お望みとあらば何日間でもロングクルーズを提供してくれる。

27_IMG_4974 のコピー 特別に来てくれたオーナーMr. Augusto De Otaduyとともに乗船。さっそくウェルカムドリンクが手渡される。クルーが手早く舫をとき、93フィートがゆっくりと動き出す。昼過ぎとあって、釣り終えたチャーターフィッシングボートが続々とマリーナに帰ってくる。ほぼデッドスロー、20分ほどでランズエンドに到着。かなりごった返していたが、ビーチに上がりたければPWCを降ろしてくれる。クルーがフィンガーフードとフルーツを持ってくる。シャンパンを開け、パーティーが始まる……。夕刻再びランズエンドに戻る頃、空は茜色のグラデーションに染まっていた。

この素晴らしい「ワン&オンリー・パミラ」、ゲストのほとんどはアメリカとヨーロッパからの客で、日本人は年間わずか数10組、しかも大半はアメリカ在住者で、日本から直接のゲストは極々少ないという。
コルテスの海に面した天国のようなロケーション、煌びやかな歴史をもつエリア最古の伝説的リゾート、ジャン・ジョルジュ監修のファインダイニングと日本人職人による寿司の美食、そして93フィートのプライベートヨット「Catari」。毎年12月〜3月にはホエールウォッチングのメッカとなり、夏期はマーリンキャピタルと呼ばれるほどの世界的なビッグゲームスポット……。ボートオーナーにとってこれほどの楽園もないだろう。是非、本誌読者の方々に実際に訪れて欲しい正真正銘のラグジュアリーリゾートだ。
04_One&Only Palmilla_Ocean Front Premier Room Terrace 08_OOP_Barber&Blade 15_One&Only Palmilla_Agua by Larbi Restaurant
12_One&Only Palmilla_Seared_36oz Prime Porterhouse for two 10_One&Only Palmilla_Chef Jean-Georges and Chef Sebastien Agnes 18_One&Only-Palmilla_Chef Larbi in Herb Garden
24_IMG_7869 23_IMG_7823 30_One&Only Palmilla_Swimming Pool
■One&Only Palmilla
Km 7.5 Carretera Transpeninsular
San Jose Del Cabo, BCS, CP 23400 Mexico
TEL: +52-624-146-7000
予約TEL: +1-954-809-2726 (outside U.S.)
mail: reservations@oneandonlypalmilla.com
http://palmilla.oneandonlyresorts.com
「One&Only Palmilla」へは、日本とメキシコをノンストップで結ぶ、メキシコを代表するエアライン「アエロメヒコ航空」で。成田~メキシコシティは、月・水・土・日の週4便。メキシコシティ~サンホセデルカボは毎日運航しており、乗り継ぎも便利だ。
■アエロメヒコ航空
予約問い合わせ TEL: 0570-783-057(ナビダイヤル)
http://aeromexico.jp
text: Shoichi Usami
photo: One&Only, Shoichi Usami
special thanks: One&Only Palmilla
http://palmilla.oneandonlyresorts.com
PerfectBOAT 2015年9月号掲載/※データは掲載時のものです]