「HATTERAS YACHTS(ハトラス)」伝統のコンバーチブルが、「GT」の名と共に復活を遂げた。美しいカロライナフレアとタンブルホームを身にまとい、伝統のカロライナスタイルに回帰。しかも、決して過去に戻ったわけではない。上質なインテリアにさらなるスピードとシーワージネスも手に入れ、GRPスポーツフィッシャーの雄として君臨した強いHATTERAS GTとして戻ってきたのだ。HATTERASが、そのプライドをかけて送り出す最強スポーツフィッシャーのフラッグシップ。それが「HATTERAS GT70」だ。

芸術的な美しさを見せるカロライナフレアとクラシカルなタンブルホーム
輝くPalma Blueのハルカラーに、カーボントランサムボード、MTU 16Vのハイパワー
レジェンダリービルダー「HATTERAS YACHT」渾身のフラッグシップ、令和の海に降臨す

 2011年のマイアミボートショーにて鮮烈なデビューを果たした「HATTERAS GT」シリーズ。コリンズアベニュー沿いのフローティングエリアには「GT54」、「GT60」、「GT63」の3モデルが展示され、多くの来場者が見学に訪れていた。ボートショー終了後、フォートローダーデールのBahia Marをベースに、大西洋のうねりの中で同時にこれら3モデルをシートライアル。美しいカロライナフレアとクラシカルなタンブルホーム、原点回帰を果たしたカロライナスタイルの3モデルが桟橋に並ぶ光景が鮮明に思い出される。

 卓越した「HATTERAS GT」の走り、ヘルムの感覚は今でも忘れられない。GRPスポーツフィッシャーの一時代を築いた「HATTERAS YACHTS(ハトラス)」が完全復活を果たしたことを世界に知らしめる、衝撃的なGTシリーズのデビュー。それはVIKING YACHT一強時代に風穴をあける存在にもなった。
 その後GTシリーズは、好調なセールスにより、続々とニューモデルが投入されてきた。2016年には、GTシリーズのフラッグシップ「GT70」が登場。さらに「GT59」、そして、HATTERAS YACHTSビルダー60周年の記念の今年、「GT65 Carolina」が登場する。アメリカ本国でニーズの高い3つのサイズがニューモデルに刷新され、ブラッシュアップ。ラインナップは完成度を増している。そして、節目となる令和元年の今年、「GT70」が日本に初上陸を果たし、令和初のJIBTに登場する。
 FRP製のコンバーチブルを世界で初めて建造したレジェンダリービルダーHATTERAS。常にスポーツフィッシャーをリードし、ベンチマークとして君臨し続けてきたトップビルダー。ボートビルディングの革命児が重ねた半世紀を超える技術の集大成。「HATTERAS GT70」が日本の海を駆け抜け、日本のスポーツフィッシングカルチャーの歴史を塗り替える。


 桟橋に係留された「GT70」の美しくも堂々とした姿。Palma Blueのハルカラーは、太陽の光、海面の反射を受けて濃淡や発色を変え、見る者を魅了する。全長70フィート6インチ(21.49m)の体躯がもたらす低重心のデザイン。バウデッキの長さ、ロングノーズのグッドバランス、そして低く薄く感じさせるトランサム。デッキに人がいなければ、遠目には大きさがわからないが、近づけば、壁のように聳える船体やバウデッキの高さ、覆いかぶさるように迫るバウフレアの迫力に圧倒される。アメリカ本国ですら決して多くはない20m超えのスポーツフィッシャー。その存在感は驚異的ですらある。

 そして、このHATTERASのトランサムボードは、数々のスポーツフィッシャーを見てきた者たちをも釘付けにする。それは、飛行機や車だけでなく、最近では船でも注目される軽量高硬度のカーボンを使っていること。HATTERAS登場以前のウッドゥンボート時代から続く美しいチークトランサムの伝統とは180度異なる最新モードに身を包む。スピードだけでなく「軽量化=低燃費」からエコ素材として使われることが増えているカーボンは、現代を象徴する素材。本国アメリカでも、カスタムビルダーSPENCER YACHTSのトランサムに採用されたばかり。カーボンをトランサム全面に使うのは、私の知る限り日本では初である。見た目もクールなデザイン、高い後進性能と強度をもたらす大きくカーブしたトランサムの3次元で複雑な形状に合わせて成型されたカーボンボード。高い技術で作られたカーボントランサムは、見た目だけでなく、ビルやルアー、フックのヒットから船体を守り、しかも軽い。エッジの効いたスパルタンな個性を光らせる。このトランサムの存在感は、トーナメントに集まるコンペティターを威圧することになるだろう。

 カーボントランサムと対照的に、無垢のチークで覆われたブルワークとチークデッキはオーソドックス。機能だけでなく、優しい表情を見せる。チークで覆われたトランサム上部には、大型のベイトタンクが備わり、ライブベイトにも対応する。アフトデッキの前後長は2,730mm、幅は5,200mmにも及び、センターからでは左右舷までロッドの先が届かない。カジキが近づくだけで、ラインがブルワークに当たってしまう。そのため、このRELEASE MARINE製のファイティングチェアには、ビッグボートの常識でもある、クランクし左右にアングラーが移動できるペデスタルが搭載されている。

