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2010年にアマゾン川で始まったリバークルーズ「アクア・エクスペディションズ」。秘境の大自然と文化を、5つ星ホテルクラスのファシリティとサービスで旅するコンセプトは、瞬く間に世界中のVIPから支持を集めた。この南米での成功を受け、昨年、東南アジア随一の大河メコン川に新造船が就航。エキゾチックなアジアの自然と文化を極上のサービスとともに堪能する、「アクア・メコン」である。

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洗練された5つ星ホテルのファシリティ
メコンの自然と文化を、肌で感じるエクスカーション


 メコンの旅はサイゴン(ホーチミン)郊外のMy Thoから始まる。簡素な船着き場に、マットブラックに塗られた新造船「アクア・メコン」の威容。分厚いスチールの塊を思わせる重厚な面持ちが、周囲に溶け込むことなく、毅然として佇んでいる。
 キャプテンとクルーの出迎えを受けて乗船。クルーたちの心からの笑顔が暖かい。スパイスの効いたウェルカムドリンクが、喧噪を離れたリゾート空間に来たことを感じさせる。船客40名に対し、クルーも40名。文字通り一対一のきめ細かいサービスが約束されている。

 「アクア・メコン」は2014年就航。総トン数700トン、3デッキの全長62.4m、全幅11.5mは、アマゾンに就航する「アリア・アマゾン」より18mも大きく、設備はいっそう豪華になった。下部の2デッキが客室に充てられ、全20室のすべてが川に面したスイートルーム。部屋はバルコニー付きの30m2と、クローズド全面ガラスの30m2の2種類。うちコネクティングルームは8室、他にスパトリートメントルームも2室用意される。

09_AQUAMK-0987 私の部屋はバルコニー付きのダブルベッドルーム。クルーズシップとして初めて、アジア・ホテルデザイン・アワードで5スターを獲得した「アクア・メコン」の客室は、都会のデザイナーズホテルそのままだ。Wi-Fiも繋がっており、外界ともコンタクトできる。床から天井までのパノラマウィンドウを開け放ち、バルコニーに出てみる。太陽はまだ高いが、夕暮れを待つ川面を渡る風が心地いい。

 洒落たデザインのバスルーム、アメニティスペースの広さも、他のクルーズシップとは大きく異なる。プライバシーを確保しつつも十分な外光が入る明るいバスルームに、ゆったりとしたパウダースペース。2人でいても十分な広さをもつ空間は、すべての造りが計算され、ゲストの快適さを追求している。この余裕あるファシリティに、「アクア・エクスペディションズ」が目指したホスピタリティの高さが感じられる。

07_AQUAMK-0451 すでに、船は走りはじめた。陽が落ちる頃、トップデッキのラウンジへ。階段を上がった正面に広がるこの空間に驚かされる。はるか奥にまばゆく輝くバーカウンター。パノラマウィンドウのブラインド越しに、暮れゆくメコンの空がオレンジと深いブルーのグラデーションとなって広がる。ソファには既にくつろぐ先客の姿。バーでビールをもらう。銘柄はもちろん「アンコール」。このバーテンダーが、若く、カッコイイ。訊けば以前はホテルのバーに居たという。

 2本目のアンコールをもらい、バーの横からアウトサイドへ。デッキスペースとアウトドアバーが広がる。船足は5ノットほど。ゆっくりと景色が流れていく。「アクア・エクスペディションズ」はオールインクルーシブ制。一部の特別なワインなどを除いて、すべての食事やアルコール代は料金に含まれている。嬉しいことにハウスシャンパンまでフリーオブチャージだ。風に吹かれながらそんな話をしているうちにも空は刻々と変わる。赤は藍に、青は碧に、南国の空がその色合いを深めていく。初日なのだが、これまで何度も来ていたような居心地のよさ。これも“アクア・マジック”なのだろうか……。

 ダイニングルームはセカンドデッキ。落ち着いた色調のモダンなインテリアに、真っ白いクロスをかけられたテーブルが並ぶ。フルサービスのディナー。ファーストナイトを祝してシャンパンを開ける。
 「アクア・メコン」のダイニングはアジアン・フュージョン・キュイジーヌ。サン・ペレグリノが選ぶ世界のベスト50レストランで1位に選ばれ、アジア料理レストランに対する世界初のミシュランスターを獲得したシェフ、デイビッド・トンプソン氏を総料理長に迎え、すべての料理がアジア体験をコンセプトに考えられている。新鮮なサラダとシュリンプに始まり、メインはワタリガニのカレー。美味しく、ヘルシーで、すべてが眉目麗しい。4~8日間の旅を飽きさせないよう、イタリアンやアウトドアでのバーベキューまで、趣向を凝らした演出が考えられているという。世界中から舌の肥えたVIPを迎えるだけに、食へのこだわりは並大抵ではない。

