その存在を誇示することなく
タフな走りと流麗なフォルムが見るものを魅了する

折からの台風のウネリをものともせず力で押し切るその走りは、まさに英国の荒れた海で鍛えられたPRINCESSならでは。遠くからでもボリュームのあるハルであることが認識できる。

 大き過ぎず小さ過ぎないボリューム感溢れるハルと、低く構えたキャビン。全長16.61m、ビーム4.45m。そのフォルムはクーペタイプのスタンダードとして絶妙なバランスを見せる。切れ味のいいシャープなシアーラインと緩やかな弧を描くルーフライン。クールさを醸し出すブラックアウトされたウィンドウ。そのどれもが控えめながら、しかし力強くアイデンティティを主張する。ホワイト、ミッドナイトブルー、スティールグレーの3色からチョイスできるハルカラーだが、このミッドナイトブルーのハルが、Vクラスとしては一番、英国、そしてPRINCESSらしさを感じさせる。

ポンツーンからスイムプラットホームへ乗り移る。ここが、価値ある時へと誘うエントランスとなる。コックピットにはチャコールグレーのアクセントが入ったアイボリーのセティと、美しく張り巡らされたチークがエスタブリッシュメント好みの空間を創りあげている。「V52」から大型のモデルに装備されるキャビンへの大きなスライドドアを開けば、サロンとコックピットが一つの寛ぎの空間となり、より一体感が増す。深みのあるチークのフロアと、マット仕上げとグロス仕上げを場所によって使い分けたチェリーのファニチャー、それと対峙する明るい色調のレザーが織りなすサロンは、清潔感溢れるとともにエレガント極まりない。まるでルーフからコックピットへと緩やかに流れていく風までもが眼に見えるようだ。

時間を選びながら、どの場所でも太陽の光を十分に浴びることが出来る。大型のソファが備わるコックピットは、アッパーサロンを凌ぐほどのスペースを誇る、第二のサロンと呼べる場所。

 高性能なGTカーを思い起こさせるような、見るからに座り心地の良さそうなシートが鎮座するヘルムエリアは、サロンより一段高く、全てを見渡すことができる最高のポジションとなっている。走行中、隣に座るパッセンジャーも爽快なドライビングプレジャーを満喫できるに違いない。ヘルムステーションには航海計器や各種ゲージ類が整然と並び、GTカーさながらの操る喜びを感じることができる。

サロン前方、ロアーデッキのポートサイドにギャレー、スターボードサイドにはダイネッティがレイアウトされるが、この試乗艇はオプションの3キャビン仕様となり、6名が優雅に一夜を過ごすことが可能となっている。アッパーデッキに2つのサロンを持つ「V52」ゆえ、このレイアウトはより一層実用的だと思える。
ギャレーは広く、冷凍冷蔵庫をはじめ、4バーナーのコンロ、電子レンジなど、オーナーやオーナーの奥方が腕を振るうには十分すぎるほどの設備を備えている。そのギャレーを囲むように3つのステイトルームが……。(続きは雑誌で)

このタイプのボートでは欠かすことの出来ないエレベーター式のスイミングステップを備える。相当な面積を有し、PWC搭載も難なくOK。コンベンショナルなインボードレイアウトに組み合わされるパワーソースは「VOLVO D11-670」、もしくは「CATERPILLAR C12 Acert」で、取材艇はよりパワフルな後者を搭載していた。

Vクラスもこのモデルから、クローズドタイプのサロンへのエントランスが設けられている。マット仕上げとグロス仕上げを巧みに使い分けたチェリー材とオフホワイトのレザーのコントラストが、シックでありながらも贅沢な空間を演出している。ロアーデッキのレイアウトは、スターボードサイドがオプションの2バースとなる3キャビン仕様。52フィートともなればフライブリッジクラスと比較しても遜色ない、広々としたサロンスペースが確保されている。






text: TAIZO
photo: Makoto Yamada
[OceanStyle Perfect BOAT 2012年11月号掲載/※データは掲載時のものです]



PRINCESS V52
全長 16.61 m
全幅 4.45 m
喫水 1.14 m
重量 21.1 ton
燃料タンク 2,000 L
清水タンク 364 L
エンジン 2× CATERPILLAR C12 Acert
最高出力 2× 715 mhp
■問い合わせ先
プリンセスヨットジャパン
TEL: 045-441-7700
http://www.princessyachts-japan.com