 アフトデッキ前部は、現代スポーツフィッシャーのスタンダードでもあるメザニンシート。ポートサイド側4分の1ほどにオフセットされた分厚く上質なチークステップを2段上がると、メインサロンのフロアレベルに合わせられた高さ約46cmのメザニン。ステップの正面はキャビンドア。そのポート側には、上部にBBQグリルを備えたタックルボックスとフライブリッジに上がるためのラダー。キャビンドアの右側には、4人がゆったりと座ることができるワイドなメザニンシート。パーティーでは、見晴らしの良いラウンジとなり、トローリングではデッキハンドの見張り席となる。メザニンシートの足元は床下収納。冷凍庫や冷蔵庫、物入れとして、多目的なストレージとなる。

 センターの座面を上に上げれば、大きな開口部で、出入りのしやすいエンジンルームが現れる。エンジンルームには、V型16気筒、3万6,000ccのMTU 16V-2000-M96Lが2基鎮座する。エンジンルーム中央の天井高は2.01m。2基のエンジン間のアクセス路の幅は0.56m。エンジン全周に十分なスペースが確保され、メンテナンス性が高く、質の高いメンテナンスやトラブル対処ができるだろう。

 キャビン入口は自動ドア。ボタンをプッシュするだけで、ゆっくりと開閉する。波の中でも安全な開閉ができ、両手が使えるメリットもある。6.5mもあるビームから、狭めのキャットウォークを除き、ほとんどを使う広大なサロン。ドアの内側にもウッドフロアが使われ、シューズを履いたままキャビンに入ることができる機能的なもの。その先のサロンは、アメリカの邸宅にいるようなふかふかの絨毯。サロン天井は高く、ボートのキャビンというよりはシーサイドヴィラにでも招かれたような錯覚に陥る。

 メインサロン後方は、L字に配置された、8人は座ることができるコンフォータブルなソファラウンジ。通路に飛び出さないダイヤモンド型のカフェテーブル。美しいバーニッシュで仕上げられたチークのテーブルトップを上げれば、物入れになっている。向かい側ポートサイドのキャビネットからはリトラクタブルの薄型TVが電動で現れる。サロン前方は、1段上がり、空間を切り替えるステップフロア。スターボードサイドは、さらに1段高いダイネッティ。ギャレーとの目線の高さが合わせられ、サイドウィンドウからの風景を楽しむこともできるアイポイントになる。ポート側には、ギャレー。ギャレーとサロンを仕切る変形の大型カウンター。人工大理石のカウンタートップがゴージャスな空間を演出する。しかもこのカウンターはアイランドスタイル。左右どちらからでも出入りができる動線は、人が交錯しにくいので、トーナメント中の揺れる船内でもスムーズで無駄のない移動ができる。フラッシュサーフェスなギャレーの側面は一見ミニマルでシンプル、だが、カウンター下の冷蔵庫や吊り戸棚の中に収められたオーブンレンジ、その他空いた空間すべてに扉か引き出しが備わり、ストレージとして無駄なく使われている。

 ギャレーの横から前方にステップを降りると、くつろぎのアコモデーション。降りてすぐのポート側にはマスターステートルーム。クイーンサイズのアイランドベッドと専用のパウダーエリア。トイレと独立したシャワールームがプライバシーを守ってくれる。スターン側に回り込むと、左右に分かれてそれぞれ2段ベッドが備わるクルーキャビン。真ん中には、クルー専用のヘッドルームとシャワールーム。それぞれ1,950mmの天井高があり快適。クルーにも独立したシャワールームが備わる贅沢なレイアウトは70フィートのサイズが叶えてくれること。クルーの満足度は、チームを強くする。他との違いはトイレ。エンジンルームにエントリーするためのハッチが備わり、エンジンルーム内に異常を感じた場合にも、クルールームからすぐにエンジンルームの点検をすることができる。
 ステップを上り、マスターステートキャビンの正面にあるのは2段ベッドのゲストキャビン。その隣には、デイヘッドと兼用となるトイレとシャワーが備わる。そして、Vバースと言われるバウバースはVIPキャビン。クイーンサイズのアイランドベッドと専用のトイレ、専用シャワールームが大切なゲストを快適にもてなしてくれる。オーナー夫妻、VIPカップル、ゲスト2名、クルー4名の10名を迎えることができる快適なアコモデーション、メインサロンやマスターステートキャビン、VIPキャビン、その他の3部屋すべては、HATTERAS伝統の正確で美しいウッドワークで仕上げられている。均質でリュクスなピアノフィニッシュをはじめ、上質なインテリアはコンペティターを凌駕するHATTERASの独壇場だ。(続きは本誌で 2019年9月号

SPECIFICATION
HATTERAS GT70
全長 21.49 m
全幅 6.5 m
喫水 1.53 m
重量 54.43 ton
エンジン 2× MTU 16V 2000 M96L
最高出力 2× 2,600 HP
燃料タンク 8,101 L
清水タンク 1,249 L

■問い合わせ先
HATTERAS YACHTS インターナショナルセールス
日本窓口 Email: hatterasyachts.jp@gmail.com
www.hatterasyachts.com