世界の海で「PERSHING(パーシング)」は、
まごうことなく「PERSHING」というハイエンドパフォーマンスボートのカテゴリーを作り上げた。
サーフェスドライブの華、ルースターテールの水煙を巻き上げ走行するリュクスでエレガントなスーパースポーツボート。
近年その存在にパフォーマンスで近づこうとするボートが現れてきた。
だが、その状況を PERSHING は許さない。PERSHING の答えがこの「82 “Very High Performance”」だ。
軽々と50ノットオーバーを快適にたたき出すプライド。
強烈無比の “Jet Fighter”、進化する Emotion の真髄を見た。




見事なまでのバランスと流麗なフォルム
美神の王国が生んだサーフェスドライブ艇のカリスマ「PERSHING 82」
新たに MTU 16V 2,638mph を得て
Cruising 45ノット、Max 50ノットオーバーの世界へ誘う


 また「PERSHING(パーシング)」が進化した。2013年に第 4世代のPERSHINGとして鮮烈にデビューした「PERSHING 82」、それが更なるイノベーションとハイパフォーマンスを身に着け、それにふさわしい場所として 2016マイアミボートショーを選び、“Very High Performance”「82 VHP」と名付けられて華々しく登場した。そして翌年、カンヌヨッティングフェステバルで改めてお披露目されたのだ。
 PERSHING と言えばデザイナー Fulvio De Simoni、ハルデザインは FERRETTI Group Engineering Department の仕事だ。従来モデルの MTU 16V 2000 M93、2,435mhp ×2基、最高速45ノットから、MTU 16V 2000 M96、2,638mph ×2基へと強化を図り、TOP SYSTEM 95S サーフェスドライブ&ペラを組み合わせ、なんとクルージング速度 45ノット、最高速 50ノットオーバーを誇る最強モデルとなった。
 昨今のハイエンドハイパフォーマンスボートの中には、PERSHING をターゲットとし、「PERSHING 62」のMAX速度 47ノットを凌駕する大型艇が登場している。その状況を PERSHING は許さなかった。その答えが、この「PERSHING 82 VHP」の登場なのだ。具体的にはエンジンルームのレイアウト変更、アフトガレージの高さ変更、エンジンルームのエアフロー最適化、エアインテークのリデザイン等、ハイパフォーマンスパワーユニット搭載のための見直しを計った。ハルには2条のチャインの形状変化を施し、ラテラルスタビリティの向上とスプレーカットを狙った。もちろんインテリアのリファインもプレシャスな時間が流れるエレガンスの中にある。


 イタリア半島の東の海、アドリア海のビーチリゾート Fano の内陸 Mondolfo にある清廉で近代的なファクトリーから生み出される「PERSHING」。その名は第一次世界大戦時のアメリカの将軍、John Joseph Pershing に由来する。創設は1985年。オープンスポーツボートの「PERSHING 45」に始まる。以来、彼らのテーマは飽くなき Innovation、Evolution の追求。
 2003年には「PERSHING 88」をアンヴェール。ニューヨークの自由の女神の前で、アーネソン・サーフェスドライブが巻き上げるルースターテール(銀狐の尾と呼ぶ、粋)の姿に魅せられたのが、アメリカのセレブリティたちだった。一方地中海では、サントロペ、カンヌ、モナコでその刺激的な姿が話題になっていた。こうして「PERSHING」は、サーフェスドライブ艇のカリスマとして “美神の王国” のスーパースポーツクーペとしての地位を確立していった。
 2018年のラインアップは「108」「9X」「82」「74」「70」「62」「5X」の7艇種。近未来には 140フィート アルミハル艇、さらに 170フィートのプラニングが発表されている。
 見事なまでのバランスと流麗なフォルムを見せる「82 VHP」。全長 24.98m、全幅 5.50mの船体が浮かぶ姿は、他に類を見ない収まりを見せる。パールホワイトのハルのサイドフォルムは、弓状が緩やかに流れるようなダブルウィンドウとエレガントなシルバーのルーフラインがクールなインパクトを与えている。バウサイドとミジップのシービューウィンドウに楕円の舷窓もリデザインされた。マイアミバージョンとして登場した戦闘機のコクピットを思わせるヘルムステーションを持つスモールフライブリッジはスマートなイメージに変更され、すでに「82 VHP」のアイコンになっている。Fulvio De Simoni のデザインは海面を移動する空間移動体「プラネットフライヤー」のイメージをますます進化発展させるようだ。
 PERSHING は 2016年からランボルギーニとパートナーシップを結び、ウラカンシリーズも展示。ともに PERSHING と Automobili LAMBORGHNI のデカールが貼られているのが印象的だ。

