往年のカロライナ・カスタムとは一線を画する「SPENCER Yachts」
周囲を圧する独特のオーラ、そして他の追従を許さない走り
まさに、「神の領域」

 本誌でもすっかりお馴染みとなった「SPENCER Yachts」。アメリカ中東部、ノースカロライナ州にあるWancheseにファシリティを構える。ノースカロライナといえばスポーツフィッシャーマンを建造するビルダーが数多く存在する場所として有名だが、数ある名の通ったカスタムビルダーを尻目に、SPENCER Yachtsはその勢力図を塗り替えんばかりの勢いだ。

 1996年設立のSPENCER Yachtsは、この種のボートを建造するビルダーとしては比較的歴史は浅いものの、常に最新のテクノロジーと伝統的な工法、そして最新のマテリアルと実績に裏打ちされた素材を巧みに組み合わせたカスタムビルダーとして急成長を遂げた。それは、ここ数年リリースしているモデルの多くがVOLVO PENTAとタッグを組み、IPS ドライブを搭載していることからも、その技術力の高さが確かなものであることが理解できる。
 
 創設者であり経営者でもあるPaul Spencer氏は、幼少期の頃からフィッシングに身近な環境に育ち、僅か12歳でチャーターボートのデッキハンドとなり、19歳の時には早くもキャプテンライセンスを取得。チャーターボートの世界でその名を轟かせてきたパイオニア的な人物として、あまりにも有名だ。本誌でも、2010年6月号で日本国内取材した「SPENCER 59」にはじまり、「49 EXPRESS」、「37 EXPRESS」、昨年はVOLVO PENTAのデモンストレーション艇とも言える「SPENCER 70」のシートライアルを掲載してきた。
 
 今年2月のマイアミ、SPENCER Yachtsはこの後紹介する「SPENCER 57」をコリンズアヴェニューに浮かべ、多くの注目を集めていた。1年ぶりに再会したSpencer氏に早速取材の申込をすると驚きの返事が待っていた。この「SPENCER 57」のシートライアルに合わせて、他にも3艇のボートを空撮するとのこと。「是非それに合わせて取材してくれよ!」と、千載一遇ともいえる逆オファーを受けたのだ。しかもオンボードからの取材は我々だけだと言うから、さらに驚きだった。

 数年前から積極的にVOLVO PENTAのIPSを採用してきたSPENCER Yachts。両社のコラボレーションは「SPENCER 70」が見せたパフォーマンスからも判るとおり、同クラスのボートの中では群を抜いている。それが今回、この「SPENCER 87」に選ばれたポッドシステムは、IPSではなく、1,150馬力を発揮する4基の「CAT C18 ACERT」と「ZF POD 4000」。これはボートの大きさと、要求されるスピードを……。(続きは雑誌で)

text: TAIZO
photo: Makoto Yamada, SPENCER Yachts
[OceanStyle Perfect BOAT 2012年8月号掲載/※データは掲載時のものです]



SPENCER 87
全長 27.73 m
全幅 6.70 m
喫水 1.82 m
重量 63.5 ton
燃料タンク 15,709 L
清水タンク 2,081 L
エンジン 4× CAT C18 ACERT, ZF POD 4000
最高出力 4× 1,150 mhp
スピード Max 41 knots
■問い合わせ先
 SPENCER Yachts
 http://www.spenceryachtsinc.com