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アメリカ東海岸ニューイングランドのロブスターボートからインスパイアされ、2003年秋のジェノバ・ボートショーでデビューした「ドルフィン 51」に始まる「モキ・ドルフィン」シリーズ。そのフォルムの中には気品とエレガンスが潜んでいる。今回テストしたのはリデザインされて2015年登場の大型艇「ドルフィン 64 クルーザー」、地中海の芳醇なボーティングシーンに酔いしれる。

04_Ext_D64'_1 ヨーロピアンボートの主流をなすスポーツクーペ・スタイルとは明らかに一線を画し、海への和みや癒しの穏やかなオマージュがカタチになったのが「モキ・ドルフィン」シリーズだ。エルゴノミックな柔らかいカタチの中に、気品とスポーティさを秘めている。あのジョン・F・ケネディも愛したアメリカ東海岸ニューイングランドのロブスターボートからインスパイアされた「ドルフィン」のフォルム。それがモダン・イタリアン・ロブスターボート、新生「MOCHI(モキ)」だった。
 1960年にLuciano Mochi Zamperoli がアドリア海に面するFanoで立ち上げた「MOCHI CRAFT」は、イタリアとドイツをメインマーケットにするサロンクルーザーを建造していた。2001年、フェレッティグループに入る。そしてフェレッティグループのファウンダー、ノルベルト・フェレッティの肝いりで、新生 MOCHI CRAFT ドルフィン・シリーズは始まった。
 2003年秋のジェノバ・ボートショーでデビューした「51」に始まり、「74」、「44」、そして2006年登場の「64」、2007年に「54」が登場し、2008年カンヌでの「54 Fly」デビューでそのラインナップが完成した。フェレッティ・ナバル・デザイン&リサーチセンターとセーリングヨットやオフショアレーサーのデザインでイタリアを代表するBrunero Acamporaと彼のStudio Victoryの仕事だ。彼らは地味で伝統的なロブスターボートにイタリアの美学と地中海のフレグランスをふりかけ、明るくモダンなカタチで蘇らせた。

05_D64'_Bow Lounge 2006年のデビュー以来、初めてリデザインされ、2015年にフルモデルチェンジでデビューした新型「64 Fly」は、「Dolphin 64 Cruiser」と呼称を変更し、より高級志向にシフトした。
 ハルの強化、フライブリッジをストレッチし、エンドをコックピット上部まで伸ばしコックピットのサンシェードルーフに。ボンネットの大型化を計りバウデッキのサンパッドにラウンジシートを追加した。ボンネットの舷窓は丸になり、サイドウィンドウはドルフィンのシルエットを描くように広げられ、伸びやかなラインを描く。ボンネットのアイボリーホワイトと、精緻なチークが張り巡らされたウォークアラウンドデッキのライトブラウンとが絶妙なトーンバランスを見せる。広いアフトコックピットからサイドのキャットウォークを通りバウデッキまでもが、繊細で麗しいチークを張り込められている。シアーラインのチークのトリムやボンネットにある一条のチーク製のセイフティバーがキャラクターラインを主張している。ハルの両サイドの舷窓も、流れるような異型ひし形の意匠を持ちシャープさを強調している。心地よい曲面と直線、アート感覚に満ちたフォルムが見る者を惹きつける。まさにレトロモダンだ。曲面構成の細工の加わったクリートひとつにもドルフィンの掘り込みをもつ精緻なこだわり。心を解きほぐすためのボーティングシーンにモキのステージがある。注目は、馥郁としたフレアのバウから豊かな曲面を持ってアフトに流れ、美しくクラシカルなタンブルフォームを形作っていることだ。

13_D64'_Cockpit さっそくギャングウェイから乗り込んでみる。アフトのチークデッキには本革のアイボリーホワイトのシートにチークのテーブルが用意され、チークのフライブリッジラダーのたもとにはウェットバーやアイスボックス、バーベキューグリルがセットされる。サロンのスライドドアはチルトウィンドウを持ち、サロンとコックピットの一体感溢れた広がりがまた魅力的だ。
 サロンラウンジは、ポートサイドに柔らかなバックレストを持つ快適なフォームのソファが用意され、チークとメイプルで織り成されたフロアやファニチャーと本革のソファが明るく艶やかなサロンを演出している。前方ポートサイドには真っ白な6脚の椅子とエレガントなテーブルのダイネッティがあり、そのスターボードにはメガヨット並みのギャレーが独立した個室で用意される。さらに前方スターボードサイドにメインヘルムが位置する。コンソールにはライトブラウンの本革が貼られ、チークのトリムとあいまって美しい仕上がりを見せる。12インチのカラーレーダーディスプレイやRaymarineのチャート/プロッターを中心に、MTUのボートデータマネージメントモニターが並ぶ。ステアリングは美しいウッドグリップ。軽やかなクリック感を持つエンジンコントローラーはZF製。バウとアフトのスラスターを装備する。キャビンフォワードのこのヘルムステーションは、申し分のないパノラマビューを誇る。
 エクステリアのクラシカル・モダンなスタイリングは、ナイトエリアでは木と光の温もりのあるインテリアとなって昇華する。光を操る障子がそこにあるからだ。さらに畳をイメージさせる「和」のテイストとあいまって、まるで西洋と東洋の文化を融合させたかのような空間が演出された。その上、ソリッドウッドとレザーとのマッチングは特筆すべきエレガンスを漂わせている。こうしてロアデッキには3室の艶やかなステートルームが用意された。(続きは雑誌で)


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08_D64'_Pilot_house 14_D64'_Master_cabin 18_D64'_Vip_cabin


MOCHI CRAFT Dolphin 64 Cruiser
全長 19.63 m
全幅 6.13 m
喫水 1.79 m
重量 37.9 ton
燃料タンク 3,600 L
清水タンク 990 L
エンジン 2× MTU 8V 2000 M94
最高出力 2× 1,268 HP
スピード Max 31 kt
     Cruise 27 kt
■問い合わせ先 リュウカンパニー
TEL: 046-876-3646
http://www.lyucompany.jp

text: Kenji Yamazaki
photo: MOCHI CRAFT, Kai Yukawa
special thanks: LYUCOMPANY
http://www.lyucompany.jp
[Perfect BOAT 2016年3月号掲載/]/※データは掲載時のものです]