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2014年カンヌボートショーを席巻していたカタマランのセイルヨットの存在。ザ・レースやアメリカス・カップでのカタマラン艇をシンボルとして、外洋からビーチングのプレジャーまで、カタマラン艇はカテゴリーとして確実に定着している。さらにその潮流は新たなステージへと昇華し始めた。マストを取り外したカタマランパワーボートの世界が、圧倒的なメッセージを秘めて、存在感を顕にしている。

modern, elegant, luxuriness
ラグジュアリーネスを極めるBig Catamaran
その創造性は無限大の広がりを見せる



01_exterior_10 「SUNREEF 70 “1 LIFE”」。2014年カンヌボートショーでのワールドプレミアムだ。ブースは溢れんばかりのゲスト達で賑わっている。そしてフライディナイト。サンセット時の生バンドのジャジーなビーチクラブから、夜が更けるにつれグルーブするDJのクラブナイトへと変貌。ニューウェーブの勢いを見せつけている。もちろんSUNREEF(サンリーフ)の主流はマストを持つセイリングボートだが、大型カタマランの流れは間違いなくパワーボートにも波及している。
 話題のSUNREEF Yachtsの本拠地はポーランドのグダニスク造船所にある。グダニスクは1980年代、造船所労働者達のストライキに始まるポーランド民主化の端緒となったところ。「連帯」委員長のレフ・ワレサ氏は民主化後ポーランドの大統領となった。そのうねりはソ連崩壊、ベルリンの壁崩壊と繋がる歴史を持つ。高い技術力がグダニスク造船所の誇りと言う。
 SUNREEF Yachtsの創設者Francis Lapp氏はフランスのアルザス生まれの56歳。電圧スイッチギアの製造工場を当初のフランスからポーランドに移し事業を拡大させる。1992年に新会社を設立し成功をおさめ、ワルシャワに近い湖でカタマランレースに誘われ、すっかりはまり込んだ。パリボートショーで大型カタマランを購入し、マダガスカルに出荷、インド洋のチャーター会社と専門旅行代理店を興し、このビジネスの中から、顧客が更に大きく豪華なカタマラン艇を要望していることに気づき、2002年、グダニスク造船所にSUNREEF Yachtsを設立、2003年にSUNREEF 74をデビューさせている。フライブリッジを持つ外洋大型カタマランセイルボートとして、カンヌ、モナコ、マイアミ、フォートローダーデール、ジェノバのボートショーでSUNREEF Yachtsは喝采を浴びる。

05_exterior_12 今回、そのブランニューなプレミア艇に触れる機会を得た。カンヌボートショーの終了後、たっぷりの試乗時間を、ファーイーストから来た我々に用意してくれたのだ。
 全長21.34m、全幅9.30m、モノハル艇なら200フィートクラスのビームを持つ。エンジン2基は455HPから1,200HPまで、ボルボペンタの幅広い選択肢が用意されている。なんとIPSシステム採用なのだ。このSUNREEF 70 “1 LIFE”にはTwin IPS1200 – D13 – 900HPが搭載されている。フルビーム9.30mのカタマラン艇の動き、興味津々だ。
 乗り込んでみよう。プラットフォーム左右どちらからでも乗り込み自由なイージーさで迎えてくれる。まずはその広々感に心が浮き立つ感覚になる。スイミングプラットフォームはハイドロアジャストでシートイを海に浮かべることができる。チークの貼られたウッドデッキはまるでメガヨットのゆとりを見せる。充分ここでパーティーが開ける余裕。サロンは白を基調に明るい空間が広がる。左右にセットされたソファとテーブル、前方にはダイネッティ。すべてがゆったりとした空間、邪魔をしない快適をテーマに設えられている。
 左舷中二階にヘルムステーション。レイマリンレーダー&ナビモニターに、ボルボペンタの集中管理モニターと3つのモニターが並ぶ。IPSコントロールスロットル、ワンアームの白いステアリングに白い簡素なイスが2脚。トランスオーシャンも可能なロングレンジを誇るこのフネ、ナビ&レーダー連動のオートパイロットで、走行時には簡素なイスで充分なのだ。
 右舷前方にはオーナーズステートへのアプローチがある。メインデッキ前方全てがフルビームのオーナーズステートなのだ。ここも白を基調にリラクゼーションに満ちた広々とした空間が広がる。パノラミックなウィンドウ。マジックミラーのバスルーム。明るく心地よいスイートルームが演出されている。
 メインサロン右舷ハルには前後に分かれてキングサイズのベッドを持つゲストルームが2部屋、それぞれの専用バスルームと共に用意される。左舷ハルには前方にVIPルーム、後部にフル装備のギャレーがある。インテリアはカスタムメイド、顧客の要望が全てに優先するが、カッティングエッジなインテリアであることは間違いない。
 ヘルムからと後部オープンデッキからフライブリッジへのアプローチがある。FBは右舷前方にヘルムステーション、左舷にはバーベキューグリルを含めウェットバー、冷蔵庫、製氷機とパーティーギアがしっかり用意されている。ヘルム後ろにはUシェイプのソファ&テーブル、その後ろにはサンベッド、左舷後部にはランニングマシン、いかにも緩やかなフローティングヴィラの雰囲気が漂っている。ハルデザインを含めアドバイザーにカタマランレガッタの覇者Laurent Bourgnon氏を迎えてインハウスデザインと自信を見せる。

07_IMG_7204 広報用の動画撮影を兼ねて美形のモデルさん2人も同乗、カンヌから西へクルージングが始まる。南西風5m/s、気温22℃、
薄曇、波高0.5m。まるでローリングのない快適な走行が始まる。
 830rpm-7.5ノット。870rpm-8.4ノット。スイミングプラットフォームにデッキチェアを出してモデル撮影。この時の燃費15L/h。レンジ3,494nm。最小の燃料タンク2×2,500Lを搭載していても驚きの燃費とレンジだ。最大タンク2×8,000Lならば充分トランスオーシャン可能となる。
 緩やかなピッチング、眠気を誘うほど。1,000rpm-9.0ノット。1,500rpm-12.5ノット-84L/h。1,800rpm-14.9ノット、2,000rpm-18.2ノット-187L/h。ターンを試みる。軽さの中に手ごたえのあるステアリングを切り込む。体勢はフラットのまま、軽い外Gを感じながら船体のセンターを中心にスムーズに回頭する。大型カタマラン艇のヒールの無いこの感覚は初体験だ。理想の重心位置を求めるため、ポッドから前方に4mのカーボンシャフトを介してエンジンがマウントされている。
 MAXを試みる。2,290rpm-22.7ノット-263L/h。穏やかな走行感、この世界にトレンドが集まるのが分かる。ジョイスティックを試す。面白いように回りサイドスライドをする。まさに自由自在、相性の良さを感じる。大型カタマランボート、新しいマリンライフの始まりを予感させるのだ。島巡り、ビーチング……、本当のボーティングの喜びは、このゆとりの中に潜んでいるのかもしれない。


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SUNREEF 70 Power
全長 21.34 m
全幅 9.3 m
喫水 1.55 m
重量 49 ton
燃料タンク 5,000 L
清水タンク 2,700 L
エンジン 2× VOLVO PENTA D13 IPS1200
最高出力 2× 900 HP
エンジンバリエーション 2× 455~1,200 HP
■問い合わせ先
Sunreef Yachts
http://www.sunreef-yachts.com

text: Kenji Yamazaki
photo: Sunreef Yachts, Kai Yukawa
special thanks: Sunreef Yachts
http://www.sunreef-yachts.com
[Perfect BOAT 2015年1月号掲載/]/※データは掲載時のものです]