019 Volvo XC90

single_H1_03「ボルボ・オーシャンレース」など海のイメージが強いVOLVO。そんなブランドにまたひとつ、魅力的なモデルが備わった。2世代目にフルモデルチェンジした「XC90」である。去る3月、メディア向け国際試乗会がスペインの南部で行われた。温暖な気候の中で新型「XC90」はいったいどんな走りを見せたのか? ボルボXCシリーズのフラッグシップであり、プラグインハイブリッドモデルもラインナップされるなど、話題の多い「XC90」に迫る。

009 Volvo XC90 ボルボほどマリンスポーツに近いカーメーカーはないと思う。理由は「ボルボ・オーシャンレース」に他ならない。一度でもヨットに興味を持った方ならご存知だと思う。“海のパリダカ”と称されるそれは、海の男をも唸らせる世界一過酷なヨットレースである。
 レース内容を簡単に記すと、およそ10ヶ月かけて世界一周するというものだ。エントリーは6、7チーム。10名のクルーが70フィートほどのフルカーボンヨットで外洋を駆け抜ける。もちろん、経由地はいくつもあり、そこで上陸が許される。が、ホッとするのはつかの間。湾内のインポートレースやエクシビジョンレースなど数多くのイベントをこなさなければならない。前回のレースでは経由地ニュージーランドのオークランドに取材に行ったが、港はまさにお祭り騒ぎだった。オークランドという場所柄だろうか、ヨットレースが多くの人に受け入れられていることに驚かされた……。
 それはともかく、ボルボである。そんな背景もあり、彼らはときどき既存のラインナップに「ボルボ・オーシャンレース・エディション」なる特別限定車を販売する。最近ではV40シリーズに追加された。マリーナまでの足にするのにいいだろう。

016 Volvo XC90 そんなボルボの新型車がここで紹介する「XC90」となる。2002年にリリースされた大型SUVの2世代目だ。ただ、今回のそれは単なるモデルチェンジではない。プラットフォームからパワートレーンまでオールニュー。特に基本骨格となるフロアまわりのプラットフォームは今後登場するモデルのベースになるとアナウンスされた。つまり、この「XC90」から新世代ボルボがスタートすることになる。その意味でも注目すべき一台と言わざるを得ない。
 今回の試乗はスペイン、バルセロナ郊外で行われた。まだ肌寒い時期ではあるが、地中海沿いのリゾートホテルがベース基地となる。そこで1.5日、3つの異なるパワーソースを試す機会を得た。
 見かけは、ご覧の通りボルボとしてはかなりサイズがあり堂々としている。ドイツ車と違いアンダーステイトメントなイメージのあるブランドだが、フロントグリルなど今回はしっかり存在をアピールする。それでもヤリ過ぎ感はなく、全体的にシンプルに仕上がっているのはさすが。これがホンモノのスカンジナビアンデザインといったところだろう。
 ちなみに、後日届いたボルボからのニュースリリースによれば、「XC90」のデザインはレッドドット賞の「ベスト・オブ・ザ・ベスト」プロダクトデザイン賞に輝いたそうだ。この賞は国際的なデザインアワードで、ドイツのノルトライン・ヴェストファーレン・デザインセンターが主催するデザインコンペのひとつに数えられる。賞は38名の権威ある審査員により決定するのだが、「ベスト・オブ・ザ・ベスト」は31のカテゴリーの5,000点近い応募総数から選ばれるというからすごい。ボルボのデザイン性の高さがこれでも実証された。