 ギャングウェイを渡りアフトデッキに乗り込む。精緻なチークの貼りこめられたデッキは、そのままウォークアラウンドし、バウまで淡いブラウンカラーが広がる。ゆったりとしたソファ、広々としたサンベッド、右舷サイドにはウェットバーにシンク、冷蔵庫とリラクゼーションスペースが広がる。コクピットルーフにはある仕掛けが隠されている。電動で現れるそれはフライブリッジへのカーボン製ステアウェイ、ラダーだ。それを登るとサンベッドとヘルムステーションを備えたコンパクトなフライブリッジが現れる。
 チークのフロアの後端に2人用のサンベッド、センターのヘルムシート、両端にリラックスシート。フライブリッジの装備はそれだけだ。ヘルムはホワイトカラーのインスツルメントパネルに GPS&レーダーモニター、アナログのエンジン関連メーターが並び、センターにはステアリングホイールがセットされる。エアダムは簡易なスポーツスクリーンのみ。ヘルムシートの右にセンターコンソールがあり、ZFのエンジンコントローラー、前後のサイドスラスターレバー、ステアリングに頼らないジョイスティック、トリムレバー、サーフェスドライブユニットの上下レバーと、各種レバーがマニアックに並ぶ。


 メインサロンに戻る。前方のヘルムステーション、フロントウィンドウ、サイドウィンドウ、全方位の視界が開き、パノラマミックビューがそこにある。右舷側には QUADRA の大きなソファ、左舷側にはキャビネットとダウンギャレーへのラダーがある。ヘルムシートとの間に LAURANA の6人掛けテーブルと椅子がある。
 ヘルムシートはセンターのキャプテンシートと両脇のナビシートの 3脚。幅広いチーク材のフロアに縞模様の施されたオーク材のファニチャー、ルーフやサイドトリムはホワイト。Poltrona Frauh は PERSHING のパートナーとして、チェアに始まり、レザーやファニチャーの多くをハイセンスなイタリアンモダンデザインで展開している。
 関心はヘルムステーションに。まるで航空機のコクピットのようなマニアックな世界が広がる。銀杏の葉のような広がりを感じさせるコンソール。トリムは本革で包み込まれ、インスツルメントパネルはカーボンパネル。上部右に SIMRAD のレーダー& CCDカメラモニター、左に GPSモニターがある。センター上部にはデジタル表示のサーフェスドライブの管理モニターがある。チルトアングル計、トリムアングル計、ラダーアングル計、AUTO等モードの切り替えセンサーがグラフィカルに表示される。その下にはオートクルーズのデジタルモニター、ステリングポット左右には MTUエンジンモニター。これら全てのモニターはタッチスクリーンだ。ステアリングポッド上部には同形状の黒い 6本のスティックレバーが並ぶ。前後のサイドスラスター、左右のトリムレバー、左右ドライブのアップダウンレバーだ。センターのキャプテンシート右には ZF のエンジンコントロールレバー、左にはラットのジョイスティックがある。頭上の広大な電動サンルーフを開けると、オープンエクスプレスの解放感に満たされる。

 ロアフロアには4ステートルームが用意される。ミジップにビームいっぱいのオーナーズステート、シービューウィンドウからの採光、イタリアンモダンの上質な設えが展開される。濃いブラウンのヴァーニッシュされたチークのフロアに深い絨毯が敷かれ、オーク材のファニチャーに BISAZZA のガラスタイルの装飾、バス周りには Antoniolupi の心地よい逸品が癒しを創造。随所に POMDOR のアクセサリーが使われてる。
 バウには同様の設えで VIPスイートが用意され、左右には 2ベッドのゲストルームが展開する。ギャレーはサロンの左舷側からクルースペースとセットで配置され、レストランの厨房の趣を見せる。ドアを開ければ 2人用のクルールームへのアクセスとエンジンルームへのアクセスが可能なエリアとなる。P.B.(続きは雑誌で)




PERSHING 82 VHP
全長 24.98 m
全幅 5.50 m
喫水 1.40 m
重量 56.30 ton
エンジン 2× MTU 16V 2000 M96L
最高出力 2× 2,638 HP
ドライブ TOP SYSTEM 95S
燃料タンク 5,950 L
清水タンク 1,300 L
スピード Max 50 kt
     Cruise 45 kt
■問い合わせ先 
リュウカンパニー  
TEL: 0467-38-8612
http://lyucompany.jp

text: Kenji Yamazaki
photo: PERSHING, Makoto Yamada
special thanks: FERRETTI Group
LYUCOMPANY http://lyucompany.jp
[Perfect BOAT 2018年8月号掲載/]/※データは掲載時のものです]