12_AQUAMK-1269 ディナーの後はラウンジに上がり、明日のエクスカーションに向けたブリーフィングが行われる。マルグリット・デュラスの小説「ラマン」でも知られるメコンは、欧米人にとってはオリエンタルなエキゾチシズムを感じさせる川であり、クメール文化の繁栄の時代から前世紀の戦渦の舞台としても深い意味がある地域。「アクア・メコン」は、ハイウォーターの7月~11月頃はベトナム・サイゴンからカンボジア・シェムリアップ(アンコールワットへの玄関口)までを7泊で、ローウォーターの12月~翌年6月頃はシェムリアップより下流のカンボジア・プノンペンまでを3~4泊で運航しており、流域の生活と文化に触れるさまざまなエクスカーションが、日ごとに組まれている。明日は、メコンの支流に広がる水辺の暮らしに触れるツアー。いよいよ、アクア “エクスペディション”が始まる。

 2日目、夜明け近くに目覚め、トップデッキへ上がってみた。船は停船、アンカリングしている。地平の雲が鮮やかに染まり、まだ明けきらない空を何羽ものツバメが飛びかっている。フィーディングタイムだ。自室へ戻り、ネスプレッソで朝の時間を楽しんだ後に、こちらも朝ゴハン。このブッフェがまた美味しく、朝からパワーがみなぎってくる。
 エクスカーションは、船尾に積まれた12人乗りのスキッフ(テンダー)で。パワーはマーキュリーの60馬力×2基。万一のトラブルに備え2基掛けにするあたり、VIPを顧客とする「アクア」の意識の高さが見てとれる。このスキッフを本船の船尾に4艇納めるというパッケージングも見事。サイゴンのNoor Designによるデザインで、カンボジアで建造された「アクア・メコン」の細部は、ボート好きの目から見ると大変に興味深い。

11_AQUAMK-0606 オールアルミのスキッフに乗り込む。左舷船尾にドライバー、バウにガイド。母船の「アクア・メコン」を離れ15分ほどで、ベトナムの水際の暮らしが現れてきた。両岸に建てられた高床式の家、小船から投網を投げる漁師、水浴びする子供たち、さまざまな物売りが行き交う水上マーケット……、どこもかしこも朝の活気にあふれている。トリの顔を船首に描いた荷船が通り過ぎる。山のように積まれているのは、コメだ! ここはメコンデルタのど真ん中。日本の稲作のルーツがここにある。
 メコンの支流を抜け、昼前に船に戻る。冷たいおしぼりが用意され、外出した靴のクリーニングもしてくれる。流石のサービス。自室に戻りシャワーのちランチ。焼き立てのイタリアンピッツァが運ばれてきた。これがまた美味い! 薄手のモチモチ感が、スパークリングワインにもビールにもよく合う。至福のランチタイムに話も弾む。

 一休みののち、午後のエクスカーション。今度は上陸して手仕事の村を訪ねるという。スキッフで移動するほか、マウンテンバイクでサイクリングもできる。これには欧米からの客が大喜び。彼らの大半がMTBをチョイスする。もちろん、疲れたり興味がなければスキップも自由。午後のひとときをプールサイドのデイベッドやバーでゆっくり過ごすのも、抗し難いほど魅力的だ。
 午前と午後のエクスカーション。我々日本人にとってはどこか懐かしくもあるメコン川流域の文化を肌で知り、その間に船は次のポイントへと動き、ダイニングでは素晴らしい美食が用意される。これが「アクア・メコン」の一日。日によってどちらかのエクスカーションがなかったり、また自分でスキップしてチルアウトもいい。茫々たるメコンに浮かび、5つ星のホスピタリティを享受する。このダイナミックなスペシャル感こそ、「アクア・メコン」の醍醐味だ。

36_AQUAMK-0614 下船前日、午後のエクスカーションに特別なプログラムが加えられていた。サンドバンク・イブニング・カクテル。太陽が姿を隠す頃、無人の美しい砂州に、バーテーブルが用意された。ハンサムなバーテンダーが、「アクア・メコン」のスペシャルカクテルを差しだす。夕陽に染まる雲よりも、さらに鮮やかなルビーレッドのシャンパンカクテル。すっかり友人になった船客たちが何度もチアーズ、乾杯を繰り返す。「アクア」に乾杯、悠久のメコンに乾杯、そして明日からの互いの人生に乾杯……。
 彼方には、暮れかかる水面に「アクア」のライトが美しく光る。この刹那……、ほんのわずかな時間ではあったが、この美しき歓びを忘れることは決してないだろう。それは、この時を共有した者しか味わえない、特別な、心からの想いだ。
 「アクア・メコン」は、旅慣れた人にこそチャレンジしてみて欲しいスペシャルなリバークルージング。5つ星の評価に違わないファシリティ、サービス、美食、ホスピタリティ、そして未知のエクスカーションが、貴方の人生に思いがけない体験と感動を呼び起こしてくれるだろう。


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AQUA MEKONG アクア・メコン
アクア・エクスペディションズ 日本地区販売総代理店
■インターナショナル・クルーズ・マーケティング(ICM)
 TEL: 03-5405-9213
 http://www.icmjapan.co.jp/aqua/

text: Shoichi Usami
photo: Hiro Matsui
special thanks: Aqua Expeditions
http://www.aquaexpeditions.com
PerfectBOAT 2015年7月号掲載/※データは掲載時のものです]