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PRINCESS-64_H1_03
英国の至宝、「プリンセス」フライブリッジモデルのミドルレンジ「64」が、国内最大艇として登場。真冬の英国と同じ気象の中、試乗の機会を得た。そのマニューバビリティはGTの名を冠したいほどの痛快さを秘めていた。ブリティシュトラッドの上質な味わいはボーティングの本物のダンディズムを教えてくれる。

04_MG_0119 冬の横浜港の凛とした空気と透き通る青空の元、颯爽とした佇まいでこの「プリンセス64」は我々を迎えいれてくれた。この気象はプリンセスが生まれたイングランド南西部プリマスの白い断崖に打ち付ける波を産むイギリス海峡のタフな海象を想像させ、気分は英国と同期していた。
 全長19.70m、全幅5.03m、前モデル「63」の進化形として2010年のサウザンプトンボートショーでデビューしたこの「64」、プリンセスの伝統をふまえながら風格を漂わせるデザインのモダナイズが施されている。さすがこのサイズ、バーナード・オレシンスキーとプリンセス・デザインの作となるハルとフォルムは、安定感とスポーティさをかね合わせた伸びやかで絶妙なバランスを見せる。
 キャラクターとなるサイドのダブルウィンドウ、コックピット後端まで伸びたフライブリッジのルーフエンド、更に大型化されたオーナーズステートのシービューウィンドウと進化が読み取れる。コックピットからサイドデッキ、バウデッキまで、ウォークアラウンドエリアは精緻なチークソール。油圧昇降式のスイミングプラットフォームからコックピットへのラダー、フライブリッジへのアプローチにも、セイフティパイプがあるべく所にある。もちろんウォークアラウンドエリアには当然だが。シーキーパーの横揺れ防止ジャイロを備えるにしても、タフな海で育った証しとしてセイフティへの気遣いが随所に垣間見える。

08_Y4_5343-1 キャビンのレイアウトは4ステートにアップギャレー。サロンに入ると右舷側にコの字型のプラチナムレザーの真っ白な本革リビングソファが置かれ、左舷側には同じ仕様の2人掛けソファが対面している。このソファに座ると深く低い位置にいる安心感があり、また視界も良好。ゲストがシーシックになることはない。カーペットはプリンセスのMライン、メガヨットラインに使われる毛足の長い最上級のものが敷かれている。キャビネットやストレージのファニチャーやトリムのウッドは伝統的なチェリー材。上質と落ち着きの要でもある。
 2ステップ上がった前方はギャレーとダイネッティエリアとなる。大容量の冷凍冷蔵庫、4バーナーのIHコンロ、電子レンジはもちろん、デッシュウォッシャー、製氷機と充実のキッチンだ。自慢の手料理を振舞うにも見晴らしのいい位置にある。左舷のダイネッティもクルーズ中はベストビュー席。マリーナライフやビーチングや島巡りでのモーニングにランチ、ディナーはこの席で。フローティングヴィラの落ち着きと楽しみが凝縮する場でもある。
 カーペット、カーテン、ソファ等、このフネのオーナーのカスタマイズは更に進化している。オーディオユニットは英国「LINN」製。iPhoneと同期し、FB、サロン、オーナーズルームどこでもコントロール可能なのだ。前後スラスターは油圧式で、国内唯一とか。バッテリー上がりの心配も無用だ。ハンディコントローラーでイージードッキング可能な「ボートコントローラー」や、赤外線カメラ「FLIR」も設置。スイミングプラットフォームに搭載のテンダーは特注でシートの色調を合わせた「ウイリアムス325」ウオータージェットパワーと来ている。まさにシートイ。
 前方右舷にはメインヘルムがある。搭載エンジンは「キャタピラーC18A」、1,150mhp/2,410rpm ×2基。ステアリングを握ると、関連のアナログメーターがまさにスポーツカーのコンソールレイアウトのごとく並んでいる。バイワイヤーのスロットルレバー、前後スラスターレバー、オートパイロットモニター、最新のタッチパネル式レイマリンレーダー&GPSプロッターとわくわくするナビシートを備えた操船席だ。荒天時やロングクルーズのヘルムが頼もしいものになるだろう。

07_Y4_4845 オールチークソールのフライブリッジは、左舷前方にメインヘルム同様の2脚のパイロットシートを持つヘルムステーションがある。対面にはベンチシートとコの字のラウンジシートがあり後部にはサンタンベッドがある。ヘルムの後ろにはバーベキューグリルにウエットバーが用意され、エンターテイメントエリアとして至れり尽くせりだ。どこを見ても落ち着きと抜かりのなさがある。それがプリンセストラッドの、言わばブリィティシュネスの真髄でもある。
 それはこの進化した「64」の動き出しの瞬間からも感じ取ることが出来る。スロットルをワンノッチ入れてみる。ほんの少しだが確実な駆動の伝達を感じ取る。走り出しからC18Aのトルク溢れる感覚はスムーズでスピード感を伴わない心地よさだ。600rpm 7.6ノット、800rpm 9.0ノット、1,000rpm 11.3ノット、1,400rpm 14.7ノット、1,800rpm 23.8ノット、2,000rpm 27.3ノット。1,500rpmを越えるとハンプを感じさせないままプレーニングし、抜群の直進性能を伴って痛快な加速に移行する。その様はブリティシュスポーツカーの、言わばベントレーコンチネンタルGTCのあの4WDの走りのスタビリティを持ちつつ感じる浮遊感に近似している。
 2,200rpm 31.0ノット、MAX2,400rpm 34.0ノット。気温10℃、北西風4m/s、波高0.5m。転舵する。ステアリングを切り込んだと同時にノーズが回りこむ。ジャイロが効いているせいかインサイドバンクはあまりないまま軽快なパフォーマンスが得られる。本船のはぐれ波や自分のウェーキに突っ込んでみるがさらりと軽くいなしていく。荒天の多い英国近海で生まれたプリンセス、タフな環境に強い事は「GT」のバッジをどこかに付けたいとすら思うほどだ。(続きは雑誌で)


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ビームいっぱいのオーナーズステート。両舷には大型化されたシービューウインドウがある。アイランドベッドはリラクゼーションの技が潜むかのようだ。クローゼットなどのファニチュアーはピアノバーニッシュのチェリー。落ち着きとエレガンスが同居する寛ぎの空間が設えられている。


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広々としたFBは、左舷にメインヘルム同様の2脚のパイロットシートを持つヘルムステーション。対面にベンチシートとラウンジシート、後部にはサンタンベッド、BBQグリルにウエットバーも用意される。C18Aの収まるエンジンルームはゆとりのヘッドスペースをもちメンテナンス性抜群。

MOVIE




PRINCESS 64
全長 19.70 m
全幅 5.03 m
喫水 1.45 m
重量 34 ton
燃料タンク 3,409 L
清水タンク 909 L
エンジン 2× CATERPILLAR C18 A
最高出力 2× 1,150 mhp
■問い合わせ先
プリンセスヨットジャパン
TEL: 045-441-7700
http://www.princessyachts-japan.com

text: Kenji Yamazaki
photo: Makoto Yamada
special thanks: Princess Yachts Japan
http://www.princessyachts-japan.com
PORT SIDE MARINE
http://www.portside-marine.com
[Perfect BOAT 2014年2月号掲載/]/※データは掲載時のものです]