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 英国海軍からチャーターヨットまで様々な船を渡り歩き、これまで30万海里以上にもなる航海経験をもつキャプテン・ナイジェル。現在はマイアミに居を構え、世界のトップセレブリティを相手にチャーターやコンサルティングを手がける彼が、独自のネットワークでつながるメガヨットの世界を紹介する。壮大かつ華麗な、メガヨットワールドをご堪能あれ。

Grace E_104 世界をクルーズしたいというオーナーの熱い想いが、ヨットデザインに息を吹き込む。イタリアのペリーニグループのピッキオーティによる73m「グレースE」号がまさにそうだ。
 事実、この「グレースE」号は、昨年のモナコヨットショーで、ベストインテリアデザイン賞のバカラトロフィーを受賞したのだ。ヨットショーの数ある展示艇の中で最高のヨットだと讃えられたこのヨットの細部は、実に素晴らしい。長年の知り合いでもあり、このヨットのキャプテンでもあるエディー・クーニーが船内を案内してくれた。
 船内を幅広くとったオーナー用のアレンジメントが美しいマスターキャビン。このゲストキャビンはVIPが2室、ダブルキャビンが2室、ツインキャビンが2室。12名のゲストが宿泊できる。全てのキャビンがバスルーム付きだ。また、20名までのクルー専用のエリアもある。船内にはオンデマンドのデジタルライブラリーやコンシェルジュデスクがあり、指先一つのコントロールでエンターテイメントを楽しむことができる。
 このヨットの構造は5デッキ。そのうちの一つは「ウエルネス・デッキ」と名付けられ、ヘルス・フィットネス目的に設計されている。どのデッキもエレベーターでアクセスできるのがありがたい。

Grace E_099 ウエルネス・デッキにはジム、スチームサウナとハイドロ・セラピー設備付きのマッサージルーム、3.5mのエクササイズ・プールが設置されている。ジムはガラス張りで、眺めを堪能しながらエクササイズすることができる。メディテーション・ルームからも360度の眺めを楽しむことができ、デッキ後方にはジャクジー、サンパッドにスタイリッシュなラウンジャーに円形のバーもある。「ウエルネス」の名前どおり、ビューティーサロンも上部デッキに設置されている。
 後方デッキ上のラウンジは広くスペースがとられており、外の空気を吸いながらの食事やドリンクを堪能するにはうってつけのスペースだ。設置されている円形のテーブルは16名までがダイニングを堪能することができる。また。大型のラウンジベッドで外の空気に浸りながらリラックスすることもできる。
 ヨット遊びには欠かせない殆どの器具がこのヨットには搭載されている。それ以外にも9.2mのジェットテンダー、7.2mのジェットテンダー、5mのジェットテンダーに、3.3mのエイボン・スポーツリブ・ジェットドライブと、テンダーがなんと4隻も格納されている。

Grace E_084 4隻のテンダー以外に格納されているのは、2基のジェットサーフ、2基のシーボブ、4基のシードゥ、パドルボード、シュノーケル器具にさざまな水上スポーツ器具などだ。
 「グレースE」の非常に高度な船体と上部構造デザインは、有能さと確実な長距離航海を可能にしているが、そのユニークな特徴は推進システムにも及ぶ。主機のパワーを伝えるのはABBのアジポッドプロペラ×2基。この高度な最新式ディーゼルプロパルジョンシステムが大きな特色だ。トップスピードは16.5ノット、クルージングスピードは12ノット。航行可能距離はクルージングスピードで7500マイル。世界中どこにでも、楽々と行ける!
 上から下まで、そして船首から船尾まで、このヨットは隅々まで私をエキサイトさせてくれる。素晴らしいインテリアに見事な外観のフィニッシュ、細部のデザインと全体的なフォルム、最新のエンジニアリングに、クルーに対する思いやりのある設計。これは、私が思い描くメガヨットの理想をすべて詰め込んだ夢のヨットだ!
 ヨット造りは楽しいが難しい。全ての要素がどのようにうまく混ざり合うかによって、オーナーとゲストがどれだけそのヨットを楽しめるかが決まる。この「グレースE」はその全てが巧く混ざり合い、成功した一例だと言えよう。見た目だけでなく、全てが素晴らしい、最高のヨットだ!

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text: Captain Nigel Beatty
photo: Perini Navi Group
PerfectBOAT 2015年5月号掲載/※データは掲載時のものです]

PICCHIOTTI 73m “Grace E”
全長 73.3 m
全幅 13.20 m
喫水 4.00 m
重量 1,835 ton
構造 Hull Steel AH36 / Superstructure Aluminium 5083
エンジン 2× ABB Azipod CO0980S
出力 2× 1.6 MW
スピード Max 16.5 kt
レンジ 7,500 NM at 12 kt
燃料容量 185,000 L
清水容量 30,000 L
オーナー&ゲスト 7 cabins for 7
クルー 11
テンダー Cockwell 9.5m、YachtWerft Meyer 7m、Yachtwerft Meyer 5m
ナーバルアーキテクト Philipe Briand / Vitruvius Ltd.
エクステリア Philippe Briand / Vitruvius Ltd.
インテリア Rémi Tessier
船級  LR: Malta Cross. 100 A1 SSC, Yacht, Mono, G6, Malta Cross LMC, UMS, DP(AM), EP- , MCA

Captain Nigel Beatty

 ナイジェル・ビーティー:1969年、英国ベッドフォード生まれ。高校卒業後、欧州放浪の旅に出る。その後、英国海軍に入隊。航海術や操船術などを学び、海軍ヘリコプターコントロール専門の管制官になる。5年後、バハマでスキューバダイビングのボートキャプテンとなるべく英国海軍を退役。1997年にヨット界に飛び込み、ヨットキャプテンとなる。英国MCA3000トンのキャプテンライセンスを所持。これまでにメガヨットのキャプテンとして、米国東海岸、バハマ、タークス・アンド・ケイコス、カリブ海、日本、中南米、地中海、インド洋、ペルシャ湾を航海し、航海経歴は30万海里以上におよぶ。現在、ヨットセールス、チャーター、コンサルティング、マリンパーツ販売を手がけるスーパーヨット・ロジスティックスを日本人妻と運営。プロジェクトマネージャー、テクニカルマネージャー、リフィットマネージャーとして数多くの新艇プロジェクトをも手がける。2008年、新人メガヨットキャプテンのインストラクターに就任。2009年には新キャプテン最終試験官に就任し、後輩キャプテンとなる生徒をビシビシと厳しく指導している。スコアはイマイチだが大のゴルフ好きで、2002年のワールド・キャプテン・ゴルフ・トーナメントでは栄誉ある「Wanker of the Year」を受賞。日本語を鋭意勉強中。日本語力は、まともな焼酎を注文したり、間違えずに電車に乗れるくらいに上達した。

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