017 Volvo XC90 エクステリアもいいが個人的に気に入ったのはインテリアだ。特に運転席まわりの仕立ては高級クルーザーを凌駕する。ウッドやレザー、アルミの使い方はかなり上質だ。というのも、任されたのは元ベントレーのデザイナー、ロビン・ページ氏。彼がその経験をこの「XC90」で発揮した。結果、いっきにクラスを2つくらい飛び越えたようになった。是非この仕上がりは一度見ていただきたい。ラグジュアリーなキャビンに慣れた方々でもご納得いただけると思う。
 パワーソースは「D5」と呼ばれる2リッター直4ディーゼルターボ、「T6」の2リッター直4ガソリンターボ+スーパーチャージャー、それと「T8」と呼ばれるT6のガソリンエンジン+モーターを使ったプラグインハイブリッドが用意される。ここで気になるのがどれも“2リッター”ということだ。既存のラインナップでは1.6リッター直4もあれば、3リッター直6ユニットもある。が、ボルボはいますべて2リッター直4に統一しようとしている。それは自社製の高効率エンジンだからだ。そして排気量を同じにして、過給機やモーターなどで出力調整し、パワーでグレードを形成しようとしている。
 では、実際に走るとどうか。「D5」と呼ばれるディーゼルは予想以上に力強い。ディーゼル特有の低速トルクが出だしから発生し、「XC90」のボディを前へ押し出す。低速域では多少ガラガラといったディーゼル音は響くが、走り出すと忘れるほど気にならない。それよりもグイグイ加速する様に惹き込まれる感じだ。

037 Volvo XC90 ディーゼルはその燃費のよさからいま日本でも注目を浴びている。マツダのラインナップもそうだし、BMW3シリーズのディーゼル車も高い比率で売れている。メルセデスもそうだ。ひと昔前は日本のディーゼル規制に合わないため輸入販売できなかったものができるようになった。ユーロ6と呼ばれるヨーロッパの厳しい規制が日本のそれと近いためである。つまり、この「D5」もまた日本で販売される確率は高い。
 ただ目玉はやはりハイブリッドの「T8」であろう。日本未導入のV60プラグインハイブリッドに次ぐプラグインハイブリッド車は話題だ。その中身は彼ららしくかなり凝ったものに仕上がっている。バッテリーパックなど重量のあるものは車両センターに集められた。また、モーターの搭載位置を低くするためリアサスペンションに工夫を施した。横置きリーフでスペースを稼ぐという手法だ。なかなかのアイデアである。
 といった新型「XC90」。ヨーロッパでの販売ははじまったが、日本上陸はまだまだ先のようだ。が、魅力的なモデルが控えていることを頭の隅に忍ばせていただきたい。こいつは注目だ。


108 Interior overview 093 First edition 115 Interior detail
120 Interior detail 143 Touch screen display 104 Volvo XC90
洗練されたスカンジナビアンデザインに注目が集まる新型「XC90」だが、パッケージングも優れている。ライバルが2列の5名掛けシートなのに対し、こいつは3列の7名掛けを設定する。プレミアムSUVカテゴリーでは珍しいレイアウトだ。が、ボルボはその必然性を知っている。また安全性に長けているのも言わずもがな。カメラやミリ波レーダーなどを駆使し、自動緊急ブレーキをはじめとする様々な電子デバイスを搭載する。また、実際に横転事故が起きたときのことをシミュレーションする実験設備も用意。徹底した安全性につとめている。


VOLVO XC90 T8
全長 4,950 mm
全幅 2,008 mm
全高 1,776 mm
ホイールベース 2,984 mm
車両重量 2,343 kg
エンジン型式 直列4気筒
総排気量 1,969 cc
ボア×ストローク 82 × 93.2 mm
最高出力 318 PS(234 kW)/ 6,000 rpm
最大トルク 400 Nm / 2,200 – 5,400 rpm
電気モーター 82 PS / 240 Nm
トランスミッション 8速 ギアトロニック
車両本体価格 未定
■問い合わせ先 ボルボ・カー・ジャパン
TEL: 0120-922-662
http://www.volvocars.com/jp


text: Tatsuya Kushima
photo: VOLVO
special thanks: VOLVO CAR JAPAN
http://www.volvocars.com/jp
Perfect BOAT 2015年6月号掲載]/※データは掲載時のものです